[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

スマホで遊べるフリゲアドベンチャー『鉄格子の逢瀬』。それでもあなたは、彼を「処刑」しますか?

アドベンチャー,スマホゲーム,フリーゲーム

アドベンチャーゲームやノベルゲームには、プレイヤーが選べる「選択肢」の存在がある。作中でさまざまな出来事に遭遇する主人公。それを前にして現れる選択肢をプレイヤーが選び、物語が分岐していく。こういった物語の分岐性がアドベンチャーの醍醐味の一つだろう。

今回紹介する『鉄格子の逢瀬』は、「選択肢」の存在が非常に重要なゲームとなっている。主人公の少女「ノエル」は、旅の途中で迷い込んだ監獄で、かつての戦争相手である隣国の兵士だった死刑囚の男「ディートハルト」と出会う。なりゆきでその監獄で5日間過ごすことになったノエルだが、最終的にディートハルトを「処刑」するか、否か。という非常に重い「選択肢」が突きつけられる。

共に過ごしていく中で、二人はお互いのことを知っていく。果たして、ディートハルトは何者なのか?そして、ノエルの選ぶ決断とは?残された猶予である5日間で、物語の真実を見つけよう。

なお、本作はHTML5製アドベンチャーゲーム制作キット「ティラノ・スクリプト」にて制作されており、windows版、iOS版、Android版が現在リリースされている。筆者はiOS版でプレイし、エンディングのコンプリートまで全てをプレイすることが出来た。

戦争で家族を失った少女が、敵国の兵士と出会う

舞台は、かつて隣国との戦争が行なわれていた国。戦争で家族を失い、あてもない旅をしていた少女「ノエル」は、旅の途中で監獄に迷い込んでしまう。旅の資金が尽きそうだったノエルは、それを見かねた監獄の看守長から「死刑囚の処刑執行までの5日間、ここで仕事を手伝わないか」という提案をされる。提案を受け入れたノエルは、5日間の時を監獄で過ごすことになる……。

image03
旅の資金が就きそうな少女ノエルは、監獄の仕事の手伝いをすることになる

ノエルが出会うことになる死刑囚の男は「ディートハルト」と名乗った。死刑囚でありながらも奔放な性格にノエルは当初面食らうが、監視の仕事と割り切って接しようとする。

image06
演劇染みた言葉遣いをするディートハルト。処刑を待つ身だがどことなく飄々としている

このゲームは、ノエルとディートハルトが鉄格子を挟んでする会話がメインとなる。会話中にはいくつか選択肢が現れ、選んだ選択によって会話の内容や後々の展開が変化することになる。
しかし、選択肢の中には、本作の最大の特徴であり、物語の決定的な流れを決める重大な選択が存在する。ノエルがディートハルトと出会ってから5日経った後、彼を「処刑」するか、という恐るべき選択だ。ノエルは死刑執行日に至るまでに、執行の決断が出来るような情報を知ることが出来るだろうか。

image01
会話の途中で現れる選択肢。内容によっては身の上事情に深入りすることも出来る

image05
執行猶予は5日。その間に、ノエルはディートハルトの何を知ることが出来るか

本当に「処刑」を執行するか?全ては、その選択次第

戦争で家族を亡くしたノエル。その戦争に参加していたディートハルト。二人は因縁浅からぬ関係ではあるが、物語は二人がこれまで歩んできた人生から、次第に「戦争」という大きな出来事にも着目していく。
愛する家族を失ったノエルは、自分の中の憎しみを信じて、敵国の兵士であるディートハルトの処刑執行を見届けるだけでいいのか、それとも、何か別の道が存在するのか。ともに過ごしてお互いの事情を知りつつ、何が最善なのかを決断することなる。

image00
数日経ち、仕事にも慣れてくるノエル

image02
芝居のような受け答えが目立つディートハルトだが、ときおり見せる陰も

image07
物語を進めるほど、ノエルとディートハルトの身の上が語られていく

image04
次第に明らかになっていく真実とは……

本作は「死刑囚の処刑をするか否かを決断する」という核となるテーマのインパクトだけではなく、決断に至るまで描かれる物語面も丁寧に練り上げられたものとなっている。アドベンチャーゲーム好きの人には、ぜひプレイしてみてほしい。

[基本情報]
タイトル 『鉄格子の逢瀬』
制作者 アオイサクラ(制作者様サイトはこちら
クリア時間 約2~3時間(エンディングコンプリートまで)
対応OS Windows / iOS /Android
価格 無料

ダウンロードはこちらから
PC版:ふりーむ!にてダウンロード
iOS版:
Android版:公式サイトにてダウンロード

  • poroLogue(@poroLogue

    もぐらゲームス編集長。大学在学中にフリーゲームをテーマとした論文を執筆。日本デジタルゲーム学会・若手発表会にて「語りとしてのビデオゲーム(Videogame as Narrative)」を発表。NHKのゲーム紹介コーナーへの作品推薦、株式会社KADOKAWA主催のニコニコ自作ゲームフェス協賛企業賞「窓の杜賞」の選考委員として参加、週刊ファミ通誌のインディーゲームコーナーの作品選出、株式会社インプレス・窓の杜「週末ゲーム」にて連載など。

    フリーゲーム作者さんへのインタビュー・レビューなど多数。フリーゲーム歴は10年半ばほど。思い出に残っているゲームは『SeraphicBlue』『Berwick Saga』。