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(更新: ORICON NEWS
炎上乗り越えたアイドル・瀬名ちひろ、SNS時代の今だから伝えたい“愛”

瀬名ちひろ

 昨年12月24日に初のソロシングル「ばず らいふ イヤー!」をリリースした瀬名ちひろ。ラブリーなダンスや歌声など、日本が世界に誇るkawaii満載のMVは注目され、ドイツのiTunes Store J-POPチャートでも上位にランクイン。しかしこの楽曲、kawaiiだけが魅力じゃない。根本にあるのは、SNS社会の心ないアンチテーゼに負けずに生きていこうというメッセージ。自身の炎上経験がもとになっているというのだが、なぜ、この楽曲が生まれたのか。楽曲づくりから衣装、映像にいたるまで、セルフプロデュースで独自の“kawaiiワールド”の構築を目指す瀬名に、パフォーマンスに込めた思いを聞いた。

『令和の虎』で炎上したアイドル、そこから得た“気づき”とは?

 日本大学藝術学部の文芸学科を卒業後、一般企業に就職したものの、2022年「夢みるアドレセンス」(以下夢アド)の新メンバーオーディションに応募し合格。同年、アイドルとしてデビューを飾った瀬名ちひろ。その後、雑誌モデルなども経験するが、1年半で夢アドでの活動は終了。新たなアイドルグループの結成を目指すも、昨年2月、YouTubeチャンネルの『令和の虎』への出演をきっかけに大炎上。「もうアイドルはやめよう」と覚悟したという。だが、信じてくれる仲間からもらった「同じようにアンチコメントに悩む人たちへの応援歌が作れるのではないか」というエールに背中を押され、一念発起。生まれたのが、初のソロシングル「ばず らいふ イヤー!」だったという。

――『令和の虎』への出演で、なぜ炎上が起きてしまったのですか?

瀬名ちひろ 私がプロデューサーとなってアイドルグループを立ち上げるという企画だったのですが、グループの運営方針を巡って番組や運営の方と揉めてしまったことが発端でした。今まで詳しい話はしてこなかったのですが、今後の自分の活動にあたって少しお話しします。

 私は番組に出る前に、前事務所との契約状況を全て説明し、了承を得た上で出演しました。出演前から番組側の方とは交流もあり、プロデューサーという立場で自由に運営していいと言われていたのですが、企画が進むうちに契約関係が私の認識とはどんどん違う方向にいってしまって。プロデューサーである私が「ちょっと待った!」とストップをかけたときはもう手遅れで、まわりの方々や仲間との信頼関係が崩れてしまい、企画が頓挫してしまったんです。

 今回の企画では番組側から融資も出資も受けていませんが、美味しい話は存在しないので必ず履歴を残しながらビジネスを進めなければいけないということを再認識しました。

瀬名ちひろ

――番組を楽しみに観ていた視聴者から誹謗中傷を浴びてしまった?

瀬名ちひろ YouTubeの動画には数百件のコメントが寄せられましたし、InstagramのDMでも厳しい言葉がたくさん届いて、その数に本当にビックリしましたし、傷つきました。視聴者の方は番組側からの見解のみで判断した反応になるので、多くのアンチコメントを受けることは仕方ないともその時は思っていました。

――つらかったですね。

瀬名ちひろ 炎上商法をしたかったわけでは無かったので、当時は本当につらくて悲しかったです。でも一方で、寄せられたコメントに耳を傾けて、反省すべき点は反省して、成長したいなとも思いました。実際、みなさまにとってはここが引っかかるポイントだったんだとか、気づきもありました。私がこのくらいならと思っていたことでも、相手にとっては大きなことだったり、人それぞれ受け止め方が違うんだなって。

――起きてしまった事柄を冷静に分析したんですね。

瀬名ちひろ 自分の側からだけ見るのではなく、相手の立場に立ったとき、自分は相手にどう映ったのか、どう立ち回ったらこの結果にならなかったのかと考えていったら、私が事実だと思っていたことも相手にとっては別の事実が発生していたんだなって。「立場や境遇によって、それぞれの事実は異なる」ということに気づくことができました。とはいっても、その時点では、この経験をもとに挽回しようとはまったく思えなくて。むしろ、ここまで非難されてしまったら、私はもうこの先復活できないとすっかり自信をなくしてしまって、表だった活動をやめようと思っていました。

SNSで悩む人たちへ伝えたい、「人はそれぞれ、自分とは違う愛や事実の持ち主」

瀬名ちひろ

――それが一念発起できたのは?

瀬名ちひろ アイドルグループの制作に関わっていただく予定だったクリエイターの方々に、頓挫してしまったことの報告とお詫びをお伝えしたんです。そのとき、「負けるなよ」という励ましのお言葉とともに、「その経験から何か自分で生み出したら面白いんじゃない?」といったお言葉をいただいて。自分に起きたことやアンチに向けて書くことは気が進まなかったのですが、私と同じように、SNS上にあることないことを書かれて苦悩している人はいるだろうし、そういう人たちに寄り添う歌なら書いてみたいと思ったんです。

――SNS社会を生きる人たちへの応援歌を書こうと。

瀬名ちひろ アンチに悩まされた人だけでなく、そういう人たちを応援できる人が増えたらいいなという思いもありました。「人には人それぞれホンモノの愛がある」ことをテーマにしたのですが、この“愛”には、裏メッセージで“事実”という意味も込めていて。人間は立場や境遇によって愛の感じ方が違うし、事実のとらえ方も違う。人はそれぞれ、自分とは違う愛や事実の持ち主なんだということを知っておくことが、すれ違いや炎上を避けるためには必要だし、SNS社会では重要なんじゃないかと。そういうことを発信できたらと思いました。

TikTokで反響、なぜかドイツでも?「唯一無二のkawaiiを作り上げたい」

瀬名ちひろ

――その思いをポップでラブリーな楽曲に乗せた「ばず らいふ イヤー!」は、ダンスや映像世界も含め、kawaiiと評判になりました。

瀬名ちひろ 伝えたい思いは真面目ですが、それをkawaiiに包んでお届けしたいと思っていたので、そう評価していただけるのは本当にうれしいです。TikTokでも踊ってみた動画が増えてきて累計200万回以上再生されたり、真似して踊ってくれるのはありがたいですね。思いも掛けずドイツの音楽のデイリーランキングで上位に入ったらしく、J-POPとしてのkawaiiも世界に向けて表現できたのかなと思います。

――それはすごいですね! 瀬名さんの思いは届いていると思いますか?

瀬名ちひろ kawaiiが先行しているところがあるので、楽曲に込めた根本の部分はまだ繁殖させきれていないかもしれない。もっともっとがんばらなきゃって、思っているところです(笑)。

――楽曲作りから衣装、映像にいたるまで、すべてご自身でプロデュースされていますが、瀬名さんが考える自分流のkawaiiとは?

瀬名ちひろ 自分がライブアイドルとしてやってきたことを下地に、憧れのきゃりーぱみゅぱみゅさんのような“原宿kawaii”の世界観を取り入れながら、オリジナルで唯一無二のkawaiiを作り上げたいなって考えています。

――そもそも、小さい頃からアイドルになりたかったんですか?

瀬名ちひろ 大学生の頃に、地下アイドルを経験したことがあったんです。ライブ活動1本じゃ到底生活できるレベルでは無かったので、アルバイトのようなところもあって、アパレルのバイトと学業と両立していました。就職と同時に地下アイドルは卒業したのですが、変わり映えのないOL生活を送る自分を変えてみたい、アイドルを職業としてその道一本で、もっと大きなステージに立ちたいという気持ちが芽生えたのが本格的に活動を始めるきっかけでした。はじめての地下アイドル生活が楽しかったんだと思います。自分にとって大切なものを見つけるきっかけだったので もう一度自分を試してみたかったんです。

――実際、アイドルグループでデビューして、いかがでしたか?

瀬名ちひろ ライブアイドルはルールの範囲内での自由度が高くて、自分をどう売っていきたいかのキャラ作りが楽しくできるし、メンバーの人数分 その個性を発揮して戦えるのも魅力だと思いました。夢アドはアイドル黄金時代を走ってきた歴史あるグループで、尊敬する全先輩方の次世代を継げることにも強みを感じていました。しかし、いざ加入をし、自分たちが着用する衣装や新しく入れ込む楽曲、SNSプロモーション、ステージ中のパフォーマンスの分担などクリエイティブ面で理想としていたアイドル像と現実のアイドルライフに困惑していたのは事実でした。自分のこだわりが発動してしまって自身の生誕祭や季節のイベント時の衣装は自費で用意をして挑んでいましたし、映像さんを個人で雇ってライブ映像を撮影したりもしていました。元々プロデューサー的な目線があったのかもしれません(笑)。

――今はセルフプロデュースで思う存分、自分を発揮できているわけですね。MVにはそうそうたるクリエイターが集まりましたが、とくにこだわったのは?

瀬名ちひろ サウンドはもちろん、MV映像には特に力を入れました。SNSの世界観を映像でマイルドに具現化したいと考えたので、お菓子の中にちゃっかりスマホのイラストが混じっていたり アンチを悪魔の絵文字に見立てたり。パッと見ただけではわかりにくいんですけど、ライブステージを連想させるような宇宙空間など、いろいろ趣向を凝らしました。観てくださる方にいろいろな想像と感じ方でとらえてもらえるようにと考えて。そのあたりも楽しんでいただけるとうれしいです。

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