[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/
2023.02.24(金)その他

【ライフスキルトレーニング】第3回プログラムレポート&コメント:社会でも活かせるトップアスリートの能力



日本陸連が、株式会社東京海上日動キャリアサービスのサポートを受けて展開している「ライフスキルトレーニングプログラム」の全体講義が2月11日、オンラインで行われました。このプログラムは、「自分の最高を引き出す技術」を身につけることで、競技場面でも競技以外の人生においても可能性を最大限に生かせる人材を養成することを目指して、大学生アスリートを対象に実施しています。全4回の日程で昨年末からスタートした第3期生( https://www.jaaf.or.jp/news/article/17205/ )への全体講義も3回目。いよいよ後半を迎えることになりました。

再びオンラインでの開催となった3回目の全体講義。まず、株式会社東京海上日動キャリアサービスの田﨑博道顧問が挨拶に立ち、「皆さんからは、リアルならではの良さ、そして1期生、2期生の参加者の話にたくさんの気づきがあったというコメントをいただいた」と、初めて実現した前回の対面開催について触れたうえで、「その経験を生かしながら、今日は役割性格を大いに発揮して、しっかりとトレーニングしていこう」と受講者たちに呼びかけ、講義が始まりました。

第1部として行われたスポーツ心理学博士の布施努特別講師による全体講義は、前回の講義で出されていた「自身に起きた予期せぬ出来事に対する仮説をつくり、仮説、実行、結果、再仮説の各過程における判断を書き留めながら、そのサイクルを回してみることを実践する」という課題について、受講者から実際に取り組んだ内容を聞いていくことからスタート。布施特別講師は、各受講者に質問を重ねていくなかで、「リーダーシップとは」「リーダーとは」「アテンション・コントロール:意識をどこに置くか」について考えを深める説明を行いました。
そのうえで「仮説思考」について詳しく触れ、仮説・実行・データ・再仮説のサイクルを回していくことでどういう変化が起きるかを具体的に提示。受講者たちは、ここで紹介された映像や、映像に関するディスカッションなどを通して、「ストーリーをつくる」ことの大切さを認識しました。

続いて布施特別講師は、「ストーリーをつくっていくときには、必ず“自分が決めること”が入ってくる」と述べて、この日のメインに挙がっていた「自己決定能力の5段階」に関する話題へと話を進めていきました。布施特別講師は、人が主体性を持つときは「①コーチ(や誰か)に言われたから、やる」「②やらなければならないから、やる」「③自分にとって重要だから、やる」「④やりたいと思うから、やる」「⑤楽しいから、やる」という5つの段階を踏んでいくことを紹介。受講者たちは自分がどの段階にいるか、上の段階に行くためには何を意識したらよいのかディスカッションし、そこで出た内容を全員で共有していくなかで、「主体性はどう高まっていくのか」「可視化することの大切さ」などを学びました。

最後に、前回までの講義でも挙がった『オリンピックメダリストに共通する5つの特徴』として、今回は「本番にパフォーマンスのピークを合わせることができる“ピーキング”」について触れられました。そして、この特徴ができるようになるために必要となってくる考え方として、冒頭で紹介された「アテンション・コントロール」のほか、「CSバランス:挑戦(C)と能力(S)のバランスを保って高めていくこと」「行動を可視化すること」などを解説。受講者たちは、次回までの宿題の1つとして、「練習のターゲットを決め、そこに向けてピーキングしてみる。その際に、アテンション・コントロールをどのようにしていったかを記録し、また役割性格も意識して取り組む」というピーキングの練習に、挑戦することとなりました。


休憩を挟んで第2部として行われたのは、スポーツで実績を残した経歴を持ち、現在はビジネスパーソンとして活躍している人物を招いての「仕事理解、社会理解のワークショップ」。今回は、弁護士として法曹界で活躍する元競泳選手の小林聖子さん(弁護士法人みやこ法律事務所)が登壇しました。小林さんは、第1期生に行われた2021年のプログラムにおいてもゲストスピーカーとして招かれ、自身の経験を踏まえながら講話を行い、好評を博しました。また、対面での開催となった前回(1月)の全体講義の際には、味の素ナショナルトレーニングセンターへ足を運んで座談会に参加。受講生たちとのディスカッションに参加しています。



今回の講話では、まず、これまでの自身の経歴に触れたのちに、社会生活においても活かすことができるトップアスリートの能力として、「目標設定能力」「自己分析能力」「集中力」「継続力」「コミュニケーション能力」「共感力」「再始動力」の7つを挙げ、「自分の場合は、こういう形で生かせている」と自らの体験を示しながら、これらの能力が、ビジネスや日常生活において、どう応用できるのかを説明していきました。特に、最後に挙げた「再始動力」については、「皆さんに一番伝えたかったのは、この再始動力」として、「アスリートは、目標として掲げていたことが、もし達成できなかったとしても、立て直し方を知っている。これは、競技活動のなかで日常的に“仮説・実行・分析”の鍛錬ができているからこそのこと」と述べ、競技以外の場面で困難に陥った際でも、「必ず皆さんの力をもってすれば、どんな困難に直面しても 、1つずつステップを踏みながら再始動ができる。そのことを頭の片隅に置き、何かの折に思いだしてもらえたらと思う」 とアドバイスしました。
こうした小林さんの講話や、その後に行われた質疑応答のなかで、受講生たちは、これまで全体講義で学んできた「仮説思考」「役割性格」「目標設定(ダブルゴール)」などの概念が、実際の場面にどう関連しているのか、さらには、どう活かしていくことができるのかについて、より理解を深めていきました。


【第3回全体講義受講後:受講生コメント】

梅野倖子(順天堂大学2年、20km競歩)



私は、昨年の日本インカレが終わったあたりから、なにかうまく競技に取り組めないという状況が続いていました。10月・11月に臨んだ試合で思っていたような結果が得られず、また、練習においても、「できてはいるけど、なんか納得できない。ただやっているだけになっている」と感じていたんです。そういうとき、自分がどういう考え方をすればいいのかを学びたいと思い、ライフスキルトレーニングプログラムに応募しました。
講義を受けてみて、自分が今まで出場してきた試合は、「実行-結果」の2つを行き来するだけになっていたなと気づかされました。自分で仮説を立てたり、実行で得られたデータを分析したりすることを、全くやっていなかったのです。そういう意味でも、「仮説思考」の考え方は、すごく響きましたね。仮説思考を教えてもらってからは、練習でも「こうだったから、次はこうしてみようという」と考えて取り組むようになり、それによって次の練習がうまくいくようになったり、ダメだった場合も改善していくことができたりしていて、練習への取り組み方が変わったと感じています。
また、今までは、試合に向けて目標を設定するときに、「誰々には勝たなきゃ」とか「誰々のタイムには負けられない」とか考えていたのですが、スピードスケートの小平奈緒選手とイ・サンファ選手の(ソチオリンピックでの)エピソードを聞いて、周りを相手とするのではなく、自分が理想とするところに向かうなかでの目標が大切であることを理解しました。来週(2月19日)、20km競歩の日本選手権があるのですが、相手がどうであろうと、自分の目標を達成することに集中して、今回は臨んでみようと思っています。(談)


河田航典(立教大学2年、100m・200m)



昨年は、シーズン序盤に、練習ですごくうまくいったことがあっても、それが必ず試合に出せるわけではなく、記録や動きにムラがあり、実力を出しきれない場面が多くありました。秋シーズンに入ったあたりから、だんだんとコツがわかってきて、記録も安定してきたのですが、このまま一気にコツをつかんでしまいたいなと考えました。ライフスキルトレーニングプログラムに応募したのは、そのために心理学の面から勉強をしたいと思ったからです。
講義を受けてみてわかったのは、自分は目標の設定に具体性がなかったなということ。ダブルゴールの説明を聞いたときに、最高目標とか大きな目標とか、大きいほうは、これまでも具体的に考えることができていたけれど、そこに行くためにとても大事である小さな目標の設定がうまくできていなかったなと実感しました。
また、具体性は足りなかったけれど、ダブルゴールの考え方は、講義を受ける前から、自分でやってはいたことだったんだなということも気づけました。同じように「なんとなくやれていたな」と思ったのが役割性格。自分のクセを理解して、“これをするときは、こうしたほうがいい”と考え、それを演じる…みたいなことは、今までもやっていたんです。それが役割性格と呼ばれることは、この講義で初めて知ったわけですが、やり方が間違いではなかったとわかり、肯定されたことで、これからは、もっと自信を持って使えるなと感じています。
この冬はトレーニングも順調に進めることができています。2023年シーズンは、記録は(100m)10秒0台が目標。ワールドユニバーシティゲームズ(旧称:ユニバーシアード)に出場したいと思っているので、そこに向けて頑張ります。(談)


文・構成/児玉育美(JAAFメディアチーム)


【ライフスキルトレーニング特設サイト】

>>特設サイトはこちら 


■【ライフスキルトレーニング】第1回プログラムレポート&コメント:目標設定の大切さとトップアスリートの仕事における強み
https://www.jaaf.or.jp/news/article/17305/

■【ライフスキルトレーニング】第2回プログラムレポート&コメント:プログラム初の集合研修で実施!オリンピックメダリストに共通する5つの特徴
https://www.jaaf.or.jp/news/article/17538/

■【ライフスキルトレーニングプログラム】第3期受講生が決定!
https://www.jaaf.or.jp/news/article/17205/

JAAF Official Partner

  • アシックス

JAAF Official Sponsors

  • 大塚製薬
  • 日本航空株式会社
  • 株式会社ニシ・スポーツ
  • 積水化学工業株式会社

JAAF Official Supporting companies

  • 株式会社シミズオクト
  • 株式会社セレスポ
  • 近畿日本ツーリスト株式会社
  • JTB
  • 東武トップツアーズ株式会社
  • 日東電工株式会社
  • 伊藤超短波株式会社

PR Partner

  • 株式会社 PR TIMES
  • ハイパフォーマンススポーツセンター
  • JAPAN SPORT COUNCIL 日本スポーツ振興センター
  • スポーツ応援サイトGROWING by スポーツくじ(toto・BIG)
  • 公益財団法人 日本体育協会
  • フェアプレイで日本を元気に|日本体育協会
  • 日本アンチ・ドーピング機構
  • JSCとの個人情報の共同利用について