「FF外から失礼します」
最近、Twitter上でこのフレーズを見かける機会が増えたのではないでしょうか。「Yahoo!リアルタイム検索」で、過去30日間のツイート数を調べると、8月30日だけで「FF外から失礼します」が2万6658件もツイートされていることが分かります。1日に1万ツイートを超えている日も10日間以上あり、1つの文化として定着し始めているのが伺えます。
これは「Twitter上で誰かにリプライを送るときのあいさつ」とされており、広く拡散されているツイートに対するリプライの冒頭などによく見られます。実際にこのあいさつと共に知らない人からリプライをもらったという人もいるでしょう。
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海外メディアの間では“丁寧なネットスラング”(関連記事)として紹介されたこともありますが、そもそも「FF」とは何を指すのでしょうか。初めて見る人の中には「FF? ファイナルファンタジーのこと?」と、有名なゲームタイトルに関する事柄と勘違いする人もいますが、FFは「フォロー・フォロワー関係」を指しています。また「FF外」という言葉から、Twitter上の人間関係を「FF内/FF外」と暗に分けていることが伺えます。
一方で、「Twitterとは本来オープンに話をする場なので、このあいさつは不要では?」と考える人たちもいます。こうした意識の違いは、Twitterというツールに対する考え方の違いがそのまま表れているように思います。「オープンでフラットな場であり、知らない人とも気軽に交流できるのがTwitterの魅力だから、礼儀さえあればそのようなあいさつは不要」「いや、自分の意思でフォロー・フォロワー関係を作っているのだから、知らない人に話しかけるときはひと言断るのがマナーだろう」――こういった具合に、両者の考えは異なります。
各ユーザーがそれぞれTwitterに対する考えを持ち、自分なりの使い方をしている分には問題ないですが、それをほかの人に強要したり、直接問題提起したりすることで両者に軋轢(あつれき)が生まれているのです。
「最近のTwitterは窮屈に感じる」
日本語版が登場した2008年からTwitterを使っている初期ユーザー(Twitter自体は06年サービス開始)の中には、こう話す人もいます。では、この“あいさつ”はいつ頃から始まったものなのでしょうか。
今でこそよく見かけるようになった「FF外から失礼します」というフレーズですが、いつ頃から“マナー”として定着し始めたのでしょうか。09年1月には早くも「フォロー外から失礼」というツイートが見られます。こうした「フォロー・フォロワー関係にない相手に突然リプライを送るのは失礼なことだ」という意識が徐々に広がり、「FF外から失礼します」というテンプレートが出来上がっていきました。
ここ数年で広く見かけるようになった印象ですが、当然この運用はTwitterの利用規約には書かれていないため、ルールではなくあくまで“マナー”の問題となります。Facebookでも、友達ではない相手に対して「シェアさせていただきます」と断りを入れてから投稿をシェアする風習がありますが、これも「もともとシェア機能があるのだから、断りを入れる必要はないのでは?」という意見もあります。
また、ほかにも「無言フォロー禁止」「無断リツイート禁止」「相互フォロー推奨」など、Twitterが備える機能を使う上で「相手にひと言断りを入れる」ことを求める“新ルール”が続々と作られています。何気ない日常についてつぶやき、たまたま見かけた興味深いツイートに反応する――そんな牧歌的でオープンな時代を通ってきた人たちにとっては、今のTwitterは少々窮屈なのかもしれません。
今年のニコニコ超会議では、ドワンゴが「息苦しいTwitterへのアンチテーゼ」として分散型SNS「マストドン」への期待を語っていました。あくまで自分なりにTwitterを楽しむのか、はたまた違うツールへ移動するのか。日々変わりゆくネットの中で、今度はどんな文化が生まれていくのでしょうか。
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