利用者が家にいながら、「LINE」「Skype」「Zoom」を使って遠隔地にいる女性スタッフの接客を受けられるサービス「スマキャバ」が4月20日にスタートした。新型コロナウイルス感染拡大に伴って飲食店から客足が遠のく中、新たな需要の喚起や店舗の売り上げ確保に向け、“夜の街”でもビデオ会議システムの利用が加速している。
スマキャバは、全国のキャバクラに加盟を募り、賛同した店舗で実際に働いている“キャバ嬢”がリモート接客する仕組み。「素人やサクラはいないため安心」とうたっている。公式サイトには、すでに源氏名(仕事用の呼び名)とともに“ナンバーワン”の写真も掲載されている。
公式サイトで会員登録を済ませ、スマキャバの公式LINEアカウントに友達申請をした利用者に、接客可能な女性スタッフを紹介する流れ。個人のLINEアカウントを使いたくない利用者には、法人向けチャットツール「LINE WORKS」の専用アカウントを発行する。
価格は30分当たり1500円〜5000円(税込、以下同)で、「LINE Pay」かクレジットカードでの事前決済が可能。決済後、利用者のスマートフォンにはQRコードとURLが表示される。いずれかを気に入った女性スタッフのLINEアカウントに送信し、承認されると、指定した時間にリモート接客が始まる。
女性スタッフはリモート接客の際、LINE、Skype、Zoomのうち希望のツールで1対1のトークを行う。集団での利用と、スマホ上での領収書の発行も受け付けており、「接待などの仕事のシーンにも最適」としている。
利用者は飲食物を自身で調達する必要があるが、女性スタッフには1杯500円のドリンクをおごれる。当初は未対応だが、フード(1000円)やアルコール類(1500円)、シャンパン(1万円)などの差し入れにも対応するという。
こうしたサービスにより、加盟店には新規顧客を開拓できる点、利用者にはスマホ一つで接客を受けられる点などのメリットがある。スマキャバ運営企業のC.C.Aは、店舗から30万円の加盟料と売上の30%を得る(開店当初は割引する予定)という。
この業界では、Zoomで接客するキャバクラ「ズムキャバ!」が一足早くオープンして話題を呼んでいる。また、六本木のガールズバー「LUTILE」(ルチル)はビデオ会議システム「Whereby」での接客に加え、ECサイト上でボトルキープを先払いで購入した客は、新型コロナが収束した後で実店舗にお酒を飲みに行けるサービスを提供している。
新型コロナの流行と、それに伴う営業自粛の影響で、多くの飲食店では集客の落ち込みが続き、業界全体で雇用危機と倒産の多発が懸念されている。そうした状況下での生き残りをかけて、接客のプラットフォームを提供する企業、キャバクラ、そして働き口を探す女性スタッフが、ビデオ会議に活路を見いだしている。
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