Microsoftの開発者はWindows XP Service Pack 2(SP2)の作業完了を祝っているところかもしれないが、世界中のIT部門は今、このアップデートを自社システムにインストールすべきかどうかという疑問を抱えている。
例えばIBMは、SP2のインストールを控える方針だ。同社は8月6日にイントラネットに掲載した「パッチをあてるべきか否か」という通知で、互換性問題を理由に、従業員にSP2がリリースされてもダウンロードしないよう伝えている。この通知のコピーをIDG News Serviceは入手した。
「このパッチはほかのWindows XPユーザーには朗報かもしれないが、IBMはSP2をインストールしないよう命じる」とこの通知には記されている。40万台近くのデスクトップを有するIBMは、Microsoftの大口顧客だ。
「IBMの多数のWebアプリケーションをテストし、SP2と正しく連係するよう修正する必要がある。今のところ、ビジネスに不可欠な有名アプリケーションの一部がSP2と問題を起こすことが知られている」と通知には記載されている。
IBMの広報担当者は、社内のIT問題に関するコメントは拒否した。
IBMの通知が掲載されたのは、MicrosoftがSP2のRTMを発表し、エンドユーザーへの提供プロセスを開始したのと同じ日だった。SP2はまもなくダウンロード、小売店、無料CD、新規PCへのプリインストールを通じて提供される。企業ユーザー向けにネットワークインストレーションパッケージも提供される。
MicrosoftはSP2でセキュリティを強化するのと引き換えに、互換性を犠牲にしている。このためSP2は、既存アプリケーションの機能を妨げる可能性があり、Microsoftは開発者やIT担当者にSP2をテストするよう促してきた。
SP2の互換性問題の証拠を示しているのはIBMだけではない。Microsoft自身のソフトも影響を受けている。同社は先週、SP2がMicrosoft CRM 1.2の正しい動作を妨げるとして、アップデートをリリースした(8月4日の記事参照)。
SP2は広範な変更を加えるため、アナリストはこれを単なるアップデートというよりも、Windowsのアップグレードと同等と見なしている。企業ユーザーは通常Windows新版を導入する際、互換性テストのために、サービスパックの導入よりもずっと多くの時間をかける。
Windows部門マネジャーのバリー・ゴッファ氏によると、同社は、SP2をスキップしつつも、Windows UpdateとAutomatic Updateを介してほかの重要なアップデートをダウンロードするようシステムに指示するレジストリキーを簡単に設定する方法を提供する計画だという。
それでもMicrosoftは、すべてのユーザーにできるだけ早くSP2をインストールするよう勧めているとゴッファ氏。
「SP2はゲームなどのお楽しみ機能を提供するのではなく、顧客のインフラのセキュリティを改善する。SP2が全顧客に多大な価値を提供するよう、われわれはかなりの時間を注いできた。われわれはすべての顧客にSP2をできるだけ早急に導入するよう促している」(同氏)
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