- ホーム >
- 政策について >
- 審議会・研究会等 >
- 労働政策審議会(労働条件分科会労災保険部会) >
- 第105回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録
第105回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録
- 第105回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会(議事録)
1.日時 令和4年8月3日(水)10:00~10:45
2.場所 AP虎ノ門会議室Aルーム(一部オンライン会議会場)
(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11階)
3.出席委員
(公益代表委員)
○学習院大学経済学部経営学科教授、一橋大学名誉教授 守島 基博
○明治大学法学部教授 小西 康之
○名古屋大学大学院法学研究科教授 中野 妙子
○大阪大学理事・副学長 水島 郁子
(労働者代表委員)
○全日本海員組合奨学金制度運営管理部長代理 楠 博志
○UAゼンセン労働条件局部長 髙橋 義和
○全国建設労働組合総連合労働対策部長 田久 悟
○日本労働組合総連合会総合政策推進局総合政策推進局長 冨髙 裕子
○日本科学エネルギー産業労働組合連合会副事務局長 永井 学
(使用者代表委員)
○日本通運株式会社人材戦略部専任部長 池田 祐一
○一般社団法人日本経済団体連合会労働法制本部上席主幹 坂下 多身
○東京海上ホールディングス株式会社人事部専門部長 砂原 和仁
○鹿島建設株式会社安全環境部長 本多 敦郎
○日本製鉄株式会社人事労政部部長 本荘 太郎
4.議題
(1)令和4年度第1回社会復帰促進等事業に関する検討会について(報告)
(2)公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令案(仮称)要綱等について(諮問)
(3)労災診療費の改定について(報告)
(4)その他
5.議 事
○守島部会長 皆様方、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから第105回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会を開催いたします。本日の部会は、会場及びオンラインの両方で実施をさせていただきます。
はじめに、前回の部会以降委員の交替と、事務局にも人事異動がありましたので事務局から御紹介をお願いいたします。
○労災管理課長 では、御紹介いたします。席上に委員名簿を配布しております。労働者代表として安原三紀子委員に替わり、日本化学エネルギー産業労働組合連合会副事務局長永井学委員に御就任いただきました。一言、よろしくお願いします。
○永井委員 日本化学エネルギー産業労働組合、JEC連合の永井でございます。よろしくお願いいたします。
○労災管理課長 よろしくお願いします。使用者代表として、山内幸治委員に替わりまして、日本製鉄株式会社人事労政部部長本荘太郎委員に御就任いただいておりますので、御挨拶をお願いします。
○本荘委員 日本製鉄人事労政部の本荘です。よろしくお願いいたします。
○労災管理課長 ありがとうございます。
続きまして、事務局にも人事異動がありましたので御挨拶いたします。梶原審議官です。
○審議官 梶原でございます。よろしくお願いいたします。
○労災管理課長 西岡補償課長です。
○補償課長 西岡でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○守島部会長 ありがとうございました。
次に、出欠状況でございます。本日は武林委員、宮智委員、平川委員、二宮委員が御欠席と伺っております。それから、砂原委員は11時半頃に途中退室をする予定になっております。出席者は現在14名でございますが、公益代表、労働者代表、使用者代表それぞれ3分の1以上の出席がございますので、定足数を満たしていることを御報告させていただきます。
それでは、カメラ撮影はこのぐらいで、議題に入りたいと思います。第1の議題は、「令和4年度第1回社会復帰促進等事業に関する検討会について(報告)」です。それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
○労災管理課長 それでは、令和4年度第1回社会復帰促進事業等に関する検討会について御報告いたします。資料1になります。その前に、参考資料として分厚い検討会の資料をお配りしております。この資料1を御覧ください。令和3年度の成果目標をアウトカム、アウトプット指標で管理しておりますが、全体43の事業のうち、約7割の30事業はアウトプット指標、アウトカム指標ともに達成しておりますが、BCDとして、アウトプット指標が欠けている、アウトカム指標が足りなかった、両方足りなかったという分類としておりますが、これは約3割ございます。このうちBとCについては、御覧いただきますとおり、かなりコロナの影響が出ているところでございます。それからDの2事業につきましては、これはアウトプット指標が到達していたにも関わらず、アウトカム指標が到達しなかったというものですが、こちらにつきましてはアウトカム指標の取り方に不備があったということで御説明をしております。
それから、青い付箋の所の参考6です。こちらは、全体の総額のこれまでの推移が載っております。この白い部分が、社会復帰促進事業の全体の部分で、この上の灰色の部分は未払賃金立替払事業ということで分けております。こちらは近年社復事業の所が増加してきておりましたが、令和2年度をピークとして、最近少しずつ減らしてきている状況です。こうした中で、約1か月前の7月5日に検討会を行い、様々な御意見を頂きました。
それでは、資料1を御覧ください。頂いた御意見を御報告したいと思いますが、総論としまして、社復事業でカバーすべき事業なのかという観点でしっかり見てほしいということ。先ほどのグラフにもありましたが、平成25年の水準に向けて、できる限り早く削減していくべき。また、外国人技能実習機構、労働政策研究・研修機構、中小企業退職金共済機構に対する交付金などは本当に必要なのか。そもそもの予算の規模について改めて議論を行う必要がある。毎年継続して実施されている事業については、単年度の評価だけでなく、中期的な視点に立った評価、検討が必要であるという御意見を頂いております。
それから、個別の事業につきまして、No.7の労災疾病の研究について、公募に応募してくる団体が多様で、研究もよいものとなるように引き続き推進してほしい。
No.13の介護施設の運営費につきましては、民間の施設でのケアに1人幾らという方式でお金を出すような形もつくれるのではないか。
No.16の安全衛生の啓発指導経費については「建設業安全衛生教育センター」の老朽化が進んでいて、建物、機材類の補修や修繕の助成の拡大、あるいは受講料や教材作成などへの助成等について、検討をお願いしたいという御意見がありました。
No.17の職業病予防対策の推進についてです。放射線被爆管理に関する労働安全衛生マネジメントシステムの導入支援の事業の好事例を20事例集めるという目標だったのが、結果として11事例と、なかなか難しかったという御意見を頂きました。これにつきましては、コロナの影響で予定していた事業場からの辞退が相次いだということで、19事業について実施したわけですが、好事例として選定できたのが、そのうち11事例という御説明をしております。
No.20の職場における化学物質管理促進です。先ほどD評価でしたが、こちらにつきましてはホームページのアクセス数を目標にしておりまして、こちらにつきまして海外からの大量のアクセスというものが一時期あり、これを峻別したり、ブロックしたりすることが十分にできていなかったということで、これはしっかり管理できるように目標として取り組んでいきたいということを御説明しております。
No.30の自動車運転車の労働時間等の改善のための環境整備です。アウトカム指標は周知に取り組んだ中身の度合ではなく、運送業者あるいは荷主等の認知度とすることを検討してほしいという御意見を頂いております。
No.31の家内労働安全衛生管理費は、指導員が訪問することですが、10万人くらいの家内労働者に対して、何年に1回くらいで回るということになっているのかという御質問を頂いております。これにつきましては、家内労働者の中でも有害業務を実施している約8,600名の方を対象に訪問しており、監督署による指導と併せて、大体10年に1回ぐらいのペースで実施しているという御説明をしております。
No.32の女性就業支援・母性健康管理等対策費についてです。こちらも先ほどのD評価になったもので、相談者へのアンケートがしっかり取れていなかったということがありますので、これはしっかり見直しを図っていただきたいという御意見を頂いております。
No.35の産業医学振興経費につきましては、産業医として就業する人の増加に努めてほしい。補助費を何人が産業医になったかということで、増減させてはどうか。あるいは産業医になるためのキャリア形成プログラムから離脱する人については、何らかのペナルティーをかける仕組みも必要ではないかという御意見を頂いております。
No.36の未払賃金立替払事務実施費につきましては、決算額が過去に比べて大分減っていて3分の1以下になっているが、この背景を教えてほしいということです。こちらにつきましては、支給者数が令和2年度比で40%程度になっている状況を御説明しております。
No.37の過重労働の解消及び仕事と生活の調和の実現に向けた働き方・休み方の見直しの事業です。人手不足の状況は、相当深刻になっている。働き方改革を推進するということで、多くの人に働いてもらう取組が必要である、しっかり支援をしていただきたい。働き方改革支援センターの予算が不足しないように配慮いただきたい。令和3年度に労働時間短縮・年休促進コースに多くの申請があったので、その経緯を踏まえて予算配分、目標設定をしてほしい。勤務間インターバルは、令和7年度までに15%にしようという高い目標が設定されているので、この助成金の普及に力を入れてほしいという御意見を頂いております。
最後に、No.42の個別労働紛争対策費・多言語相談支援事業です。都道府県労働局長の助言・指導の実施による個別紛争の改善率を60%としている理由は何かという御質問を頂いています。これは一定の改善があったものについて、評価の対象とするという形で過去の実績を見ながら60%という目標を設定しているという御説明をしております。概括的でございますが、この検討会の御報告になります。
○守島部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明に関しまして御意見、御質問等がありましたら会場の方は挙手を、それからオンライン参加の方つきましては、チャットのメッセージから「発言希望」と入力をお願いしたいと思います。では冨髙委員お願いいたします。
○冨髙委員 御説明ありがとうございました。資料3の1ページ、No.20の職場における化学物質管理促進のための総合対策について、これはD判定となっておりますけれども、御説明をお聞きし、この事業は廃止ではなく、引き続き見直しの上で実施していくと理解しましたが、化学物質管理規制については自律的管理に向けた省令改正がされてきており、正に周知啓発活動が非常に重要なタイミングと考えているところです。是非、中小規模の事業場の支援強化も含めて、実効性ある取組をしていただきたいと考えております。以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。ほかにどなたかいらっしゃいますでしょうか。では髙橋委員、お願いいたします。
○髙橋委員 御説明ありがとうございました。私からはC判定のNo.42の中の多言語相談支援事業についてです。今年度アウトカム指標もアウトプット指標も未達成で、このアプリを利用した相談件数の割合が低かったということでした。しかし、相談件数自体は、昨年より下回っているものの、1万3,000件を超える非常に多くの相談があったわけで、とても大切な事業であると考えております。
一方で、資料3の21ページの下に、令和4年度の目標の設定の理由が書いてありますが、一定の日本語能力を有する場合や通訳者のつてがある場合を踏まえた、とされていますが、今後、外国人労働者の受入が再開されると、日本語に堪能でない方も多くいらっしゃるということは容易に想像できると思います。さらに、外国人労働者のハラスメントが社会的問題となっているという報道もありまして、ますますこの事業は重要になってくるのではないかと思います。全ての外国人労働者方が、この事業といいますか、多言語コンタクトセンターなどにアクセスしやすく、利用しやすい環境整備をしていただきたいと思いますので、あらためてよろしくお願いします。
○守島部会長 ありがとうございました。ほかにどなたかありますでしょうか。坂下委員お願いします。
○坂下委員 ありがとうございます。資料1の<総論>に既に書いていただいていますので、改めて申し上げる必要はないかもしれませんが、あえて発言をしたいと思います。常々申し上げていることですけれども、全体の予算額に関しまして、検討会の参考資料6のとおり、毎年約5%減ということで、削減の努力をしていただいていることについては、大変感謝しています。
ただ、使用者側といたしましては、前年度比5%の削減幅では不十分でして、できるだけ早い時期に平成25年度の水準に戻していくべきだということを申し上げています。その際には、社会復帰促進等事業の趣旨に沿う事業については、必要な予算を付けていただくことは当然ですが、現状では必ずしも趣旨に合致しない事業も散見されるという認識でして、そのような事業をしっかりと見直すことで、全体的に効率的な事業の運営を図っていただきたいと思っています。この場であえてもう一度強調させていただきました。以上です。
○守島部会長 ではお答えになりますか。
○労災管理課長 御意見ありがとうございます。この目標管理が不十分になっていた事業については、しっかり取り組んでいきたいと思っていますし、御指摘のありました多言語相談につきまして、新型コロナウイルスの関係で、外国人の新規の入国は大幅に減っていたということが大きな原因の一つでありますが、そうした中でも予算を効率的に使用できるように、各所に通訳の人を置くのではなくて、ある程度拠点から電話やいろいろな機器を使って、通訳できるような形も今考えていますので、そういった効率化も図りながら取り組んでいきたいと思っています。
使用者から頂いていますように、今、予算要求に向けて調整中ですが、事業の必要性ですとか効率性を十分に考えながら、この社復事業の目的に沿った事業展開ができるようにしっかり取り組んでいきたいと思っています。
○守島部会長 ありがとうございました。ほかに御意見等ありますでしょうか。大丈夫ですか。では、特段ほかに御意見がないようでしたら、次の議題に移りたいと思います。
次の議題は「公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令案(仮称)の要綱等」についての諮問です。これは諮問案件となっていますので、まず事務局から御説明いただきたいと思います。
○労災管理課長 資料2の4枚目になりますが、概要のペーパーをお付けしています。改正の趣旨にありますが、今キャンペーンなども行いながら、マイナンバーカードを使った公金口座の登録ということを進めています。そういう登録をされた方が、例えば労災申請などをするようなときに、公金口座に振り込んでくださいというような意思表示をしていただければ、それを受け取った役所は、デジタル庁のほうに口座情報をくださいという要求をして、その口座に振り込むということで利便性を上げるということです。
そのために、申請の様式の中に公金口座を使うという書式変更をするというのが改正の内容になります。ご承認いただけましたら、この10月から施行したいと思っております。
1枚おめくりいただくとイメージを付けていて、下の欄に口座情報を書く所がありますが、従来どおりこちらに書いていただいてもいいのですけれども、そういう公金受取口座を登録されていて、それを使いたいという方は、これにチェックをしていただくだけで、そこに振り込まれるということで、そういう選択肢を増やすということになります。
これにつきまして、労災の中の、主に年金に関する給付につきまして、こういう書式を設けるということになっています。御審議をお願いします。
○守島部会長 はい、ありがとうございました。ただいま諮問のあった件につきまして、御意見、御質問等がありましたら会場からの委員の皆様に関しては挙手を、オンラインの皆様に関してはチャットで発言希望と入力をお願いします。特にございませんでしょうか。大丈夫ですね。特段の御意見がないようでしたら、諮問のあった件につきまして当部会としては妥当と認め、労働条件分科会会長宛てに報告することとしたいと思いますけれども。
○池田委員 すみません、リモート参加の池田です。チャットを打つのに時間を要しました。発言を希望します。
○守島部会長 分かりました、すみませんでした。どうぞ御発言ください。
○池田委員 質問が1件あります。マイナンバーの取得をどのようにするのかという説明がなかったのでお教え下さい。
○労災管理課長 失礼しました。マイナンバーは取得された後、このアプリ、マイナポータルというアプリがありますが、そちらを通じてスマートフォンなどからマイナンバーカードを認証して、それから御自身口座番号を入力していただければ登録されるという仕組みになっています。
○池田委員 労災申請に当たって、御本人のマイナンバーカード等の情報が必要になるかと思ったのですが、申請用紙の、この左から2番目のところ、この給付申請書に個人番号を書くという、そういうスキームになっているということですか。そのように様式を変更されるということでしょうか。
○労災管理課長 請求書の中には名前などを書く所の下に、個人番号を書く所がもともと設けられていますが、そちらについてはそのままになっています。
○池田委員 分かりました、ここで個人番号を取得すると、後はチェックボックスにチェックを入れれば、その個人番号に紐づいた口座に支払われるような形に変えられるという理解でよろしいでしょうか。
○労災管理課長 そのとおりです。請求書中に別の場所にマイナンバーを書く欄がありますので、そこにマイナンバーを書いていただいた上で、チェックボックスにチェックを入れていただければ、その口座に振り込まれるという仕組みです。
○池田委員 タイミングが悪くてどうもすみません。ありがとうございました。理解しました。
○守島部会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等ありますでしょうか。田久委員お願いします。
○田久委員 これはマイナンバーに限って、その申請書の中に加えるという考え方で、通常とマイナンバー利用、通常は通常でいわゆる振込先を書けるという、そういう認識でよろしいですね。マイナンバーだけとかそういうことではない。ただ単に、申請用紙に加わったというだけでよろしいのですよね。理解していいのかなということです。
○労災管理課長 労災の中で、年金の形で支払われる給付については、もともとマイナンバーを書いていただくことになっています。それは全員そうなのですが、その中で口座情報を書いて請求していただくのもいいですし、今回新たに加えるように、マイナンバーの講座に振り込んでくださいという形もできるようになるということです。
○田久委員 分かりました。公的年金という部分で、そこで理解しました。すみません。
○守島部会長 ありがとうございました。ほかに御意見、御質問等ありますでしょうか。オンラインの方々も大丈夫ですね。それでは諮問のあった件につきまして、当部会としては妥当と認め、労働条件分科会長宛てに報告することとしたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○守島部会長 ありがとうございます。それではそのように進めさせていただきます。労働政策審議会令第7条第7項により、部会の議決をもって分科会の議決とすることができ、同令第6条第7項により分科会の議決をもって審議会の議決とすることができると定められています。
また労働条件分科会運営規程第7条において、当部会の議決をもって分科会の議決とするということになっており、労働政策審議会運営規定第9条におきまして、分科会の議決をもって審議会の議決とすることになっています。したがって当部会の議決が審議会の議決となります。
それでは、事務局に答申案を用意してもらっていますので、読み上げていただきたいと思います。まずはお配りします。
○労災管理課長 それでは読み上げたいと思います。3枚目の紙から読み上げます。平成4年8月3日、労働条件分科会分科会長荒木尚志殿。労災保険部会部会長守島基博。公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令案(仮称)要綱について。令和4年8月3日付け厚生労働省発基0803第1号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本部会は、審議の結果、下記のとおり結論を得たので報告する。記、厚生労働省案は、妥当と認める。
2枚目は分科会長から本審の会長宛て、1枚目は本審の会長から後藤大臣宛て、報告するものになります。以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。ただいま読み上げていただいた内容で、部会長から分科会長、分科会長から労働政策審議会長宛てに報告し、この報告のとおり厚生労働大臣宛てに答申を行うことといたしたいと思います。なお、委員全員に答申文を後ほど送付させていただきます。
それではこの議題は終わりにして、次の議題ですけれども、次の議題は「労災診療費の改定について(報告)」です。事務局から御説明をお願いします。
○補償課長 それでは、令和4年度の労災診療費改定につきまして、今年度の改定内容について御説明申し上げます。資料3を御覧ください。労災診療費の算定については、健康保険の診療報酬点数表に準拠しつつ、いわゆる労災特掲項目として、労災独自に項目を定めておりますが、労災保険の診療報酬改定と同様に、2年に一度の頻度で見直しを行っているところです。本年度の改定に関しては、昨年12月22日に、健康保険の診療報酬改定率が診療費本体でプラス0.43%などと発表されたことを受けて、労災における影響を積算しまして、トータルで約9億500万円程度の予算の範囲内で改定を行ったというものです。
その内容については、大きく2点に分かれております。1つは、健康保険の診療報酬改定に連動する項目の改定による影響額が、そちらに書いてあります約7億2,000万円。それから、2点目は、労災特掲に及ぶ影響額が、こちらが約1億8,000万円という状況です。その上で、今回の労災診療費改定においては、大きく5つの項目について改定を行ったところです。改定項目等について申し上げたいと思います。
まず1点目です。2の(1)の職場復帰支援・療養指導料の拡充及び点数配分の見直しについてです。傷病労働者に円滑な職場復帰を促す取組が重要となることから、産業医に対する文書での情報提供ですとか、主治医や主治医の指示を受けたソーシャルワーカー等が、患者等に対して職場復帰に向けた説明等を行ったことを評価する仕組みということです。今般、精神疾患を主たる傷病とする場合とその他の場合に加えて、新たに新興感染症ということで、新型コロナウイルス感染症罹患後症状専用の指導管理箋を作成しまして、新型コロナウイルス感染症罹患後の症状を有する被災労働者に係る治療や療養支援、それから職場復帰への支援等を行うとしたところです。また、初回の指導時の労力を勘案しまして、より早期の復帰を促すために、点数配分の見直しを行い、初回の点数を上げて、2回目以降の点数を逓減することとしております。
次ページ、2の(2)です。中程に書いてありますが、術中透視装置使用加算の対象手術及び対象部位の拡充です。これはX線の透過装置を使用した手術の加算ということで、対象手術、それから対象部位の拡充をしたものです。労災事故の特徴として、墜落とか転落、それから転倒等による骨折が多いことと、複雑な骨折を伴うものが多いことがありまして、被災労働者の早期職場復帰を図るためには、これらの部位の早期治療、療養が必要となるところです。この術中透視装置を用いた手術については、骨折の部位の皮膚の開切部分が小さく済むということで、被災労働者への負担が少なく、術後に早期にリハビリテーションを行うことが可能になって、早期職場復帰に効果があるということから、術中透視装置の加算の対象の拡充を図ってきたところです。
今回は、御覧のとおり、下線の所ですが、対象部位として足趾骨を追加しました。それから、対象手術として、骨折非観血的整復術などの手術を追加したものです。なお、これらの手、足の部位については、骨の形状、配列が複雑ということで、細部を確認しながら手術を行う必要があるということで、術中透視装置によるアシストが効果的になるというものです。
3点目は、2の(3)です。コンピューター断層診断の特例の拡充についてです。健康保険のコンピューター断層診断については、MRIとか、CTフィルムを見て読影診断した場合に算定できるもので、ほかの医療機関で撮影したフィルム等については、初診時のみ算定できることになっていました。再診時であっても、他の医療機関で撮影したフィルムを読影した場合については、労災特掲ということで取り扱っているものですが、ただ、これまで、初診と同一月の再診の場合については算定不可という取扱いをしていましたが、これを対応可能としたものです。
1枚めくり、4点目は、2の(4)救急医療管理加算(入院)の金額引上げについてです。今回の健康保険の診療報酬改定において、救急医療管理加算が950点から1050点へ引き上げられたということがありまして、労災特掲の救急医療管理加算も同等の引上げということで、6,300円から6,900円に行ったものです。なお、労災特掲の救急医療管理加算については、入院以外も対象ではありますが、今回、健康保険の救急医療管理加算は入院のみの対象ということであったため、今回、労災については、入院のみの改定を行っているところです。
5点目は、2の(5)入院室料加算の引上げについてです。重篤な傷病などで入院される被災労働者の方が、医療機関の個室等に収容された場合、一定の要件を満たすことで個室の金額を算定できる労災特掲です。保険医療機関における入院室料に係る料金設定の実態を踏まえ、加算金額の限度額を一律10%引き上げたものです。令和4年度労災診療費改定についての説明は以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に関して、御意見、御質問がありましたら、先ほどと同じように、会場の方は挙手、オンラインの方は、チャットに「発言希望」と入力をお願いします。砂原委員、お願いします。
○砂原委員 御説明ありがとうございました。私が分からなくて教えていただきたいのですが、今の、入院個室料の話なのです。これは、各病院で通常個室料というのは決定していると思うのですが、そのうちのこの金額が労災から支払われて、それ以外のものは、保険給付を上回る費用=事業主の負担という形で払われる。事業主の、例えば1万5,000円の個室に入りましたということになると、改定後でいけば1万1,000円はこの労災保険から支払われることになり、残り4,000円はどうなるのかなというのがちょっと分からなかったので、教えていただければと思ったのです。
○補償課長 労災の場合については、金額について、この算定で、健康保険の場合は、差額ベッド代ということで自己負担ということになるわけで、保険から出るという形になっておりませんが、労災の場合については、病状が重篤であるとして医師が認めた場合など一定の場合に、入院室料加算として設定した額までを労災でみるという形になっていまして、その金額設定をこちらでさせていただいているというものです。ですから、健保のほうは出ない、要するに自己負担になってしまう状況にありますが、労災の方は設定された一定の金額まではみますよという形になっているものです。
○砂原委員 分かりました。すみません、私が勘違いしていたんですね。要するに、いわゆる普通の診療契約ではない労災診療の契約は健康保険とは別契約であるが故に、病院が決定する金額ではなくて、この金額で支払うということですね。
○補償課長 そういうことでございます。
○砂原委員 分かりました。ありがとうございます。あと、もう1つ意見としてなのですが、2年に1回、診療報酬の改定がある度にこの御説明を頂いていて、御報告ということで、大体このぐらいの時期にいつも頂いているかと思うのですが、これは本当に必要なのかなと思いました。診療報酬改定は中医協ですごく時間を掛けて、喧々諤々やりながら決まって金額が出るので、そこに多くのマンパワーと労力が掛かっていると思います。労災については、労災の個別性があることを当然理解しております。だから、個別性がある部分について報酬が手厚くされているという形だと思うのですが、そこの部分だけ割合とかで決めておいて、そうすれば、2年に1回、診療報酬の改定に合わせて労災診療報酬の改定作業をやる必要がなくなるので、効率化になるのではないかなと思いました。そういう意味で、この改定の仕方自体を、若しくは労災診療費の体系自体、今後見直しをすることもあってもいいのではないかなと思いましたので、ちょっと意見を申し上げておきます。よろしくお願いします。
○補償課長 今、御意見いただきましたが、労災については、基本的には健保準拠のところが大半ということでして、健保のほうも、改定項目については2月中旬に中医協のほうで答申があって、それから労災のほうも本格的な作業を行うということで、期間的には短い中ではありますが、必要な対応は行わなければならないという状況にあります。このため、期間は短いですが、やはり労災医療の特殊性等の観点から、いろいろな団体からの意見要望を踏まえて必要な見直しを行う必要があるといった事情等もありますので、やはり、検討プロセスとして、中での検討だけではなくて、その結果を踏まえた必要な改定を行った上で、こういう形で御報告させていただいているというところですので、基本的には同じような取扱いをさせていただければと考えております。
○守島部会長 ありがとうございました。ほかに御意見、御質問等ありますでしょうか。大丈夫ですかね。特段ほかに御意見、御質問等ないようでしたら、これでこの議題は終わりにさせていただきたいと思います。そのほかに、何かこの際だからということで御発言されたい方はいらっしゃいますでしょうか。大丈夫ですね。
それでは、本日予定した議題は以上となりますので、本部会は終了とさせていただきたいと思います。次回の日程については、また事務局より追って連絡をさせていただきます。本日は以上といたします。皆様方、お忙しい中お集まりいただいて、どうもありがとうございました。