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第111回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録

 

 

1.日時 令和5年12月26日(火)10時00分~10時57分
 
2.場所 AP虎ノ門会議室Aルーム(※一部オンラインでの開催)
         (東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11階)

3.出席委員
(公益代表委員)
○学習院大学経済学部経営学科教授、一橋大学名誉教授 守島 基博
○明治大学法学部教授 小西 康之
○大阪大学理事・副学長 水島 郁子

(労働者代表委員)
○UAゼンセン労働条件局部長 柏田 達範
○全国建設労働組合総連合労働対策部長 田久 悟
○日本労働組合総連合会総合政策推進局総合政策推進局長 冨髙 裕子
○日本科学エネルギー産業労働組合連合会副事務局長 永井 学
○日本基幹産業労働組合連合会中央執行委員 平川 達斎

(使用者代表委員)
○一般社団法人日本経済団体連合会労働法制本部統括主幹 坂下 多身 
○東京海上ホールディングス株式会社人事部シニアマイスター 砂原 和仁
○日本通運株式会社人財戦略部次長 武知 紘子
○セコム株式会社総務人事本部参与 二宮 美保
○日本製鉄株式会社人事労政部部長 本荘 太郎
○西松建設株式会社安全環境本部安全部担当部長 最川 隆由

4.議題 

(1)労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について
(2)令和5年度第2回社会復帰促進等事業に関する検討会について(報告)
(3)労働保険関連手続及び労災保険特別加入関連手続に係る電子申請の状況について(報告)
(4)その他


5.議事
○守島部会長 皆さん方、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから、第111回労災保険部会を開催いたしたいと思います。本日の部会は会場及びオンラインの両方で実施いたしております。まず、出欠状況ですが、中野委員、宮智委員、立川委員が御欠席と伺っております。また、本荘委員は遅れて10時半頃からのオンラインでの御出席予定となっております。出席者は現在13名でございますけれども、公益代表、労働者代表、使用者代表、それぞれ3分の1以上の出席がございますので、定足数を満たしていることを御報告させて頂きます。それでは、カメラ撮影はこのぐらいにさせて頂きたいと思います。
 では、議題に入りたいと思います。第1の議題は、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について」です。本件は厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛の諮問案件であり、前回の部会において事務局からの説明のあった件です。事務局から追加の説明はありますか。
○労災保険数理室長 追加の説明はありません。
○守島部会長 はい、ありがとうございます。それでは、前回に続きまして、御意見、御質問があったらお受けしたいと思います。いつものように、オンラインの方はチャット若しくは手を挙げて頂く、それから、会場の方は挙手をして頂きたいと思います。田久委員、お願いいたします。
○田久委員 改めてお願いですが、今回、私たち建設産業でいいますと、特別加入の関係で料率が1,000分の18から1,000分の17に引き下がった。この間、御説明を頂いている中では、件数は横ばいであっても、重篤な災害が減って給付が減った。こういう報告というか御説明が、事前説明を含めてあったところです。これは、1つに言えばやはり、足場やフルハーネス、こういったものの特別教育の強化、こういったことの連続した学習ということが1つ挙げられると同時に、もう1つは社復事業の1つでもあります一人親方の支援事業の関係で、一人親方の現場に対するパトロールというのをこの間、5年間ぐらいやらさせて頂いて、常に2,000件を超える現場を訪問していること。それは全建総連の組合員の仲間が協力させて頂いているということや、もう1つは、組合の中でもそれ以外に全国で2,000件近い現場への訪問をして、仲間に若しくは、そこの働いている現場の人にそういった指導というか、ここ危ないんじゃないのと、こういったことを伝えながら、安全対策の意識を高めてきたという、少なからずともこの影響があったのではないかなと私は考えています。そういった点でも今後、労災保険という保険でありますが、特別加入の団体も広がるなか、安全対策というものはきちんと位置付けを高めて、取組を引き続きして頂きたいなということの要望であります。よろしくお願いいたします。
○守島部会長 はい、ありがとうございます。ほかに。冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 田久委員が御発言された内容は私も重要だと思いますので、重ねてお願いしたいと思います。答申された内容につきましては、前回の部会で労側から発言しておりますので、特段異論はございません。引き続き制度の安定な運営を第一義に、適切な運用に努めて頂きたいと思います。
○守島部会長 はい、ありがとうございます。ほかに、どなたか御意見や御質問は。オンラインの方も大丈夫でしょうか。はい、ありがとうございます。それでは、特段これ以上の御意見がないようでしたら、諮問のあった件につきましては、当部会としては妥当と認めて、労働条件分科会会長宛に報告することといたしたいと思います。それでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○守島部会長 ありがとうございます。それでは、そのように進めさせて頂きたいと思います。労働政策審議会令第7条第7項により、部会の議決をもって分科会の議決とすることができ、同令第6条第7項により分科会の議決をもって審議会の議決とすることができると定められております。また、労働条件分科会運営規程第7条におきまして、当部会の議決をもって分科会の議決とするということになっており、労働政策審議会運営規程第9条におきまして、分科会の議決をもって審議会の議決とするということになっております。したがいまして、当部会の議決が審議会の議決ということになります。それでは、事務局に答申案を用意して頂いておりますので、読み上げて頂きたいと思います。
○労災保険財政数理室長 それでは、読み上げさせて頂きます。ただいまお配りした資料が3枚あります。3枚目を御覧ください。労災保険部会長から労働条件分科会長宛です。「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」について。令和5年12月22日付け厚生労働省発基1222第5号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本部会は、審議の結果、下記のとおり結論を得たので報告する。記、厚生労働省案は、妥当と認める。1枚戻って頂き2枚目です。労働条件分科会分科会長から労働政策審議会会長宛の文書です。内容は同様で、記として、別紙「記」のとおりということにしております。続いて表紙、1枚目を御覧ください。1枚目が労働政策審議会会長から厚生労働大臣宛で、内容について同様に、記、別紙「記」のとおりということです。以上です。
○守島部会長 はい、ありがとうございました。ただいま読み上げられた内容で、部会長から分科会長、分科会長から労働政策審議会長宛に報告し、この報告のとおり厚生労働大臣宛に答申を行うこととしたいと思います。なお、委員全員に後ほど答申文を事務局から送付いたします。オンラインの方も、添付で送らせて頂きます。よろしいですか。それでは、次の議題は、「令和5年度第2回社会復帰促進等事業に関する検討会について(報告)」でございます。まず、事務局から説明をお願いいたします。
○労災管理課長 御説明いたします。12月5日に開催された今年度第2回目の社会復帰促進等事業に関する検討会について御報告いたします。第2回では来年度の予算あるいは事業の在り方について議論をして頂いております。まず、事務局から報告した内容についてポイントを絞って御説明いたします。お配りしている資料の参考資料、12月5日の検討会の資料1を御覧ください。
 横置きの令和6年度の概算要求の概要ですが、上のところにあるように、歳入は1兆2,696億円で前年比464億円の増、歳出が1兆913億円で前年度比221億円の増を計上しております。この検討会の資料では要求額となっておりますが、先週の金曜日に予算案が閣議決定され、決定したベースを予算額で言うと、今申し上げた歳入がちょっと減り、1兆2,602億円で、今、御議論頂いた保険料の改定も見込んだ数字になりますが、1兆2,602億円です。歳出も少し減り、1兆901億円となります。
 主な経費の内訳は下の四角の黄色の箱の中にありますが、歳入では、保険料収入に当たるものですが、徴収勘定からの受入が雇用者所得の増等により、前の年度より505億円、予算ベースでいくと402億円、保険料率の改定があるので若干減りますが、402億円の増を見込んでおります。
 一方、歳出は保険給付費、特別支給金については8,656億円、予算案でいくと少し増えて8,685億円となりますが、こちらは療養補償給付、休業補償給付等の短期給付の執行実績を踏まえて少し増えております。社復事業費は、全体で令和6年度は808億円、これは予算額でも同額です。このうち、未払賃金立替払事業を除いた分が697億円、こちらも予算額と同額で、前年度の698億円から若干の減という形になっております。
 内訳を見ると、産業医学助成補助金については、急性期の診療棟の竣工などで減額している一方で、その下の産業保健活動総合支援事業費補助金については、産保センターによる相談支援の充実により増やしています。また、独立行政法人労働者健康安全機構交付金についても増額という形になっているところです。
 事務費については、徴収勘定への事務費相当分の繰入れというものがあり、労災勘定と雇用勘定の負担割合を、2年間にわたって労災と雇用を3対7の割合から5対5に見直すということをしており、それに伴う増額や労働基準行政システムの改定に伴う増等により、全体的に955億円、予算額だと少し減り、953億円となっており、前年度から100億ちょっとの増額という形になっています。
 資料5です。社会復帰促進等事業費と事務費に充てられる費用というのは、保険料収入等の120分の20に抑えるというルールがあります。令和6年度の限度額に対する割合が、下の表の一番下の赤字のところの一番右側、令和6年度は95.49で、先ほど申し上げた予算額ベースで確定したものでいくと、若干増えて96.33となりますが、一応、この上限の中で納めているということになります。
 その他、個々の詳細な説明は割愛いたしますが、資料7のほうでは令和4年度の評価が低かった各事業の見直し状況、資料8では令和6年度に拡充をさせた事業について、その内容などについては御説明をさせて頂いているところです。以上のような資料の御報告をし、委員の皆様から御意見を頂いたということです。主な指摘の概要については、部会の資料のほうに戻り、議事要旨となる部会資料2を御覧ください。
 まず最初は、総論的な御意見を幾つか頂いており、1つ目の○で、社会復帰促進等事業の財源は保険料収入であるところ、上限額120分の20の枠の予算を全部使うということを前提に事業や予算を決めているのではないか。安全対策の経費など、一般会計で出すべき費用もあるのではないかといった御意見。
 令和6年度要求の削減額では物足りない。できるだけ早く予算を2013年当時の低い水準に戻してほしい。そのためには、例えば、33番の外国人技能実習機構交付金、38番のテレワーク普及促進等対策等々の事業のように、社会復帰促進等事業の趣旨目的に直結しないような事業については、労災勘定だけで負担するのが適当なのか検討し見直すべきといった御意見。
 あと、資料2で労災保険の収入と支出について、これは単年度で赤字になっているものですが、財政上の観点からは支出ありきで調整しているようにも見えてしまう。収入が伸びるなら、予算の中でうまく納めるのも1つではないかといった御意見。
 4つ目の○で、社会復帰促進等事業の予算は、労働災害に遭った人に対する直接給付の要素が薄い部分であり、本来、この経費を少しでも削って、保険給付にウエイトをシフトすべきものではないかといった御意見を頂いております。
 これらについては、120分の20という上限額の範囲の中で必要な事業を行っていくというものであり、法律にある社復事業の規定に沿って、その事業に合致するものかどうかを精査して効率的に運営できるようにしていきたいといった説明をしております。
 以下、個別の事業についても御指摘を頂いております。まず、1つ目の独立行政法人労働者健康安全機構運営費・施設整備費については、これは機構の運営等を行う事業であり、令和6年度は安衛研やバイオアッセイ研究センターの動物関係の実験施設についての移転等に伴う増額を行っているものです。この事業については、この社復事業による予算の基本的な部分の確認ということで、「この事業は全額労災勘定から出ているわけではないという理解でよいのか」といった御質問があり、この健康安全機構の運営費や設備費などの全体を通しても、一般会計等は入っておらず労災勘定のみであるといった説明をしております。
 13番の労災特別介護施設運営費・設置経費は、これは労災の重度被災労働者に対して専門的な施設介護サービスを提供する介護施設を運営する事業になります。この事業はB評価であったのですが、近年の人件費の増加や光熱水料の上昇があり、全体としては増額要求となったものです。
 この事業については、労災により障害を負った方が、ケアプラザへの入所の可否によって自己負担等が異なることがないように、抜本的な見直しを今後検討してほしいといった御意見を頂き、御意見を踏まえて検討してまいりたいという回答をさせて頂いております。
 続いて、20番の職場における化学物質管理促進のための総合対策です。これは化学物質の管理に関する相談窓口や専門家による訪問支援、新規化学物質に係る届出の審査などを行っているもので、令和6年度は、中小企業に対する個人ばく露測定定着促進補助金というものの創設と、化学物質管理についての業種別対策、製品別対策の教材開発を予定して増額となっているものです。
 この事業については、今、申し上げた個人ばく露測定に補助金を出すという説明に対して、委員から「既に義務付けられている測定にも補助金が出るようになるのか」といった御質問があったところ、義務の履行のための測定は補助の対象とはならないといった御説明をさせて頂いております。
 27番の第三次産業労働災害防止対策支援等事業です。こちらは第三次産業や外国人労働者、高齢労働者の労働災害防止の取組支援というものを行うものであり、来年度は労働者の転倒・腰痛災害等の発生による事業者の金銭的損失の調査分析、若年期からの健康づくり支援を目的としたエイジフレンドリー補助金の拡充といったものを新たに予定しており増額となっているものです。
 この事業については、委員から「外国人材、シニア、女性の活躍のためには、それぞれの事業に応じて安心して働ける環境整備が非常に大事である。周知啓発、並びに企業における具体的な対策の実施等、幅広い支援をしっかりしてほしい」といった御意見を頂戴し、幅広い周知啓発と手厚い支援を行い、より効果的・効率的に事業実施に取り組んでいきたいと回答しております。
 35番の産業医学振興経費です。この事業は、産業医科大学の運営等に対する助成や産業医研修等を行うもので、こちらについて、委員から幾つか意見を頂いており、まず1つは「日本専門医機構では、産業医科大学などを卒業し従事要件の課されている専攻医についても、不同意離脱の場合、その医療機関プログラムの研修を専門研修とは認めないとする旨の取扱いについて公表したが、今後、この結果を踏まえて、産業医科大学での不同意離脱を防止する観点から、厚労省として何か対応予定があるのか」といったこと。それから、「産業医科大学については一律に定員削減を求められ続けると、いずれ持続的な運営が困難になると懸念している。来年度の定員確保の見込みはどうなっているのか」といった御指摘。3つ目のポツ、「産業医科大学を定員削減の対象外にするという大胆なことも踏まえて検討してほしい」といった御質問と御意見を頂きました。
 これに対して、まず、1つ目のポツについては、産業医科大学において、これから不同意離脱などについて外部有識者などを招いて検討し、令和6年の早いうちには一定の結論を得るというように聞いており、厚労省はこの検討会の場にオブザーバーとして参加するといったことを回答しております。2ポツ目については、産業医科大学の職員の定員削減については現状は7名減に対して、7名の増員要求を行っているというように回答しております。なお、この増員については、今般の予算案では全部認められました。3ポツ目について、そもそも計画の対象外とすることについては、大本が閣議決定の内容ではありますが、令和6年度では定員削減の5か年計画が一度終わるため、この境目を捉えて今年度末に交渉の機会があると思われると御説明させて頂いております。
 36番の未払賃金立替払事務実施費です。これは企業倒産に伴う未払賃金の立替払の実施、事業主に対する求償等を行う事業ですが、こちらについて、委員からは「支給状況についての傾向や規模的な特徴、回収状況も把握していれば教えてほしい」といった御質問を頂きました。
 これについて、対象企業数や支給者数ともに約2倍になっており、コロナ以前の状況に戻ってきているといったこと、直近の令和4年度の実績で言うと、立替払額の規模別ですが、支払額1億円以上の事業所はゼロ、1,000万円以上1億円未満の事業所は98件、100万円以上1,000万円未満の事業所は691件、100万円未満の事業所が496件となっており、合計で1,285件、回収状況については、制度創設以来の累計回収率は25.9%であるといった回答をさせて頂いております。
 37番の過重労働の解消及び仕事と生活の調和の実現に向けた働き方・休み方       の見直し、これは過重労働の解消、働き方・休み方の見直しのために、相談支援や助成セミナー等の開催を行う事業になります。こちらについては、委員の方からは「いわゆる2024年問題、中小企業の対応は間に合っていないという声がある。助成金の拡充だけでなく、働き方改革推進支援センターを通じた効果的な支援や荷主等への理解促進について省庁連携による取組を行うなど、取組の充実と引き続き予算の確保をお願いする」といった御意見。もう1つは、「令和6年度で時間外の上限規制が適用される業種への支援として増額要求する必要性について一定の理解はするが、次年度以降については大胆な見直しを行い、予算の大幅な削減も検討すべき」といった御意見を頂いております。
 これについては、特に適用を猶予されている建設、自動車関係は過労死が多い業種であり、引き続きの支援が必要であるとしつつも、1年たった後にどういう状況になっているかということもよく踏まえて、検討会での意見も頂戴しながらしっかり対応していきたいという説明をさせて頂いております。
 38番のテレワーク普及促進等対策は、テレワークの導入を検討する事業主等に対し、相談対応や訪問コンサルティング、Webサイトによる情報提供等を行うものとなり、令和5年6月の閣議決定において、地方部の企業のテレワーク導入率を10%引き上げるといったことが政府目標となったことを受けて、令和6年度はこの地方部への訪問コンサルティングの強化を予定して増額をしているものです。
 この事業について、委員からは「今までの訪問コンサルティングがどれぐらいの規模で行われているのか、新たに実施予定の地方部へのコンサルティングの強化のニーズがどういったところからあるのか、どこを訪問するのか教えてほしい」といった御質問があり、規模感としては令和4年の実績は150件弱実施しているということ。あと、地方のニーズについては令和3年の実施実績で見ると、南関東、近畿東海が60.2%、それ以外の地域の地方部が35.4%と、20%ほど差があるということで、そこに潜在的なニーズがあるというように考えており、効果的にアプローチして地方の導入率を上げていくと、政府目標に向けて取組を検討していきたいといった説明をさせて頂いております。
 最後、42番の個別労働紛争対策費・多言語相談支援事業については、全国の労働局、監督署に総合労働相談コーナーを設置したり、外国人労働者の労働相談における電話通訳等を実施している事業となります。これについて、委員からは「働きに来る外国人が安心して相談できる体制が整備されていることが、選ばれる国になっていく上でも非常に重要であるため、予算を確保して外国人を受け入れている企業等を通じてしっかり利用促進してほしい」。あと、「財源となる勘定が異なる等により相談窓口を分けているのか。外国人の方の相談窓口が多くあり分かりにくいため、全事業を通じて1つの窓口で相談できるようにしてほしい」といった御意見を頂いております。
 これらについて、まず1つ目のポツについては、周知方法について効果的なものになるよう今後も様々な工夫をしてまいりたいと回答しております。2ポツ目については、他の窓口で受けるべき相談については、しかるべき機関につなげていくということも併せて行っており、いろいろな雇用の場の相談に対応できるような体制を組むことにしていると説明をしているところです。以上が12月5日の社復検討会の概要報告となります。私からの説明は以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。それでは、ただいまの御説明につきまして御質問、御意見等がありましたらお受けしたいと思います。会場におられる方々については挙手を、オンラインの方についてはZoomの挙手でも構わないですし、チャットでその意見ありということを示して頂いても構いません。よろしくお願いいたします。
○平川委員 2点発言いたします。まず事業番号25の関係です。職場におけるハラスメントへの総合対策事業におきましては、事業番号23の「こころの耳」のように、フリーランスを含む労災保険の特別加入者は、本相談事業を活用することができません。フリーランス新法におきまして、特定受託事業者に対する就業環境の整備が求められることも踏まえて、今後労災保険の特別加入者に門戸を開くことも御検討頂きたいと思います。
 次に、事業番号35番の産業医学振興経費についてです。今回かなり減額要求になっていると認識しています。検討会でも意見が出されたようですが、産業医科大学は働く人々の命、健康、環境を守るために中心的な役割を担う専門職の育成機関であり、労働安全衛生分野におきまして、果たす役割は極めて大きいと考えます。運営に支障を来すことのないよう体制の維持、拡充に、引き続き努めて頂くことを改めてお願いいたします。以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。ほかに御意見、質問のある方はいらっしゃいますでしょうか。柏田委員、お願いいたします。
○柏田委員 3点ほど発言いたします。1点目は、33番の外国人技能実習機構交付金についてです。外国人の技能実習制度は、新たな制度として見直される予定とお聞きしておりますが、現行の技能実習制度における労災発生率は、日本人のみならず他の在留資格で就労する外国人と比較しても高く、是正は喫緊の課題と認識しております。制度の見直しにより機構の役割も強化されるということですが、実地検査を完全に履行し、是正を要する場合には適正な指導はもとより、改善確認まで行うような一層の取組をお願いしたいと思っております。
 2点目は、36番の未払賃金立替払事務実施費です。先ほどの御説明では、支給状況は前年の2倍になっているとお話されていましたが、今年度につきましては人手不足、物価高、円安によってあらゆる業種で倒産件数の増加が続いている状況です。円滑な支払いに支障が生じないよう、必要な予算の確保とともに制度利用に関する周知を一層強化して頂きたいと思います。
 最後は、42番の個別労働紛争対策費・多言語相談支援事業です。こちらにつきましては、労災を含め労働関係法令違反や人権侵害等が絶えません。外国人労働者の就労環境の整備において、相談支援体制は大変重要であります。真に必要とする方が利用できるよう、当該事業の一層の周知と利用促進を図って頂きたいと思います。以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問のある方はいらっしゃいますでしょうか。では、田久委員、お願いいたします。
○田久委員 すみません。検討会の資料8にある、新規拡充の関係での3番にあるじん肺対策の拡充の、石綿による健康障害予防対策の推進の部分ですが、スキームのところにも書かれているように、石綿把握漏れが疑われる事業者、現場への指導を実施する。そのために、指導体制の確保をしていくというふうに予算のところで付けられています。その中に、届出の点検を行う石綿届出等の点検指導員等を配置とありますが、実はこの間、仲間のところからの声としては、届出をしているところの点検に来られるのとは逆に、届出をしていないところの点検をしてほしいという要望がすごく強いということです。実際に、そうなれば届出をしないという流れも含めて現場では起こり得る可能性はあるということですので、安全対策を強めていくことは重要だという点では、この確保については重要だと思います。現に、正しく行われているかどうかのチェックは必要だと思いますが、そうでないところがやはり野放しになっていくような状況は本末転倒ではないかなというふうにも思われます。もう1つは、今、エンドユーザーに対してはやはり更なる周知をお願いしたいと思います。現に町場、建設現場の中でお客さんから事前調査の金額を提示すれば、それを割り引けという声が出てきています。そういう点では安全対策の根幹に関わるので、理解というのがすごく重要だと改めて感じておりますので、そういったところに対してもこういった推進の関係での取組を検討して頂ければなと感じているところですので、要望として出しました。
○守島部会長 ありがとうございます。ほかに、どなたか。オンラインの方も大丈夫ですか。ほかにありますか。よろしくお願いします。
○労災管理課長 今御指摘頂いた事業につきまして、担当から順番にお答えします。まず、平川委員から頂いたハラスメントの関係です。
○雇用環境・均等局雇用機会均等課課長補佐 ありがとうございました。職場におけるハラスメントの総合的対応という事業25番に関しまして、雇用環境・均等局雇用機会均等課からお答えいたします。御指摘頂いたとおり、職場におけるハラスメントの事業に関しましては、労働者を対象にしてパワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメント等に関する相談対応も含め総合的な周知啓発事業等を実施しているところです。御意見頂いたところ、フリーランスに対してもということでしたが、現状、労働者を対象としてやっている事業ですが、フリーランスの方々に対してはフリーランス110番というところで、この事業とは別の事業でハラスメントも含め対応しているところですので、そちらについて御紹介いたします。以上です。
○労災管理課長 ありがとうございます。次に、もう1つ御指摘頂いた産業医学振興経費について、計画課でお願いします。
○安全衛生部計画課機構・団体管理室室長補佐 安全衛生部計画課の井上と申します。産業医科大学につきまして、御回答申し上げます。予算が大幅に減額になったということではありますが、これはここ5年間ほど産業医科大学におきまして、産業医養成の核となります急性期診療棟というものの建設を行っておりました。これが、本年度無事竣工し既に稼働を開始しております。この結果、これまでの経常経費に上乗せになっていた建設費が、来年度なくなるということが減の主な要件で、これからも産業医科大学の通常の活動に係る定員や予算といったものの確保につきましては、当然ながら同じように努めてまいりたいと考えております。以上です。
○労災管理課長 ありがとうございます。次が、柏田委員から頂いた事業で、33番の外国人技能実習機構交付金について、これは人材開発統括官、お願いします。
○人材開発統括官付技能実習業務指導室指導係長 人材開発統括官付技能実習業務指導室の野田と申します。柏田委員から御指摘頂いた安全衛生防止対策という観点で、今正に技能実習制度自体は制度見直しということで、制度の内容を見直すとともに、当然制度の内容が変わるということですので、それを運営する機構の体制をどうするかというところも重要な論点です。現行制度においては、例えば技能実習生が労働災害で被災してしまうケースがあった場合は、臨時に検査を実施させて頂きますし、又はその前提として3年に1回は必ず受入企業さんにお伺いさせて頂きます。その中で、技能実習生には安全衛生防止対策を確実にやって頂くことを技能実習計画の中で定めておりますので、そこが実際に確実に履行されているかということを必ず確認させて頂いております。それが履行されていないということであれば、機構から改善勧告書を交付し、確実な改善が確認されたことをもって事案として完結させて頂いているところです。引き続き、安全衛生対策をしっかり措置して頂くように対処してまいります。以上になります。
○労災管理課長 ありがとうございます。次が、もう1つ柏田委員から頂いた御指摘で、立替払事業について、こちらは監督課でお願いします。
○監督課副主任中央労働基準監察監督官 柏田委員から頂きました御質問についてお答えいたします。労働基準局監督課です。まず、委員がおっしゃっていたとおりですが、11月末時点で前年同月比、倒産件数約1.7倍という状況になっております。しかしながら現状においては、予算の範囲内で執行可能というふうに分析しております。次年度につきましては、機構の迅速処理の体制を含めて、必要な予算の内示を受けていると認識しております。
 最後の周知ですが、本年6月に行った行政事業レビューでも指摘を受けております。今、各労働局のほうでどのような効果的な取組が行われているかの事案を集めて、その結果を踏まえて更なる周知の強化を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。
○労災管理課長 ありがとうございます。もう1つ、柏田委員から頂いた事業で、42番の個別労働紛争対策費・多言語相談支援事業について、こちらも雇均局、お願いします。
○雇用環境・均等局総務課雇用環境・均等監察官 雇用環境・均等局の安達と申します。柏田委員から、貴重な御意見を頂きましてありがとうございます。外国人労働者の受入れ、共生につきましては政府の重要課題ですし、外国人労働者向けの相談体制を強化するということは重要な施策の1つだと我々も認識しております。御意見にありましたとおり、支援が必要な外国人労働者の方に支援が行き渡るようにこれからも取り組んでまいりたいと思っておりますし、周知につきましても引き続き効果的な周知に努めてまいりたいと考えております。よろしくお願いします。
○労災管理課長 ありがとうございます。最後、田久委員から頂いた御意見で18番のじん肺対策について、安全衛生部でお願いします。
○安全衛生部化学物質対策課課長補佐 安全衛生部化学物質対策課の高村と申します。田久委員から御意見を頂きました石綿対策の関係について、今回、要求をさせて頂いている監督署等への点検指導員等の配置、それから石綿の事前調査結果の報告システムの改修等を通じまして監督署、労働局における石綿対策、建築物等の解体工事等において石綿防止対策への指導等がしっかりできるような体制整備を今後とも図っていきたいと考えております。
 また、エンドユーザーへの周知といった御意見も頂いておりますが、これについては今回要求をさせて頂いている事業の中で行っております周知・広報の中で、エンドユーザー向けのリーフレット等も作成をして、広く配布を行っており、引き続き要求事業の中で実施していきたいと考えております。御意見、ありがとうございました。
○労災管理課長 ひとまず、事務局からの回答は以上になります。
○守島部会長 ありがとうございました。ほかに御意見や御質問のある委員の方はいらっしゃいますでしょうか。大丈夫ですか。ありがとうございます。それでは、特段の意見がないようでしたら、次の議題に移りたいと思います。
 次の議題は、「労働保険関連手続及び労災保険特別加入関連手続に係る電子申請の状況について(報告)」です。まず、事務局から御説明を頂きたいと思います。
○労働保険徴収課長 労働保険徴収課長の片淵でございます。私からは労働保険関連手続に係る電子申請の状況について、御説明をさせて頂きます。資料3-1を御覧ください。
 めくって頂きまして、まず、オンライン利用率引上げに係る基本計画についてということですが、これはそこに書いてありますけれども、規制改革実施計画に基づきまして、厚生労働省では年間10万件以上の手続について、オンライン利用率を引き上げるため、基本計画を策定するということです。この基本計画においては、オンライン利用率の目標値、それから引上げに向けた課題、課題解決のアクションプランを定め、第三者チェックの結果を踏まえ、必要に応じ計画の見直しを行うこととしております。第三者チェックについて、労働保険関連手続については、この労災保険部会ということにさせて頂いておりまして、昨年度から毎年御報告をさせて頂いているということです。その下のポツですが、労働保険については、対象となる5つの届出等について、令和8年度末までにオンライン利用率を30%に引き上げることを目的に、アクションプランとしてa~eの取組を行うとさせて頂いているところです。各手続と申請率の状況については、次のページで御説明をさせて頂きます。
 3ページ目ですが、左端に手続名が5つありまして、一番右側が直近の令和5年上期の電子申請利用率になります。上から労働保険の申告(継続)の手続は23.8%、2番目の労働保険の申告、一括有期が19.4%、それから、労働保険関係成立届が24.6%、それから、労働保険名称、所在地等変更届が20.5%、労働保険料、一般拠出金還付請求書が8.9%ということで、①~⑤まで合わせると22.9%ということで、令和4年度の年間の数字を書いてありますけれども、そこから約3%ほど上昇している状況です。
 次のページですが、アクションプランの履行状況についてです。a~eまでありますけれども、順番に御説明します。aがオンライン申請を利用していない事業場に対する初期設定や申請方法の説明の実施。これは、令和5年本年の9月末時点で2,383件の事業場に対し、オンライン申請を利用するため初期設定や申請方法の説明を実施しているところです。bは、年度更新申告事業場へのGビズIDの周知です。電子申請の特設サイトでGビズIDを周知するとともに、令和5年6月にGビズIDの記載を含む電子申請周知リーフレットを全ての年度更新事業場に送付をしているところです。cは、オンライン申請に関するオンラインのサポート体制の構築です。これは、昨年の5月よりチャットボットによる自動応答サービスの運用を開始させて頂いていることで、現在も対応しているということです。dは、オンライン申請の利便性等の周知です。年度更新期間の1か月前の5月1日から年度更新期間を通じてインターネット広告や動画広告によるオンライン申請の利便正等の周知広報を集中的に実施しているところです。eは、社会保険労務士へのオンライン申請の周知です。今年度は、令和5年5月、6月の発行の「月刊社労士」においてオンライン申請の利便性等に関する記事を掲載して、周知を行っています。
 その下のポツですが、原則月1回、全国社会保険労務士連合会と定期協議会をやっておりまして、そこでの意見等を踏まえながら、対応等を考えているところです。一番下に書いてありますけれども、引き続きオンライン利用率の引上げに取り組んでまいりたいと考えております。私からの説明は、以上です。
○補償課長 補償課長の児屋野です。引き続きまして、電子申請の関係で労災保険の特別加入に関するものについて御説明を申し上げます。資料3-2になります。
 2ページ目ですが、最初に申し上げたものと重複するところは割愛させて頂きます。労災保険の特別加入におきまして対象手続は5つで、このうち①として特別加入に関する変更届のうち中小事業主と一人親方の分、それから、②として特別加入に関する変更届のうち海外派遣者の分、この①と②は利用率を50%、それから③④⑤とありますが、これらについては利用率は20%まで引き上げることを目標としております。
 次のページですが、目標値の進捗です。令和4年度までのそれぞれのグラフを書いておりますが、見て頂いて分かるように、それぞれ順調に右肩上がりで伸びてきていると感じております。御参考で、3ページの上の表の右側に5年度の上半期の数字も入れさせて頂いております。④と⑤、上から4番目、5番目に特別加入脱退の申請、それから給付基礎日額の変更申請が若干数字が下がって見えますが、4年度の上半期と比べると2つの数字も伸びているところでありまして、この後も順調に伸びるように取り組んでいきたいと思っております。
 次のページですが、取り組むためのアクションプランを4ページに記載させて頂いております。aとして、制度の周知は労災保険の年度更新に合わせて各事業主や特別加入団体、これら全てに行き渡るよう周知を行って、併せてGビズIDの活用というものを周知させて頂いているところであります。
 真ん中のb、申請の入力支援の拡充として入力項目、入力しなければいけない必要項目のところにハイライトで色を付けて、入力漏れがないようにするとか、必要文字数の制限表示をあらかじめ示しておくことで入力漏れや誤記入がないようにするということを取り組んでいます。
 それから一番下のcとして、労働基準システムと特別加入システムの連携。業務システムは2つに分かれていますけれども、これらを連携することによって、より一層使い勝手のいいようにすることを目指しておりまして、これについて関係部署と調整しつつ取組を目指していきたいと考えております。私からは、以上です。
○守島部会長 それでは、ただいまの御説明2件に関して何か御質問、御意見のある方はお受けしたいと思います。いつものルーティーンでお願いいたします。どなたかいらっしゃいますでしょうか、特にありませんでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、特段の意見がないようですので、これでこの件については終わりにしたいと思います。その他に何かありましたらお伺いいたしますけれども、いかがでしょうか。大丈夫ですか。ありがとうございます。それでは、本日予定した議題は以上ということになりますので、部会はこれで終了させて頂きたいと思います。
 次回の日程については、事務局より追って連絡することといたしたいと思います。それでは、本日は以上です。皆様お忙しい中お集まり頂き、どうもありがとうございました。