このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
北陸先端科学技術大学院大学の研究チームが開発した「xLimb」は、軽量で小型のウェアラブルロボットアーム(Wearable Robotic Arms、WRA)だ。上腕の外側に取り付けたロボットアームは、普段は畳まれ収納された状態だが使用時には展開し伸びて物をつかめる。日常で気軽に使えて長時間携帯できる“第3の腕”を目指したという。
背中や腰辺りから1本ないし2本の腕が伸びるウェアラブルロボットアームはこれまでも開発されてきたが、伸縮性や機能性への探究はされているものの、大型で作業を行っていない時でも常に伸びている状態で、収納性がおろそかになっていた。
従来のウェアラブルロボットアームは、背中や腰などの身体の軸がしっかりした部位に固定しなければなかったが、今回提案するプロトタイプは重量678g(コントローラー及びケーブルを除く)と軽量なため、片腕上腕の外側に固定するだけで使用できる。
使用しない時はコンパクトに折りたためる。収納時の寸法は235×72×60?。使用時は2段階で展開し最大約550mmの長さまで伸びる。展開方法を工夫しており、1段階目はユニットが回転し、2段階目は閉じていたものが開く。最後はラチス構造の機構が伸びる。最大に展開した状態で、重量500gまでの対象物をつかんで持ち上げられるという。
プロトタイプは、バンドで腕に固定する腕当て(ベース)、1段階目(回転展開)と2段階目(開閉展開)で展開する2種類の胴体部、ラチス構造の伸縮機構、物を挟むグリッパー、操作用コントローラーで構成。各胴体とグリッパーにはサーボモーターを搭載。コントローラーによって胴体部分をどの程度回転・開閉するかが調整可能で、ロボットアームでつかみたい対象物に合わせて微調整しながら展開できる。
スマートフォンで電話をしながら動かす、ノートPCを操作しながらテーブル上の軽い小物をつかんで装着者自身に渡す、両手が荷物でふさがっている状態で照明のスイッチを押すなどの事例を動画で確認できる。
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