ライフハッカーのナイトスクール開講。IDEOのデザインシンキングを学ぶ。

優れたデザインとは、グラフィックや造形だけでなく、世の中の問題点や課題を明確にして、解決策を導きだすこと。ある意味では医者やコンサルの仕事にも近いのだと思います。近年、そのアプローチは「デザインシンキング(思考)」と呼ばれています。グラフィックデザイナーやクリエイティブディレクターが広告や雑誌にとどまらず幅広い分野で活躍できるのはそのスキルで社会を豊かにできるから。アップル社の初期マウスやPalmをはじめ、数々の世界的企業との仕事で知られる、デザインコンサルティングファーム IDEO(アイデオ) 。彼らが世界的に活躍しているのもデザインが社会に与える影響力の強さを物語っているのではないでしょうか。

『ライフハッカー[日本版]』が主催するナイトスクールは、いまの世の中のキーパーソンに登場いただき、その仕事術を共有する学校。業界のトップランナーの話を生で聞くことと、そこに集まる人同士の交流が生まれることで、日本のビジネスシーンにいい影響が生み出されることを期待しています。今回は「世界最高の授業」と銘打って、世の中をデザインで豊かにする方法をIDEO Tokyoのチームに教えてもらいました。たった1時間で100名の募集人数が埋まってしまったので、参加できなかった方のためにその技術を公開します。

また、今回の企画はマイクロソフトのエンタープライズ向けソーシャルネットワークサービス「Yammer」に協力をいただきました。ナイトスクール開催に向け、実際にライフハッカー編集部もYammerを利用しましたが、仕事上でのコミュニケーションを活性化するSNSサービスは、コメントにライクやリプライができてセキュリティ面も安心なので、プロジェクトを複数チームでコラボレーションして進めるときにとても便利だと感じました。なお、ナイトスクールではビジネスシーンを一緒に盛り上げていただける協賛企業も募集していますので、宜しくお願いします。

では、IDEOの講義をスタートしましょう。

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東京・渋谷のサイバーエジェント13F、#SHAKE100の会場提供により開催。
ライフハッカー新旧編集長もトークに参加し、Tokyo Work Design Weekプロデューサーの横石崇さんが司会を務めた。

まずはIDEOの紹介を簡単に。グローバルデザインコンサルタンスとは、どんな仕事なのでしょうか? デザインシンキングという言葉がありますが、新たなイノベーションを生み出すためにビジネスやサービスの世界にデザインの発想を取り入れることがIDEOの強みです。イギリスの自転車メーカー、ブルックスと約7年かけて完成させた、長時間乗ってもお尻が痛くならないサドル。ニュージーランド航空と一緒に考えた、家族でシートをリラックスして使うサービス。医療分野では、消毒液の使用頻度を上げるプロダクト。それぞれの分野において、クライアントと組んでいまの時代にあったデザインを提供するのが、彼らの仕事です。では、幅広い仕事を手がける彼らは普段、どのようにクライアントの課題を見つけ、解決しているのか。そのノウハウを学んでいきましょう。

大切なのは、人の深層心理を知ること。

IDEO石川:最近、イノベーションという言葉をよく聞くと思います。過去の歴史でわかりやすい例はT型フォードの発明。まだ車がなかった時代、人々の交通手段は馬車でした。そのとき人々に「次に何が欲しいですか?」と問いかけたら、「もっと早い馬が欲しい」という答えが返ってきたのではないでしょうか。でも、ユーザーの深層心理には「A地点からB地点までをより早く移動したい」という欲求があります。そのポイントを明確にできたため、フォード社は自動車という発明を生み出すことができました。僕たちの仕事は当時のフォード社の考え方と同じで、人々が求めるものの深層心理を理解して、新しい技術とコラボレーションしながら世の中をデザインすること。それがグローバルデザインコンサルタンティングファームです。

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左からIDEO Tokyoの石川俊祐さん、野々村健一さん、元IDEO Tokyoの住田聖昇さん。
IDEO石川:IDEOには、実に様々な分野のプロフェッショナルが集まっています。プロダクトデザイナーをはじめ、ビジネス、心理学、文化人類学、建築の専門家。さらには編集者、フードサイエンティストまで。世界7カ国に11のオフィスを構えていて、プロジェクトごとに最適なチームが組まれます。これは、多種多様な分野のプロが意見を出し合うことで精度の高いアナロジーを生み出すことが目的です。

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デザイン思考の4つのプロセス。IDEOのチームはクオリティの高いスライドで講義を進行してくれました。

デザインシンキングを使って案件ごとに答えを見つけ出す彼らですが、大きく4段階のフェーズに分けてプロジェクトを進行しているそうです。


デザイン思考の4つのプロセス

フェーズ01|デザインリサーチ&インスピレーション

インスピレーションやアイデアの種を、大量に集める作業。人の話を聞く、関連するモノや場所を見に行くなど、とにかく様々なリサーチを行う。

フェーズ02|シンスシス&ストラテジー

シンスシスとは"結晶化"という意味。大量に集まった情報をグルーピングして、プロジェクトのテーマをいくつかのパターンとして見つけていく。

フェーズ03|ブレスト&コンセプトデベロップメント

「この辺に面白い話があるんじゃないかな」という "喜界エリア"に対して、ブレストを繰り返すのが第3フェーズ。コンセプトを築き上げる工程。

フェーズ04|プロトタイピング&ストーリーテリング

プロトタイプを作って解決方法の"確からしさ"を見つけ出す。ユーザーに試してもらい、フィードバックと反映を繰り返す。ストーリーテリングも大切にする。


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IDEOのチームは講義のはじめに、この日のポイントを先に共有してくれた。


デザインシンキングの簡単な枠組みがわかったところで、次は実践です。講義には明日から活用できる要素もたくさん盛り込まれているので、ぜひ参考にしてみてください。




今回の学びのポイント

01.EXPLORE ROLES

自分の役割を知る。



02.NURTURE CURIOSITY

好奇心を育てる。



03.VALUE INSPIRATION

インスピレーションに価値を置く。



04.COLLABORATE IDEAS

アイデアをコラボレーションする。


05.EMBRACE AMBIGUITY

不明確な状況を、愉しむ。


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講義に用意されたステーショナリーは、ポストイットシャーピーのペン。

太めの文字だと、机の上でアイデアを共有しやすいため。


module 00 WARM UP|ICE BREAKING
隣の人の似顔絵を描いてください。(1分間)

IDEO石川:まずはアイスブレイクから始めましょう。ペアになって互いに似顔絵を描いてください。大切なのは上手に描くことではなくて、自分の意見をきちんとテーブルに出して共有すること。それは仕事の競争の場でも同じですよね。十分に準備ができていない、この意見を言うとバカだと思われかもしれない。今日はそんな想いはすべて忘れて講義に参加してもらいたいと思って、このアイスブレイクを用意しました。

では、最初のモジュールに入っていきましょう。

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IDEOのスライドには課題の下に制限時間が記されている。時間を有効に使うテクニックのひとつ。

module 01|EXPLORE ROLES
自分の仕事の役割をモノに例えて自己紹介してください(3分)

IDEO野々村:普段、自己紹介するときは、名刺交換をして会社名や肩書きを伝えることが多いですよね。でも今回は"役割"という側面から捉えてみましょう。社会における自分の役割をモノに例えてください。例をあげてみましょうか。住田さんは何ですか?

IDEO住田:難しいですね。......電球ですかね? 以前にIDEO Tokyoでムードメーカーの役割に向いていると言われたことがあって。それって、周りを照らす電球なのかなと。

IDEO野々村:いいですね。こんな感じで、それぞれ自分の役割をモノに例えて自己紹介をしてみください。

会場の参加者からは、「牛乳。飲むとおいしくてカラダにいいけど、飲み過ぎるとお腹を壊すから」。「ハサミ。言いたいことは何でも言って、人の心をザクザクと切り込んでいくから」などの自己紹介がありました。ちなみに牛乳の方は求人サイトを運営していて、ハサミの人はマーケティングのお仕事をしているそうです。

IDEO野々村:名刺交換だけだと、その人のことってあまりわからないですよね? モノに例えなくてもいいですが、ちょっとした話とともに「〜〜〜をしています」と仕事内容を伝えるだけで、相手は「この人、面白いんじゃないかな?」と興味を持ってくれるはずです。コラボレーションにおいて、相手に興味を持ってもらうことはとても大事なこと。まずはそのことを共有したいと思いました。

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講義は4〜6人でテーブルを囲み、ペアでの会話からグループワークにまで発展していった。

module 02|NURTURE CURIOSITY

ペアになって自分が実現したいことを伝えてください。(3分)
話を聞いたら、相手の素晴らしいところを伝えてください。(30秒)

IDEO石川:次は、好奇心を育てて相手にフィードバックをするエクササイズ。これ、意外と苦手な人が多いんですよね。またペアになって、自分が実現したいことを相手に話してください。興味があることでもいいですよ。3分経過したら、今度は話を聞いた相手に素晴らしいと思ったことを伝えてください。こちらは30秒でさくっと。では、どんな話が出たか、聞いてみましょう。

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似顔絵効果もあって、参加者からは積極的な発言が飛び出した。

参加者:僕が話をした方はいまベンチャーの仕事をしていて、将来は宇宙に関わる仕事を夢みているそうです。フィードバックしたのは、そのスケールのでかさと、既にアクションを起こし始めている行動力が最高ですと伝えました。

IDEO石川:フィードバックを受けた方、どんな風に感じましたか?

参加者:いや、ほんと単純に、心地いいなあと思いましたね。

IDEO石川:ありがとうございます。フィードバックに慣れている人って少ないと思うんです。なぜか気まずかったりもしますしね。でも伝え方によっては『頑張ろう』と思えたり、『自分がやらなくては』と再認識できる。相手に興味を持って突っ込んだ質問をして、それに対して『あなたのそういうところ、凄いよね』とちゃんと伝えてあげることが大事だと思います。

組織にいると"なかなか実現できない"とか"動きにくい状況"もあると思います。でも"やりたいこと"や"仕事に対する意識"をどんどん共有することで、人との距離は近づいていくはずです。自分が共感を得られるコラボレーターがいたら、積極的にこのコミュニケーションを計るといい結果が生まれると思いますよ。

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IDEOのチームは、参加者の声にも丁寧に反応しながら進行をしていました。

module 03|VALUE INSPIRATION
人々の行動から、インスピレーションを得る。

IDEO野々村:バリューインスピレーションとは、直感を大切にすることです。マーケティングリサーチで多いのは過去の事例とデモグラフィックを使う方法。例えばターゲット層、性別、年齢に対して何%ぐらいの人が市場にはいるはずだという話がありますよね。IDEOでは、少なくともプロジェクトの入り口部分では、そのようなアプローチは行いません。まずは、人間の行動をもとに何が必要かを考えるからです。これから何の変哲もない動画を流します。先に言っておきますと、IDEO Tokyoの会社の窓から撮った骨董通りの動画です。1分間流しますので、ちょっと見てみて下さい。

どんなものが見えましたか? これが面白かったとか、何でもいいですよ。


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スライドに映っているのが、IDEO Tokyoの窓から見た映像。

参加者:奥にいるトラックがずーっと止まりっぱなしでした。

参加者:多分夏だと思うんですけど、日傘をさしている人が全員おばちゃんでした。

IDEO野々村:素晴らしい観察眼ですね。では、ちょっとひねりを加えてみましょうか。『AIUEO』ってご存知ですか? エスノグラフィの現場や学会でよく使われるものです。場所やシーンを見る時に、何に注目すると面白いことを見つけやすいかという、ちょっとしたヒントになるポイントです。

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「AIUEO」の視点が写し出されると、会場からはシャッター音が鳴り響いた。

インスピレーションを生み出す5つの視点「AIUEO」

Activity:ヒトやモノの動き、流れに注目

Interaction:ヒト同士やモノとヒトの交流

User:利用者の属性、タイプ

Environment:環境、空間、施設、雰囲気、自然要素、時間

Object:機械、小物、所持品、独特なモノ、無いもの

IDEO野々村:これらの切り口で見ていくと、また面白い気づきが出てくるのではないでしょうか。僕らはこの工程をコンテクストと呼びますが、もう少し情報をプラスしていきましょう。今回、想定クライアントをコンビニエンスストアにします。コンビニがクライアントだった場合に、どういうアイデアを生み出すのがいいでしょうか。

状況は夏の昼下がり。場所は骨董通りです。『AIUEO』を念頭に置きながら、もう一回映像を見てみましょう。多分、受け取る情報量が上がると思いますよ。何か気づいた方、いらっしゃいますか?

参加者:たぶん、ドトールが近くにあります。ドトールの袋を持っている人がいました。

参加者:酒屋のトラックが停まっていて、ビールの樽やお酒を降ろしていました。多分酒屋が近くにあるのかな。お酒を飲んだあとに買いたくなる商品を置けば売れるのではないかなと思いました。

参加者:お店の看板を見ている人があまりいなかったのと、歩いていて、楽しそうにしている人がいないなと思いました。

IDEO野々村:いいですね。僕らからも過去のワークショップで出たアイデアを共有しますね。お店の前に女の人が走ってきましたよね? あれは何かの待ち合わせですかね? コンビニの前にスペースもあるし人通りも多いので、待ち合わせスペースを作るといいのではないでしょうか。あとはグループで歩いている人が結構多い。この辺は団体で入れるお店が少ないから、そういう可能性もあるかもしれません。

何の変哲もない日常の1シーンからでも、様々な切り口でアイデアは出るもの。日々のちょっとした見方を変えことが大切なんですよね。また、様々な職種の人とフィードバックを繰り返すと解釈が異なるのでより多くの気づきが生まれます。

普段、仕事をしていると『商売に繋がらないな』とか『企画に繋がらないな』と諦めてしまうケースもあると思います。僕らはクリエイティブコンフィデンスと言っていますが、自分のクリエイティビティに自信が持てない人が多い。その鍵みたいなところを外していくのが、これからのデザインシンキングの役割だと思っています。

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スライドには、パンチの効いた写真も多く使われていた。

module 04|COLLABORATE IDEAS
ブレインストーミングの7つのルール。

IDEO住田:続いてはブレインストーミングのときに気をつけることです。IDEOはみんなが割と自由に仕事を進める会社ですが、ブレインストーミングについてはルールがしっかりとあります。7つあるので、簡単に紹介しますね。

01_トピックに忠実であれ
お題からズレないように意識しながら会話を進めていく。

02_ぶっ飛んで良し
アイデアを出す前から否定的にならない。自分がくだらないと思っても、それが他の人にとってのインスピレーションになることもあるから。

03_すぐに判断/否定するなかれ
ブレストで出るアイデアは企画の卵。相手の話を否定するのではなく、それを生かすためには何ができるかを考える。

04_会話は一人ずつ
グループワークでは、一人ずつ発言することを心がける。

05_質より量を
限られた時間の中で、とにかくたくさんのアイデアを出す。

06_描け、視覚的であれ
言葉で説明しても伝わらないことも多いので、スケッチを描く。

07_他者のアイデアを広げよ
他者のアイデアをどんどん広げる。それを繰り返すことで、アイデアは洗練されていく。

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IDEOのブレインストーミングのルール。1項目ずつを説明して、最後に改めてまとめを話してくれた。

コラボレーションの合い言葉は、"yes and"。

IDEO住田:僕らがブレインストーミングするときによく使うフレーズが"yes and"です。"yes but"ではなくて"yes and"を重ねていくようにしてください。『こんなこともできるかもね』とか『それって面白いね』とか。それが、他者のアイデアを広げるコツです。

あと、ブレストでは設問を明確にすることも大切です。今回は、「どのようにすれば、よりエンゲージングな経験を作り、コンビニのお店に興味を持ってもらえるか」としました。人を集めるだけでなく、感心を持ってもらうにはどうすればよいのかを考えてみましょう。時間は7分です。

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参加者は、自身のアイデアをポストイットに記入して、テーブルの上で共有する。

IDEO野々村:アイデア、いくつくらい出ましたか? 30個から40個ぐらいですかね。どんなアイデアが出ましたか?

参加者:待ち合わせ場所のランドマークとなるようなオブジェを作る。

参加者:夏なので、ミストシャワーや扇風機を置いたり、氷やビールを配る。

IDEO野々村:いいですね。ブレストをするときに、気をつけたことはありますか?

参加者:後半からは、ほかの人のアイデアに乗っかることに徹しました。例えば、コンビニの看板を青くするにかけて、青い車は無料とか、青いTシャツを着ていたら値引きするとか。

IDEO石川:ありがとうございます。みなさん、『AIUEO』を活かしていますね。また、他の人のアイデアに自分の考えを重ねてどう伸ばすかということも実践できたのではないでしょうか。コラボレーションをする際には否定をせず、まずは数を出すことが大事です。

module 05|EMBRACE AMBIGUITY
不確定な状況でも、愉しむ。

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デザインシンキングの4つのプロセス(前述)における、スタッフの気持ちの起伏を表したグラフ。

左が学生、右が社会人。

IDEO野々村:本来であれば、今出してもらったアイディアを元にプロトタイプを作成します。精度は低くてもいいので試してみる工程ですね。実際のプロジェクトをクライアントさんと進めていくと、この辺りから不安になってくる傾向があります。アイデアを出したのはいいけれど、どう集約させるのかという点ですね。

その不安との付き合い方も、新しいアイデアを築くためのポイントです。以前に、デザインスクールの学生とビジネススクールの学生とでワークショップを行ったのですが、「デザインシンキングの4つのプロセス」における気持ちの変化に面白い結果が表れました。

黄色いのが学生のグラフで、青いのが社会人です。学生は、デザインリサーチやアイデア出しまでは盛り上がるのですが、プロトタイプを作る段階になると一気に気分が落ちてしまう。これは、仕事の枠がないからアイデアは豊富に出るけれど、カタチにするノウハウがないから具体的な方法論を考えると、急に行き詰まってしまうんです。

一方、社会人のグラフはデザインリサーチが終わった後で、いきなり気持ちが落ちるパターン。自分のフレームワークにはめてしまうんですよね。「面白いけど市場サイズはどうだろう」、「黒字化するのに時間がかるんじゃないか」と。でも、どういう風に落とし込むのかが見えない中で進んでいくと、「こうすればできるんじゃないか」、「こういうひねりを加えたらいいのではないか」と、技術を活かした解決の糸口を探し出し、再び意識が高まっていきます。

どちらが良い悪いという話ではなくて、一連の流れの中で、自分がいまどのマインドにいるのかを把握できると、不安な場面も楽しめると思うんですよね。周りの仲間から助けてもらえるのも、コラボレーションの強みですから。ちなみに、今日はプロトタイプを作るところまでいけませんでしたが、ワークショップでは発砲スチロールなどを使って1〜2時間ぐらいでプロトタイプを作っていきます。よろしければトライしてみてください。

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発砲スチロールなどを使った、プロトタイプの例。

以上、5つのモジュールで今日の講義は終わりです。それぞれ、自分の仕事に活かせる部分を持ち帰って頂けたら嬉しいです。

IDEOのデザインシンキング、いかがだったでしょうか?世の中をデザインすることは、人々の行動から新たな課題を発見し、アイデアを練っていくこと。ひとりひとりの役割を把握して、多種多様な人々とコラボレーションを重ねることで、その可能性が広がるのだと思いました。ノウハウはもちろん大切ですが、ときに不安な状況下でも前に進むマインドを持ち続けることも重要なんですね。

IDEOのチームが自分たちの仕事を楽しそうに話すのは、常に強固な意思を持って、仕事と向き合っているから。数々のクライアントがコラボレーションしたい相手として彼らを選ぶのは、その姿勢にあるのではないでしょうか。

ライフハッカーのナイトスクールはこの後、第3回として、4月16日にプロブロガーのイケダハヤトさんをゲストに迎え、デジタルデトックスと時間管理術をテーマにトーク&ワークショップを開催しました。その模様も記事としてレポートする予定です。今後もナイトスクールを企画・開催していきますので、ぜひ、みなさんも参加してみてください。


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(写真/佐山順丸 構成・文/松尾仁、向山蒼平 協力/横石崇(bench.inc))