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【ガンプラビフォーアフター】毎週更新・トップモデラーインタビュー特集→
これぞトップモデラ―の“匠の技術” 「時間の流れをプラモで表現」
あにガンプラ歴は約30年になります。小学生の頃、ファーストガンダムが劇場公開されてそれを見て衝撃を受けたのと、ガンプラブームが重なったのがきっかけです。
――2011年に開催された「第14回オラザク選手権」で大賞を受賞されています。受賞作のテーマと、こだわりの造形箇所を教えてください。
あにテーマは「美しく透明な湖と時間の流れ」で、こだわったのは湖の造形です。
――湖がベースの半分以上を占めています。水の表現もプラモとは思えません。
あにこの作品では、水を表現するために透明シリコンを使用しました。いつもなら水の深みを出すためにシリコンを青く着色するのですが、今回は透明感を出したかったのであえてシリコンには着色せず、海底やコアファイターに直接クリアブルーを着色することで水の透明感を損なうことなく深みを出しています。
――まさに“匠の技”ですね。難しかった部分も多いと思いますが。
あに一番悩まされたのが湖底の表現です。岩肌にしようか砂にしようかどうすればいいのか…。でも頭に描いた湖の色のイメージはエメラルドグリーンだったので、藻でびっしり敷き詰められた湖底にしました。湖にアクセントをつけ、深さをわかりやすくするためにコアファイターの折れた羽根をあえて沈めています。また、時間の流れを表現するのに、湖の表面にメディウム(水表現用の素材)でさざ波を作りました。
――これ1枚でストーリーが浮かびます。情景描写でのこだわりを教えてください。
あに自分が情景模型で表現したいと思ってることは「日常に突然割り込んできた非日常」です。よく見慣れた情景に突然ガンダムのような巨大なメカが現れる。その違和感を出したいと思っています。見る人に違和感を与えるには、情景をどこまでリアルに作り込むことが出来るか?それにかかってくると思います。
――リアルさを表現しつつ、アニメの巨大ロボットを登場させる難しさがありますね。
あにアニメの世界観を崩さない程度にガンダムをリアルに作ることが重要です。実際にこれだけ巨大な物が水に濡れたらどうなるのか? 土の上を歩いたらどう汚れるのか? そんな想像をしながらディテールを加えたり塗ったりしています。
モデラーに必要なのは「技術」よりも「やりたいこと」
あに機械が壊れ、朽ちていく表現は好きなのでよく作ります。なぜこの機械は壊れたのか?これはどういう材質でてきていて、どういう状況下でどんな風に朽ちていくのか? 想像力を膨らませながら造形していくのはとても楽しいです。
――モデラーにとって一番必要な技術とは何ですか?
あにモデラーに必要な技術は、どんなジオラマを作るかで全然違ってくると思います。ただ、大事なのは一番大事な技術は何か? ではなく、自分がやりたいことにはどんな技術が必要なのか? だと思います。
――その技術の見極めはどうすればよいのでしょうか。
あにまず自分は何が好きなのか? 何がしたいのか? を知ることだと思います。好きなことをするのは人間苦にはならないので続けることが出来ます。とにかく楽しんで続けること。これが技の習熟に繋がると思います。
――次はどんな作品にチャレンジしたいですか?
あに作品タイトルでは「ファーストガンダム」「0083」「ガンダムUC」「オルフェンズ」で、それぞれ違うことにチャレンジしたいと思っています。というか、チャレンジしたいことばかりで困っています(笑)。
――あにさんにとって「ガンプラ」とは?
あに模型の楽しさや感動を一番最初に教えてくれたものです。
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