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第10回 社会保障審議会年金記録訂正分科会 議事録
日時
令和4年12月21日(水)14:00~15:25
場所
全国都市会館3階 第2会議室
東京都千代田区平河町2-4-2
東京都千代田区平河町2-4-2
出席者
- 会場出席委員:
- 山口分科会長、瀨川委員、池田委員、石倉委員、大西委員、加倉井委員、鈴木委員、西村委員、南委員
- オンライン出席委員:
- 野口委員
議題
年金記録の訂正に関する事業状況(令和3年度事業状況及び令和4年度上期概況)
議事
- 議事内容
- ○中嶋年金記録審査室長 それでは、大変恐縮でございます。定刻の14時になりましたので、ただいまより第10回「社会保障審議会年金記録訂正分科会」を開催させていただきます。
当初の進行を務めます年金記録審査室長の中嶋でございます。よろしくお願いいたします。
委員の皆様方におかれましては、年末の御多忙の折、御出席をいただきまして誠にありがとうございます。
初めに、委員の皆様の出欠状況につきまして御報告をさせていただきます。
本日は全委員から御出席の連絡をいただいております。
本日も昨年に引き続きまして、新型コロナウイルス感染症対策の観点からオンライン併用での開催とさせていただきました。本日は、野口委員がオンラインで御出席となっております。
続きまして、事務局の出席者の御紹介をさせていただきます。
年金管理審議官の宮本でございます。
○宮本年金管理審議官 宮本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○中嶋年金記録審査室長 引き続きまして、事業管理課長の樋口でございます。
○樋口事業管理課長 樋口です。よろしくお願いいたします。
○中嶋年金記録審査室長 続きまして、日本年金機構の出席者の御紹介をさせていただきます。
年金記録企画部長の加藤でございます。
○加藤日本年金機構年金記録企画部長 加藤でございます。よろしくお願いします。
○中嶋年金記録審査室長 続きまして、国民年金部長の西尾でございます。
○西尾日本年金機構国民年金部長 西尾でございます。よろしくお願いいたします。
○中嶋年金記録審査室長 引き続きまして、厚生年金部長の村上でございます。
○村上日本年金機構厚生年金部長 村上でございます。よろしくお願いします。
○中嶋年金記録審査室長 それでは、大変恐縮でございます。ここからの議事運営につきましては、山口分科会長にお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
○山口分科会長 ありがとうございます。白波瀬前分科会長の後任として分科会長を務めさせていただいております山口です。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入らせていただきます。説明の前に、資料の確認をさせていただきます。事務局からよろしくお願いいたします。
○中嶋年金記録審査室長 それでは、本日の資料につきまして皆様の机上に配付させていただいております資料の確認でございますが、座席表と、議事次第と、あとは資料「年金記録の訂正に関する事業状況」となっておりますが、皆様お手元にございますでしょうか。
オンラインで御出席いただいている野口委員につきましては、あらかじめ送付させていただいておりますので、お手元に御準備いただければと存じます。
○山口分科会長 それでは、議事を進めてまいります。
恐縮ですが、カメラにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
○山口分科会長 本日の議題は「年金記録の訂正に関する事業状況(令和3年度事業状況及び令和4年度上期概況)」でございます。
御存じのとおり、年金記録の訂正請求は平成27年2月に当分科会で議論した内容を踏まえ、厚生労働大臣が示した訂正に関する方針に基づき、平成27年3月から年金事務所での受付を開始し、平成27年4月から地方厚生局などにおいて訂正請求に関する事務処理を行ってきております。
前回、令和3年12月の分科会では、事務局から令和2年度及び令和3年度上期の事業状況の報告を受け御議論いただいたところですが、今回の分科会では令和3年度及び令和4年度上期の事業状況について事務局から御説明をいただき、委員の皆様に御意見等をいただきたいと考えます。
それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○中嶋年金記録審査室長 それでは、お手元の資料、「年金記録の訂正に関する事業状況」について御説明させていただきます。
まず資料の1ページ目からでございますが、現在の制度の受付状況についてでございます。令和3年度の受付状況につきましては、お手元の資料のとおり6,013件ということで前年度よりは増加しております。
主な増加要因は、厚生年金が前年度5,743件ということで、前年度の同期比で745件増えているということでございます。
ただ、訂正請求の受付件数の推移ですが、総務省時代、総務大臣宛てのいわゆる第三者委員会当時の期間を含めますと、平成21年のピーク時に6万件の申立てがあったときと比べますと、令和3年度は6,013件ということで約10分の1、減少傾向は変わりがないところでございます。
また制度別割合で申しますと厚生年金が95.5%ということで、厚生年金がかなりの位置を占めているということでございます。
次が令和4年度上期の受付状況、令和4年4月から9月までの状況ですが、これは前年度の同期と比べまして1,026件の減少ということになっております。今年度の直近の数字である上期は、厚生年金、国民年金いずれも前年度の同期と比べると減少というような傾向を示しております。
この辺の状況につきまして、図表にしましたものが2ページ目でございます。2ページ目を御覧いただきますと、「(2)制度別の受付件数」ですが、令和3年度は6,013件となっておりますが、この中で主な中心となる増加要因は一括請求が4,212件ということで、昨年度より伸びているのがこの中で一番大きな増加要因になっております。一括請求が昨年同様、増加しているということでございます。
続きまして、3ページ目は令和元年度から見た処理件数の状況でございます。この辺につきましては後ろのページにグラフ化したものがございますので、そちらでまた説明させていただきます。
4ページ目は、総務省第三者委員会当時の処理件数の推移でございます。平成21年度が6万件ということで、ピークがございました。
5ページ目が「制度別・処理事案別の処理件数」ということで、厚生年金の受付が多くなっていることもございまして、処理事案の件数も圧倒的に厚生年金が多いということでございます。
また、右側のグラフを御覧いただきますと、処理事案について第三者委員会なり厚生局で疎明基準をもちまして審議会の審議を経て決定をしているものと、あとは日本年金機構の段階で一定の証拠があるものは記録回復しているわけですが、令和3年度には81%は日本年金機構で記録訂正が行われ、厚生局で訂正が行われているのは約19%ということになっております。
6ページ目でございます。これは各制度別の処理件数と訂正決定の状況でございますが、令和2年度、令和3年度で見ますと同じような傾向を示しております。
7ページ目は、いわゆる訂正決定になったものについての割合、記録訂正率でございます。これで御覧いただきますと、機構で訂正されるものの件数が増えているのもありまして、記録訂正率は非常に高いものになっております。後ほどまた数字が出てまいりますが、これの主な要因は賞与事案でございます。
続きまして8ページ目でございます。申立てがあれば一定の取下げはあるわけでございますが、令和3年度におきましても310件の取下げがあるということでございます。大体、例年ベースでございます。
引き続きまして、9ページ目でございますが、令和3年度末現在で記録訂正の処理がどのぐらい進んでいるかというのを調べて示しているものでございます。令和2年度は最初に新型コロナウイルスの感染が判明して、そのために緊急事態宣言とかいろいろありましたことが影響してちょっと処理の遅延もございましたが、令和3年度におきましては、その後、令和2年度の事案処理等も進みまして、お手元の9ページの表の4段目の「処理中事案件数」を御覧いただきますと、昨年度は1,676件、年度末にまだ処理が終わっていないものがあったのですが、令和3年度末は1,317件ということで処理は着実に進んでおります。
続きまして、10ページ目でございます。これはいわゆる事案処理に要する処理期間ということで、厚生局の処理、あるいは機構処理について(1)(2)というふうに出しているのですが、(1)を御覧いただきますと、令和2年度の全制度平均というのが一番上に載っていて225.4日とあったのですが、やはり令和2年度は新型コロナウイルスの発生で全国的な緊急事態宣言で、人の流れの抑制とかテレワークとかいろいろありまして、この事案の中で一番影響のある厚生年金について事業所等に対するいろいろな調査にかなり時間がかかったとか、そういう特殊事情もございまして225.4日ということになっていたのですが、令和3年度におきましてはその辺につきましても対処方針なり、いろいろなやり方というのでしょうか、そういったものもかなり改善されてきまして、まだ制度全体は標準処理期間よりは長いのですが、225.4日よりは改善されている方向にあります。
続きまして、11ページ目からは請求している方の属性と申しますか、状況でございます。どのような属性があるのかということなのですが、やはり被保険者本人が遺族に比べて圧倒的に多いという状況が見て取れます。
それで、12ページは「被保険者の年齢階層別」ということなのですが、12ページ、13ページを通して御覧いただきますと、やはり年金受給の一歩手前の50代とか、その辺がやはり多うございまして、13ページを御覧いただきますと裁定済み者、受給権者よりはやはりその他の現役世代のほうが多い状況でございます。この辺は、この数年来変わっていない状況でございます。
14ページは請求者がどこに住んでいるかということなのですが、基本的にはやはり大都市の請求者が多いというのが基本的傾向でございます。
ここまで、14ページまでがいわゆる1事案を単位として資料を取りまとめたものなのですが、15ページからはいわゆる1つの事案の中に請求期間は複数含まれることがございまして、御案内のとおり44ページの最後の参考資料5にもございますが、1つの請求事案の中で請求期間が複数、幾つもある方もいらっしゃいますので、申立てをなさった方の請求事項を詳細に見るにはこの請求期間に分類する必要がございますので、15ページからはこの請求期間について資料を取りまとめたものでございます。
厚生年金につきましてはここにありますようになっておりますが、令和2年度は事案でいうと厚生年金が中心になっているのですが、厚生局処理事案が令和2年度は1,207件ありましたのが令和3年度は1,153件で、事案の処理件数も若干令和3年度のほうが減っておりますので、その辺が影響してこの厚生年金、国民年金、脱退手当金の数字に表れていると思います。
ただ、厚生年金におきますと、やはり厚生局処理事案におきましても賞与に関する訂正請求が圧倒的に多いというような状況でございます。
16ページ目は、では請求期間を時期で見るとどうなのかということなのですが、御覧いただきますと平成15年4月以降の件数が多いということで、これは御案内のとおり賞与から保険料を取るようになったのが15年4月なので、賞与事案が顕著に影響しているものということでございます。
続きまして17ページ目でございますが、こちらも1か月が非常に多くなっておりますが、これも御案内のとおり賞与事案が非常に多いということの現れでございます。第三者委員会以来、賞与は1か月として計上しておりますのでこういった数字になっております。
18ページ目ですが、それではその請求期間の訂正、不訂正はどんな状況になっているのかということを表しております。若干の出入りはございますが、やはり厚生年金は賞与が9割近い訂正決定ということになっておりますので、厚生年金はそれなりに訂正率が高い。それで、国民年金等は第三者委員会以来の推移もございましてこのような訂正率になっております。
続きまして19ページでございますが、1つの請求期間がどのぐらいの月を含んでいるかということです。これは御覧いただきますと、特に厚生年金の「標準報酬月額に係る訂正請求」なのですが、訂正決定されたものでも平均で31.9か月、不訂正でも28.3ということで、一般的に標準報酬についての申立ては大体、1年、2年、3年、長期間にわたる申立てが多い傾向がありますが、令和3年度におきましてもそういった傾向が見て取れるようでございます。
20ページと21ページ目は先ほどの繰り返しになって恐縮でございますが、請求期間と、請求期間の月数別を訂正、不訂正に分けたものでございますが、20ページを御覧いただきますと、請求期間の時期で見たものではやはり15年の4月が多い。それで、訂正決定が多いのはやはり賞与の影響でございます。
また、21ページ目は月数で見ると1か月が多いのですが、これはやはり賞与事案が多いということの影響でございます。
恐縮でございます。22ページ目でございますが、厚生年金におきましては訂正決定に至るのにいわゆる厚生年金法75条ただし書に該当するか、あるいは厚生年金特例法1条1項、事業主が保険料を控除したけれども、結局届出漏れで保険料が納付されていないというケースと、あとは75条本文、これは記録は直すけれども年金額には結びつかないというものでございますが、このような状況になっております。やはり厚生年金特例法、いわゆる保険料は引いたけれども納付されていないケースが圧倒的に多いという状況は例年と変わりないところでございます。また、その中でも賞与が非常に多いということでございます。
続きまして、23ページ目からはいわゆる第三者委員会以来、厚生局処理事案でも審議会の審議におきましても積極的事情、訂正に働くプラスの事情、消極的事情、どちらかというと不訂正に働く事情がどんな状況かという話なのでございますが、結局のところ訂正に結びつくものはやはり積極的事情が多くて、不訂正になるものは消極的事情が多いというようなことが数字でも表れていると存じます。
24及び25ページはその辺の細かい事情を載せているものでございますが、ただ、1点、毎回恐縮なのですが、これらの数値につきましてはいわゆる該当する事項を機械的に並べておりまして、審議会においてどれが決定的な事情だったのかというのは表しておりませんのでこういう数字になっております。
続きまして、26ページ目でございます。これはいわゆる日本年金機構の段階での訂正処理の状況でございますが、これを御覧いただきますと、やはり賞与が処理件数の中で97%と圧倒的に多いということで、賞与の処理が中心になっているということを表していると存じます。
ここまでがいわゆる訂正請求の中身の話でございますが、28ページ、29ページにつきましては地方年金記録の訂正審議会の審議状況について示しております。この表を御覧いただきますと部会の開催状況等々ですが、各部会におきましても着実に事案の処理をしていただいているような状況でございます。
29ページ目でございますが、「諮問期間の状況」ということで、大体諮問をして答申が行われる場合なのですが、8日から14日以内、大体2週間以内ぐらいで諮問、答申ということが多いという状況でございます。
ここまでが訂正請求に係るものでございますが、30ページ目からは駆け足で恐縮でございますが、いわゆる「審査請求」、厚生局で行われた不訂正決定等に対して私ども年金記録審査室に審査請求という形で挙がってきたものの状況でございます。
立ち上がりの27年頃は3桁で推移していたのですが、最近はだんだん件数が減っておりまして、令和3年度では60件、今年は上半期で22件というような状況で、ここ数年は審査請求の受付が減っているという状況でございます。
ここで合計がなくて恐縮でございますが、審査請求事案の令和4年度9月末現在までの累計は709件ございまして、そのうち683件は処理が終わっております。ですので、96%は処理済みということでございます。
続きまして、31ページ目は審査請求の内容でございます。審査請求におきましては、(2)を御覧いただきますと、厚生年金は受付件数で多いのですが、審査請求におきましては国民年金も結構件数があるということでございます。
あとは(3)の被保険者の区分別ということなのですが、やはり裁定済み者、受給権者のほうが審査請求がかなり多いということですが、この傾向も例年と変わっておりません。
32ページ目でございますが、各制度別に請求期間に分類した場合のケースでございます。審査請求になりますと、国民年金がやはり一定の件数はあるということでございます。厚生年金はどうしても多いのですが、このような状況でございます。
それで、33ページでございますが、いわゆる訴訟でございます。訴訟につきましては、令和4年9月30日まで累計で「(1)提訴の状況」にありますとおり69件ありまして、そのうち(3)、下を御覧いただきますと、48件は判決が確定して取下げが6件、係争中が15件ということになっております。こういった結果になっておりますが、裁判の中では先生方にも御審議いただいて策定された基準要領という基本的な枠組みに影響するような判断はなされず、基本的な枠組みは司法の場でも是認されているものと考えております。なお、個別事案で若干いろいろ指摘などはあったようでございます。
続きまして、34及び35ページは「事務執行体制」ということで、36ページ以下は参考資料ということでございます。
大変駆け足で恐縮でございますが、令和3年度の事業概況、令和4年度上期の概況は大体以上のとおりでございます。よろしくお願いいたします。
○山口分科会長 ありがとうございました。
それでは、委員の皆様から御意見、御質問を頂戴したいと思います。いかがでしょうか。
それでは、まず瀬川委員いかがでしょうか。
○瀬川委員 瀬川でございます。
毎回御報告を頂戴していて、全体の傾向としてそもそも訂正申立て全体が極めて正常な状態にある傾向を示してきているというところではとてもいい傾向なのかなと、まず思っているところです。
その中で、先ほど御指摘いただきました厚生年金関係のいわゆる賞与事案、これがここ数年相変わらず一括請求の数が横ばいという感じを印象として受けるんですね。一括請求というのはどういうことが契機で行われたのだろうかというと、多分これは日本年金機構の皆様方が各事業者に対していろいろな形で賞与案件等々についてのレクチャーあるいは指導、そういったことがされたことによって見直しがされて、ではこの際間違えているから一括で請求して訂正、申立てをいたしましょうという流れなのかなと想像しているのですが、その辺のところについて年金機構の皆様方はどういう具体的な指導をされていて、そして一括請求事案というものがどういったきっかけで出てきているのか、御認識をお示しいただければと思うのですが、いかがでしょうか。
○山口分科会長 よろしくお願いいたします。
○村上日本年金機構厚生年金部長 日本年金機構厚生年金保険部の村上と申します。先ほどいただいた質問について、私から説明させていただきます。
日本年金機構におきましては事業所調査と呼んでおりますが、定期的に各年度の優先事業所を選定いたしまして、その優先事業所に対して訪問もしくは事務所に来ていただく、もしくは郵送調査によってその事業所がどういう賃金を払っているのか、その中で届出漏れがないかどうかということを定期的に調査しております。
この事業所調査といいますのは、本来はこの法律の時効の範囲内の2年以内に、例えば昨年の12月に賞与の本来は届け出るものが賞与の届出がなかったという場合は、その場におきまして賞与届を書いていただきまして、昨年12月分で例えば10名漏れていたとしましたら、10名分の賞与支払届を提出していただいております。
さらに遡って去年の6月、例えば6月と12月に払う企業でございましたら6月はどうでしょうかというふうに調べてまいります。その時点で、事業所調査をやった時期もございますが、2年を過ぎているものにつきましては現在の厚生年金保険法におきましては時効がございますので、2年以内の分しかその場で届出は取れないという形になっております。
更に、賃金台帳をめくっていきまして、それ以前分はどうなのでしょうかという質問をいたしまして、どうもその会社が賞与を出さない、もしくは賞与という概念を理解されていないような場合については、これは2年以上前につきましても賞与漏れがあるのではないかということで、その場合はその場では届出を取ることができませんので、訂正請求を御案内いたしまして、2年以上ある場合については訂正請求という制度がございます、その制度におきまして、請求をいただきたいということを御指導させていただいています。
その中で、会社のほうでこれはどうも我が社としまして賞与の届出が漏れていたということでございましたら、一括請求という制度を利用して2年以上前の賞与届を出すというケースは、恐らく数の中では一番多いと思っております。
それ以外のところでも、例えば事業所に対する説明会の中で普通の報酬だけではなくて賞与というのも払わなければいけないのですよというような説明をいたしたところ、それを存じ上げなかったような会社につきまして、なるほどということで一括請求いただく場合、もしくは事業所の方は理解していなくても被保険者の方で理解していて、我が社は賞与を払っているけれども、実際に私の3年前、4年前の賞与についてはどうでしょうかというような会社に問合せをされまして、その中で気づくというパターンもございます。
いずれにしましても、我が日本年金機構としましてはあらゆる機会を利用しまして、賞与だけではないのですが、届出漏れがないように事業所を指導してまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○山口分科会長 ありがとうございます。
今のご意見に関連して、事業所調査は何年かで全数を調査していくと思うのですけれども、広報とか研修はどのような形で全体に行き渡るようにやられているのでしょうか。
○村上日本年金機構厚生年金部長 広報につきましては、一番一般的な手段としましてはホームページ、もしくはツイッターといいまして、そこにフレーズだけ入れておきまして、そのフレーズに関心のあるところをクリックしていただくと、その知りたい記事が知れるという手段はございます。
最も直接的な広報手段としましては、事業所に保険料をお支払いいただくときに各事業者様のほうに納入告知書というものを月々郵送させていただいておりますが、その納入告知書は、例えば今月は20万円の保険料がありますよという通知を企業に郵送でお渡ししているのですが、これが我々と企業を直接結びつける、いわゆる個別に郵送することによって何かがあったときにお知らせする手段として有効な手段というふうに考えておりまして、その中に例えば制度改正がありますとパンフレットを入れたりとか、定期的に毎月、毎月、日本年金機構からのお知らせという広報紙を同封しております。
それで、そのお知らせの中にその月に知っていただきたいことの記事を5つか6つかピックアップしまして各事業所のほうに、今月はこういうことに注意してくださいね、来月、来年、こういう制度改正がございますよというお知らせをいたしますが、先ほど6月、12月というふうに賞与のことを申し上げましたが、多くの会社におきましてはやはり6月と12月に賞与を払うという企業が多いので、その前月の5月号と11月号の日本年金機構のお知らせにおきまして、賞与の届出の漏れ等はございませんかという記事を必ず載せるようにしております。
3年度と4年度はそれぞれ年2回、5月と11月に賞与の届出漏れ等はございませんかという呼びかけをいたしまして、おのおの企業のほうにお知らせをさせていただいておりまして、それにより気づく会社、もしくはそれを意識していただく会社というのがございますので、そういう手段を通じて各企業のほうに広報させていただいております。
○山口分科会長 ありがとうございます。
では、お願いします。
○大西委員 それと関連した質問で申し訳ございません。大西です。
非常に実務的な質問で申し訳ないのですけれども、平成30年7月に厚労省から機構宛てに賞与に係る方針の取扱いについての一部改正といったものが発出されていまして、通常の報酬と賞与に係る報酬とはっきり明確化するといったような通達だったと思うんですけれども、もし機構さんで事業所調査の結果を把握されているのであれば、この取扱いの改正によって通常の報酬だろうと思って賞与支払届を提出しないケースなのか、もともと届出次第を失念するケース、こういったケースの把握というのはされているのでしょうか。お願いいたします。
○村上日本年金機構厚生年金部長 回数によるのですけれども、年3回以内であれば賞与というふうにカウントしていまして、4回以上であれば通常の報酬に入れます。このことにつきましては法律改正の前後におきましてPRさせていただいておるのですが、やはりまだ認識していない、もしくはボーナスとして払っているのが年3回もしくは年2回ですけれども、特別手当みたいないわゆる会社の中ではボーナスというふうに認識していないようなものがあったりして、それが実は年3回と4回の回数のカウントの仕方が違っているというようなケースは多々ございます。
ですから、その都度、各会社の事業所にお伺いしたときに、これも賞与に数えますよと、回数もこの回数であれば賞与として払っていただきますし、それ以外の通常の報酬であれば通常の報酬としてカウントしてくださいねという形で、これは通知があったからというわけではないのですが、おのおのの会社によって給与の規定、もしくは会社によっても景気のいい年に非常に売上げが多かったので今年は臨時にボーナスを払おうとかという会社がございますし、それはおのおのの会社によって御指導させていただく内容も違ってございますので、いずれにしても一つ一つの会社の状況等を見てその都度、その都度、会社のほうに御案内させていただいているという内容でございます。
○山口分科会長 では、池田委員お願いします。
○池田委員 私のほうは非常に感覚的な御質問で申し訳ないですけれども、先ほどの瀬川委員の御質問ともちょっと重なるのですが、確かに私も大変記録訂正の確認や受付の件数が確実に減ってきていたと思っていたのですが、令和元年度、2年度辺りから厚生年金の一括請求の数が増えてきたということもあって、少し下げ止まって少しずつ上がってきているのかなというような感覚を、ただ、国民年金はそうでもないのですが、そう感じている中で、感覚的な御質問と申し上げたのは、先ほど山口分科会長の御質問で研修と広報の話もありましたし、また、そもそも相談受付という辺りはコロナの状況というところでの人の行き来の問題も含めて、コロナ蔓延の影響等がこういった数字に影響するようなことはあったのでしょうか。
今後、今のCOVID-19は少し落ち着くかもしれませんけれども、いろいろな状況があり得る中で、私としてはもう下げ止まってきているけれども、コロナの影響的なものがここ2、3年あったのかどうかというところでお聞きしてみたいと思っていたので、どなたかお答えいただければありがたいと思っています。お答えにくいかと思いますが。
○山口分科会長 では、中嶋室長お願いします。
○中嶋年金記録審査室長 それでは今、委員が御指摘になられましたコロナの感染の関係でございますが、今回は令和3年度の件数になっておるのですが、あくまでもこの訂正請求の数字だけなのですが、今お手元の資料にはないのですが、令和2年度は5月は非常に申立て件数が少なかった。それは、恐らく緊急事態宣言が出て、日本全国に緊急事態宣言発令というような形にもなっていたので、やはりそういうものが令和2年の年度当初、件数にも影響したのかなと思うのですが、ただ、私はあくまでも件数の推移だけでいくと、令和2年の5月に通常ですとたしか2桁くらいだったのですが、あとは特に目立って少ないとか、そういう傾向は6月以降からはなかったものですから。
ただ、委員が御指摘のとおり、では全くないのかどうかと言われますと、その辺はちょっと自信がないのですが、やはり件数の動向に何らかの影響は与えているのではないかと思っております。誠に要領を得ない回答でございますが、明らかに件数が減っているのは1か所はございました。
以上でございます。
○山口分科会長 よろしいでしょうか。
○池田委員 はい。
○山口分科会長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
では、石倉委員お願いします。
○石倉委員 石倉です。
私も毎年このような結果を見せていただいて、業務としては非常にしっかり取り組んでいただいているという実感を持って見させていただいています。本当にお疲れさまです。
その中でまず1点目、皆さんの議論にあった賞与の部分については、やはり提出する側の失念というのが非常に大きい。要は、提出を失念してしまったというケースが多くあるだろうと、実務の現場にいると思います。
それで、特に賞与支払いがないというふうに登録している会社もあるわけです。そういうところが、先ほど来お話があるように今年の営業成績がよかったからちょっと出そうかとか、人材確保のためには涙程度でも出そうかというようなところがあって、そういうところが出てこないケースも見受けられますので、いわゆる届出を登録していない事業所についてもやはり広く周知の徹底を図っていただく。先ほど広報の件で納入告知書を入れていただいているというお話がございましたが、ここは強く周知していかないと減っていかないだろうなという気がしております。
2点目ですけれども、来年特老厚の支給開始年齢が追いついてしまうがためにターンアラウンドをたしか60万人分送るというようなことになっていると思うのですけれども、そうなってくると自分たちの記録に興味を持って見る人たちが増えてくる。
それで、1つはねんきんネットの登録者の傾向が今どうなっているのかということ。そして、できれば記録が重なっている部分であったりとか、未納があるということについての指摘、おたくはここがこういうデータになっていますよというようなことが個人で分かるようなお知らせというか、そのような形ができると、早めに記録についての訂正もできてくるだろうなという気がしております。
違う視点でお話しすると、健保組合の事業所で厚年適用の場合で、届出については昔は紙ベースでしたから1か所で健保組合に出せば年金のほうに回送してくれるというような流れがあって1回で済んでしまった。
ところが、今は健保組合に出すのと、年金事務所のほうに出すのと、2通り出さなければいけないというケースがほぼ全部あるわけです。
そんなときに、実際にあったケースなのですが、国年の3号、いわゆる扶養減の届出を出すときです。国年の3号から1号へ変更するというときなのですが、扶養減の届出を出せばもう済んだというふうに思ってしまう事業所があるんです。これは全国健康保険協会に出す場合は扶養減の届出でできてしまいますから、そんな形で実際は3号の記録が消えていないので1号にも入れなかった。これはどういうことですかというようなことで御相談が来たりするケースもあるんです。
ですから、今は多様な働き方ということで様々な働き方をしている人が増えてきていますから、いわゆるフリーランスやギグワーカーなど、そういうような方々が主流になることを考えれば、やはりもうちょっと1か所でやれれば、いわゆるワンストップというのでしょうか、そういうふうにやれる形を考えていただけると非常に漏れもなくなるかなという気がしております。
いずれにしても、これから先は来年の60万の件もありますけれども、年金記録が重なっているとか欠けているという部分については非常に目につく時期になってきますので、ぜひその辺の御対応も御検討の一つにしていただけると記録訂正というのはなくなってくるかなという気がしております。
いずれにしましても、しっかりとした業務を遂行いただいているということで感謝申し上げたいと思います。
以上です。
○山口分科会長 ありがとうございます。
ただいまのねんきんネットの利用状況ですとか、その手続に関することについて御説明をお願いできますか。
では、お願いいたします。
○加藤日本年金機構年金記録企画部長 年金記録企画部の加藤でございます。
まず最初に私のほうからねんきんネットの状況でございますけれども、ねんきんネットの前にねんきん定期便の御紹介もしたいと思いますが、平成21年からねんきん定期便を開始しております。それで、3年度実績になりますけれども、6300万人の方にねんきん定期便をお送りしている状況です。
内訳については、はがきで皆さんにも届いていると思いますけれども、直近1年のものはハガキが6000万件くらいで、残りの部分、400万件近くになるのですけれども、それは節目年齢といいまして年金の受給のターニングポイントになる35歳、45歳、59歳の方に全期間通知という形で大きい封筒のものを送らせていただいております。それを見て、記録が違っていたりとか、そういったものを御確認いただくという取組を行っております。
それで、御意見のあったねんきんネットでございますけれども、これについては10月末の数字でございますが、現在833万人の方が御利用いただいております。これは年々増えております。
それで、特に最近マイナポイントの関係もありまして非常に増えておりまして、マイナ経由でこのねんきんネットにアクセスされる方が令和2年度末で7万人おりましたけれども、令和4年10月で129万人ということで飛躍的に増加している。そういったねんきん定期便とねんきんネットを御覧いただいて、自分の記録が違うとか、そういったものを御確認いただくということを機構としても積極的に周知しております。
ホームページでも、こういったケースで違うとか、そういったものは掲載させていただいておりますけれども、現在その記録の関係上、申出があるのが年間16万件位あったと思いますが、それについては早めに確認して、修正すべきものは修正していただく。
今後ねんきんネットの利用が増えていけば、記録確認のきっかけも当然増えてきますので、できるだけこちらのほうを上げるようにしたいと考えています。ねんきんネットはいろいろ御意見がありまして、使いづらいとか、分かりづらいとか、そこについては適宜修正をかけております。こういったものを利用して、御本人の記録をきちんと管理していくような形でやっていきたいということの取組は進めている状況でございます。
あとは、特老厚の関係でございますけれども、令和5年度に男女が特老厚の年齢到達になるタイミング、大体女性、男性、女性、男性交互なんですけれども、前回でいうと令和2年が同じタイミングになったのですが、令和5年度に同じ状況になります。それで、先ほど委員からも御指摘がありまして、恐らく通常の3割くらいは増えるのではないかと思っておりますけれども、年金相談の体制を拡充するということで既に準備しております。
なかなか定員が厳しい状況の中でこれらに対応していくというのは厳しいのですが、年金相談の窓口のブースに入っている方と、あとはバックヤードで書類を審査する方ということで我々は体制を組んでおりまして、これは過渡期対応でございますので、バックヤードの方をちょっとブースを増やして対処するということで、現在ハードもソフトも含めて体制強化をするということで、対応していくこととしています。
私からは以上でございます。
○山口分科会長 よろしいでしょうか。
では、続きをお願いします。
○村上日本年金機構厚生年金部長 1番目の質問の賞与の未登録の事業所についての対策の件でございます。昨年もこの場で賞与の届出をどういうふうに決定するかということで私の前任のほうから、2か月前、賞与を登録している事業所につきましては前月に、あなたのところは賞与の時期ではないですかという届出の勧奨をいたしまして、それでも出してこないところにはさらに事後の勧奨をいたしまして、それでもどうしても出してこないところについてはそこに対して事業所調査をするという説明をさせていただいたと思います。
それで、恐らくその中ではあくまでも賞与の届出、登録をしているところに関する対策で、それ以外にも広報等をしているという説明だったと思いますが、先ほどのステップを3つほど踏んだ、どうしても賞与を出してこないところに対する事業所調査というのは、令和3年度におきまして事業所調査全体で20万件ほど私ども日本年金機構のほうでさせていただいたのですけれども、賞与を出してこないところに対する調査というのはその中で1万件ちょっとでございます。
残りの18万件、19万件というのは、賞与の登録があるなしにかかわらず、その事業所に対する届出書に漏れがないかということを全てにおきまして総合的に調査するということをやっておりまして、賞与の登録のないところにつきましても従業員の加入漏れがないか、報酬の漏れがないか、その中に賞与の漏れもないかということを調査いたしまして、仮に賞与の登録をしていない事業者であったとしても賞与を出しているところがありましたら、おたくの会社では賞与を出すという決まりがありますね、その中で賞与を出していないですねというのがありましたら一つ一つ御指導させていただいて、1度賞与を出していただきますと、今度はそれを登録側に回していくというか、仮にそれまで登録していなかったところで7月に賞与を出すということが事業所調査の中で判明いたしますと、翌年度以降は7月の前の6月から勧奨していくという仕組みがございます。
それで、全ての事業所を全部網羅的に調査できればいいのですけれども、事業者の加入というのは短時間労働者の加入の促進であるとか、その他の対策もございまして、現在全国で260万事業者ございます。それで、私どもは1万少しの職員の中で順序立てて調査しておるのですけれども、なかなか260万全部を網羅的に全て調査するというのはなかなか時間との調整もございますが、可能な限り事業所調査で、それを補足する形で広報ということで登録のない事業者についても漏れがないような対策を打ってまいりたいと思っております。
以上でございます。
○山口分科会長 いかがでしょうか。
○石倉委員 おっしゃるとおりだと思います。よく理解できるのですけれども、事業所調査をして発覚というのはいいことではないと思っているのです。そういうことの事後対応ではなくて、事業所が自分たちのところから出すというような形のものがしっかりつくれていくことが一番いいわけで、そのための周知徹底といいますか、そういうところは私どももしっかり御協力しながらやっていきたいと思いますし、力を入れていただければと思います。
あとは、先ほどもちょっと言った健保組合の問題は別のところにもあるのかもしれないので、なかなか今日お答えはいただけないと思いますけれども、やはりそういう事例もあるんだということの御認識をいただきたいと思います。
○村上日本年金機構厚生年金部長 承知いたしました。おっしゃるとおり、出てこなかったからでは遅いと思いますので、いかに出すということに関しての周知徹底なり、対策を打ってまいりたいと思います。
先ほどの届出書につきましても、おっしゃるとおり協会けんぽであれば、協会けんぽと扶養と3号、配偶者の方、これがセットになっていますので、日本年金機構にさえ出せば届出書は1つになるという形になっておるのですけれども、健保組合でございますとその辺のところがどうしても保険者が分かれているということになっておりますが、そこで記録の漏れ等がないように今後も検討してまいりたいと思います。ありがとうございました。
○山口分科会長 ありがとうございます。
では、お願いいたします。
○西村委員 西村でございます。
今、賞与の支払届の話で、不支給のところではなくて支給するところに「出し忘れていませんか」というお知らせを出しているというようなお話を聞いたのですが、私は税理士なので現場でいろいろ見ていますと、特に言いたいのは新規加入事業者、特に小規模な事業者で新規に加入したところは、年金の知識に乏しいところが少なくありません。ですから、賞与を払った場合は届を出さなければいけないとか、そういうこと自体、分かっていないんですね。
小さな事業所ができたら年金機構さんから加入勧奨があり、事業所の立場からすると嫌々加入しているわけです。そうすると、知識を得ようとか勉強をしようといった自発的な対応は期待しづらいように思います。したがって、新規事業者の方にその賞与の時期になりましたら、賞与を従業員に払った場合には「届を出さなければだめですよ」という通知をしていただければよろしいのではないかと思います。
小さな事業所の方々に話を聞くと、社会保険の仕組みを理解しているところは少なく、税金と同じように考えています。毎月の金額で保険料が決まるような感覚ですので、それ自体を説明して納得してもらうのも非常に難しい。その辺も含めて、特に新規の小規模事業所には、前もっていろんなことを伝えていけば、賞与支払届などの提出漏れが減るのではないかと常に思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
○村上日本年金機構厚生年金部長 御意見ありがとうございました。
おっしゃるとおり、我が日本年金機構としましては、事業所調査以外に加入促進ということに力を入れておりますが、恐らく入れという加入促進の中で、特に小さな会社が、入ることは分かった、保険料を払うことも大体分かった。ところが、各種手続、例えば賞与に限らず、報酬が上がったとき、下がったときに出す届出、月額変更届などがあるのですよということについて一応説明はしておるのですが、なかなかおのおのの会社の中で御理解が進んでいかないというのは確かに御指摘のとおり問題としてございます。
調査の話ばかりして大変申し訳ないのですけれども、調査は先ほど20万件というふうに申し上げましたが、その中に優先的にここを調査しようという対策も御指摘のような問題があるのは我々のほうでもある程度承知しておりまして、小さな会社、新しく社会保険に入ったような会社で、制度周知が足りなくて、それがために届出が漏れてしまうという問題の対策のために、優先事業所の中で例えば賞与の届出がないところも一つの優先事業者でございますが、新規適用から1年以内の事業所につきまして、制度周知を兼ねた調査というのも一つの優先事業所の中に入れております。
それで、先ほど申し上げましたように、社会保険に入ったはいいけれども、社会保険のことはよく分かっておられない会社、もしくは社会保険は分かっているけれども、どの届出をどのタイミングで出すかということの御理解がまだ進んでいない会社がございますので、そこにつきましても新規加入された暁にどうでしょうか、保険料は毎月大丈夫でしょうか、届出につきましてはこういう制度があるのですけれども、改めまして御理解されていますでしょうかという調査をしておりまして、それ以外にも機会を捉えて制度周知を行いたいと思うのですが、先ほど通知の話もございましたが、その辺のところもどの程度できるかということは我が社の中で検討いたしまして、取り組むべきところは取り組んでまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○山口分科会長 よろしいでしょうか。
(西村委員 首肯)
○山口分科会長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
では、お願いします。
○鈴木委員 鈴木です。
私のほうからは、現在訴訟になっている案件があると思うのですけれども、現状判決がなされたうち原告の請求が認容された件というのは何件ほどあって、判決の要するに不訂正の決定が覆った理由というのはどこにあるのかを教えていただきたいのですが。
○山口分科会長 お願いします。
○中嶋年金記録審査室長 今の委員の御指摘の件なのですが、令和3年と、この33ページの令和4年度上期において今、委員の御指摘のような件数は2件ございました。
それで、2件のうち1件目は厚生年金の事案でございましたが、1か月の資格喪失、年度末の資格喪失日、記録上は3月31日資格喪失ということで1か月分の空白があったのですが、その事案につきましては厚生局の処理の段階では調査を尽くしてはおったのですが、実際に裁判になりまして原告側の知人というのでしょうか、私的な関係の知人が登場して、その証言がかなり具体的ということで裁判所のほうに受け入れられて、そういう新たな証言の登場によりまして、その1か月について勤務実態があったので被保険者期間として認めるというような判断でございました。
したがいまして、この事案につきましても基本的な枠組みに影響はないのですが、ただ、裁判所の認定において新しい証人の証言を裁判所が採用したという事情がございました。
もう一点は、国民年金の事案でございます。その国民年金の事案につきましては、実は厚生局の段階でも非常に微妙な限界事例でございまして、御案内の国民年金の特例納付でございますが、結局何年か納めていなかったものを一定の時点でまとめて納めることができる。たしか3回くらい実施されたと思いますが、その特例納付を本人はしたと言っていたのですが、原処分では不訂正決定ということにしていました。
ただ、実は裁判所の段階では、特例納付の本人が記憶する金額がほぼその当時の特例納付額と一致していること、あとは本人による当時の自分が行ったとする特例納付に関する状況の申立てが非常に具体的で裁判所としては信用できるという二つの点が評価されました。
あともう一点は、これは恐らく厚生局段階でも非常に限界事例だったのですが、この方はその申立て期間以外は保険料を全納しておりました。ですので、その辺のいろんな状況を見て、裁判所ではその申立て期間以外は全納しているということで、非常に保険料の納付意欲も高かったというふうに認定できるのではないか。本人の証言も信用できるということで、裁判所としては原処分を取り消して本人の訴えを認めたという事例でございます。
これも、基本的には国民年金の基準要領の判断に触れるものではなかったのですが、非常に微妙な限界事例だったのですが、実は第三者委員会の先例でも特例納付に関しまして本人の申立て額と実際の金額が一致していて請求期間以外は全て全納である。それで、本人の証言がある程度具体的という条件がそろっていれば、第三者委員会の時代でもあっせんしている事例もございましたので、そういうことも踏まえまして個別事案として私どももそれは認めざるを得ないというような法務局からの御意見もいただいて認めたものでございます。
ですので、ちょっとこれは弁解めいたことで恐縮なのですが、ある程度厚生局としてもかなり調査は尽くしていたのですが、非常に微妙な事情もございまして、なかなか訂正のほうの判断ができなかった。そこを、裁判所は訂正という判断をした。ただ、大きな第三者委員会以来の判断枠組みからすれば外れている判断ではないので、私どももこれも一つの個別事情の判断として認めざるを得なかったというような事情でございます。
概要の説明で恐縮ですが、以上でございます。
○鈴木委員 ありがとうございました。
2番目の国年の事例は、要するにぎりぎりで判断に迷って、結局厚生局では不訂正にした事案ということでよろしいですか。
○中嶋年金記録審査室長 それは厚生局のほうでも、判断に迷ったものと考えております。
○鈴木委員 ありがとうございました。
○山口分科会長 よろしいですか。ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
では、加倉井委員お願いします。
○加倉井委員 加倉井です。よろしくお願い致します。
御報告いただいたことに対しての質問ではありませんが、短時間労働者適用拡大の件についてお伺いしたいと思います。
現在、適用拡大が推進されていますが、このことにより新たに多くの被保険者が誕生することになります。そういう意味では正確な事務手続が望まれるところです。ただ、企業の御担当者の中には、誤った認識から本来加入させなければならない方を未加入のままにしてしまうことが考えられます。
そして、そういったことが起きてしまいますと、その未加入の方が将来年金記録の訂正請求の対象者に上がってくることが予想されます。そういう意味では、この段階で対象者はもれなく加入させることが必要です。
そこで、現在適用拡大に対してどういった取組をされているのか。また、新たに対象となる企業に対して特別な対応をされているのかお伺いしたいと思います。
○山口分科会長 よろしくお願いします。
○村上日本年金機構厚生年金部長 令和4年10月1日、今年の10月1日でございますが、御意見がございましたように適用拡大が行われました。
内容を改めて説明いたしますと、これまで500人超の事業所の方につきましては、本来社会保険の加入をさせる短時間労働者の方について、本来の従業員の方に比べて4分の3以上勤めている方、パートさん、短時間労働者につきましては加入しなければいけないという法律がございますが、平成28年にこれが500人超の会社につきましては週20時間以上働いていれば社会保険にパートさん、短時間労働者であっても加入しなければいけないという法律に変わりまして、これを3段階に分けまして今それぞれの企業規模を縮小、逆に言うと対象範囲は拡大しているような法律改正を行っております。
本年10月におきましては、500人超であった企業規模を100人から500人に適用拡大いたしました。これにより、例えば300人の会社さんにつきましては、これまで4分の3を超えていないけれども20時間を超えていたという短時間労働者、パートさんが多いのですが、そういう方につきましては加入する必要性がなかったのですが、本年10月1日からは週20時間以上働いていれば加入しなければいけないという法律に変わりました。
この制度が非常に加入者にしてみると新たな負担になると同時に、将来的に社会保障のカバーをされるということでメリット、デメリット両方ございますので、幾つかの手段を講じて周知広報に努めてまいりました。
まず、先ほどから事業所調査の話ばかりしておりますが、令和3年度と4年度の2年間を通じまして対象となる企業、いわゆる100人から500人、今回の10月1日の拡大になる対象の事業所につきましては、全ての事業所につきまして周知広報を兼ねた事業所調査を行っております。昨年と今年にかけまして、それぞれの企業を訪問いたしまして、パンフレットを渡しまして、今度10月1日からこういう方々が適用の対象になりますよという説明をさせていただきまして、併せてそういう方が何人おられますかというようなことも聞いております。
さらに、例えば3年度の前半におきましてはまだ対象でなかったけれども、徐々にその対象となる事業所は特定されてきますので、半年前の今年の3月におきましてはその時点で100人超500人未満の会社につきましてそれぞれ個別の御案内をいたしまして、今度あなたの会社は20時間以上働いていれば適用対象の拡大になるかもしれませんので今のうちから準備を進めてくださいという御案内をいたしました。
それで、私どもが聞いている限りでは、恐らく会社さんの中でこのときいろいろ反応がございまして、社会保険に加入したくないという従業員の方もおられると聞いておりました。それで、半年前に行ったというのは、恐らくその方々が社会保険にもしも加入しないのであれば、例えば労働時間を19時間とか18時間とか減らすという、いわゆる就労調整をしなければいけない。もしくは、いっそのこと加入するのであれば、もうパートさんをやめて一般の被保険者、従業員になりたいという方はむしろ時間を長くして普通の被保険者になるかもしれないということで、会社の中での就労調整された場合もあると聞いております。
さらに、今年の8月と9月につきましては、この時点ではある程度この会社が今回の法律改正の対象だということで絞られてきましたので、あなたの会社がこの対象ですよということを直前の8月と9月に御案内いたしまして、あなたの会社につきましてもしもそういう従業員の方がおられましたら10月1日以降に届出を出す必要性がございますという御案内をさせていただきました。
現在その届出を受け付けて、さらに届出が出てこない会社につきまして精査しているところでございますが、届出が出てこない会社につきましては電話なりでこの方々がいるというふうに聞いておりましたが、今、状況はどうでしょうかという質問をするとともに、届出を出すと言って届出を出さないところにつきましてはまた訪問をして調査等をして、社会保険の御理解を進めるとともに、併せてその方々が被保険者になるとともに、もしも御家族で扶養されている方がありましたら、扶養異動届なりほかの届出についても御案内させていただくということで、ある意味この2年間につきましては短時間労働者の適用拡大ということを主に最優先課題として我が社として取り組んでまいりまして、現在もまだ届出のフォローアップをしているという状況でございます。
さらに、先ほど3段階、3ステップというふうに申し上げましたが、2年後の令和6年10月に今度は50人超100人未満も適用拡大の対象となってまいります。今回の我々の感触としましては100人超の会社、特に地方で100人を超える会社というのは立派な会社というか、制度の御理解も非常に高かったと考えておりまして、今回の制度改正については御理解をいただき、非常に協力的にやっていただいたところもございますが、今度は50人超となりますと非常に中小企業と申しますか、なかなか会社の中でも社会保険を一つ一つ御理解して進めているような会社というよりは、地方なり東京なり大阪なりで非常に頑張っておられる中小企業の方が多いと思っております。
ですから、先ほど半年前から周知広報を今年の10月1日対策でしたと言いましたけれども、今度は6年10月につきましてはもっと早めのうちから周知広報いたしまして社会保険の御理解をいただけるように、届出漏れがないような形で取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○山口分科会長 よろしいでしょうか。
○加倉井委員 ありがとうございます。
○山口分科会長 ありがとうございます。
そうしましたら、南委員、何かコメント等はございますでしょうか。
○南委員 ありがとうございます。私も大体、皆様が最初のほうにおっしゃり、瀬川先生や池田先生がおっしゃったように、随分やはり相談案件が減って安定してきたなという印象をずっと持っております。
ただ、細かに見ると、確かに賞与を適用するようになってからのいろいろな状況とか、今のような中小の適用拡大を図っていった場合の様々な課題とか、それなりに時々のいろいろな課題がまだまだ尽きずあるということなのだろうと理解いたします。
それで、私は自分自身も含めてこういうお役を引き受けながら大変お恥ずかしいのですが、日本の年金制度についてものすごく細かに知っているかというと非常におぼつかない限りで、ねんきん定期便というものをいただくようになってからそれをよく見るようにはしておりますけれども、新聞社におりますものですから、世の中の一般の人はどのようなことなのか。今回説明に来ていただいたときにも、広報ということについてどういうふうなことをしておられるかというのをちょっとお尋ねしたところ、立ちどころにいろいろ貴重なホームページやら資料やらいろいろ送って見せてくださって、非常によくできていて分かりやすく丁寧に書かれているものも多いということはよく理解いたしました。
皆様の御担当の方々の努力とか、そういうものについて本当に敬服する次第なのですが、自分のことを言って恐縮なのですが、新聞も部数がこんなふうに激減しておりますように、世の中全般に物を読まない。自分の関心のあることだけをネットで見るというような世の中の一般の人の現状はどうにもしようのない傾向なんですね。それで、物事を丁寧に理解するとか、丁寧に対応するとかということが、近年マイナンバーカードなどのことを見ていてもそうなんですけれども、やはり行政は物すごく丁寧に対応してくださるのですが、受ける側は、要するにということしか見ていないみたいな、特に若いこれからの世代の方たちなどは忙しいということもあるでしょうけれども、そういう人たちを対象にしてどういうことをしていったらいいのかということをやはり考えていかないといけないのではないか。
それは新聞も、私どももそうなのですが、非常に難しい課題で、では全てネットでやればいいのかという簡単な問題ではなくて、やはり国民に広く理解してもらわないといけませんし、不特定多数を対象にしているものが抱えている極めて難しい課題がある。また、理解しておいてもらわないと非常に困ることがいろいろその先々である。そういうことを今回いろいろ見せていただいて痛感したところでございます。
答えはなかなかないですけれども、どういうことをしたらいいのか、やはり一工夫する必要があるかなという気がしております。
以上です。
○山口分科会長 示唆的な御意見をどうもありがとうございます。
ここで出てくる話は、事業所とか事業主の話もありますし、一般国民に向けての話もありますけれども、どのように年金の仕組みについて理解していただくかはどちらの側にとっても課題であると思いますので、引き続きの御対応をよろしくお願いいたします。
ほかにお願いします。
○池田委員 さっき最初に質問させていただいたことと、今の南委員さんのお話と重なるのですけれども、私は相談件数のことだけではなくて年金機構さん、それから事業者さんとのやり取りの中で、やはり講習とか研修的なものを今後のウィズコロナの時代、なかなか人的交流が簡単にリーチアウトしてやっていくということができない中で、今後のために少し点検する必要があるのではないかと、私も年金機構運営委員を長くやらせていただいて思っているところがございます。
それで、ちょっと質問させていただいたのですが、少し点検なさっていらっしゃるのかしていないとしたら、何かなさったほうがいい部分もあるのかなと付け加えさせていただきました。
○山口分科会長 ありがとうございます。
何かございますか。お願いします。
○加藤日本年金機構年金記録企画部長 コロナが起きまして、なかなか相手方に接触するタイミングが機構側としても非常に難しい状況になっているのは確かでございます。それで、相まってICT化の推進ということも政府を挙げていろいろやっておりまして、年金機構側のほうでもそれに乗っかってやっていかなければならないということでございます。
それで、今できるということになりますと、例えば手続一つですら分からないとか、そういったものについてはユーチューブを使いまして動画配信をするといったことも既に始めておりまして、随時それも種類を増やしていっているということをやっております。それは、厚労省のホームページにも掲載させていただいております。
あとは、年金のセミナーということで、現役以外でこれからの学生、20歳になる直前の方とか、そういった方を大学とかで対象にしまして年金セミナーというものをコロナ前までは訪問してやっていたわけですけれども、なかなか行けないという状況になりまして、オンラインでパソコンを使いながらセミナーをやるといったことにも着手しております。
いずれにしても、どんどん訪問と言っても相手方のある話で非常に難しい状況になっておりますので、そういった遠隔的なものも使いながら今後周知広報を拡大していかなければならないということで、機構のほうでは積極的に現在検討、取組も進めている状況でございます。
○山口分科会長 ありがとうございます。
そうしましたら、ほかに全体を通して御質問等ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、本日の議題等は全て終了いたしました。次回の日程について事務局から説明をお願いいたします。
○中嶋年金記録審査室長 大変ありがとうございます。
次回の日程につきましては、後日改めてまた日程調整などの御連絡をさしあげたいと存じます。
本日は、長時間にわたりまして貴重な御指摘をいただきまして大変ありがとうございました。
○山口分科会長 それでは、本日の会議はこれで終了とさせていただきます。
どうもありがとうございました。