「大手メディアの給与は高い」といったことを聞いたことがある人も多いはず。ノンフィクションライターの窪田氏は30歳のときに朝日新聞に就職し、まず給与の高さに驚いたという。そして会社の人に「なぜ朝日新聞の給与は高いのですか?」と聞いたところ、意外な答えが返ってきた。
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1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして活躍するほか、企業の報道対策アドバイザーも務める。
『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術 』(講談社α文庫)がある。
窪田 なぜ記者クラブは大きな問題なのに、取り上げる人が少ないのでしょうか? だから記者クラブ問題を追いかける上杉さんが、「なんで固執しているんだろう。変わっている人だなあ」といった感じで見られてしまう(笑)。
上杉 本当にそうですね。もうこの問題を追いかけてから、10年が経ちました。今回も記者クラブを開放しない方向が明らかになったとき、鳩山由紀夫さんにメールしたんですよ。あんまりしつこいのもなんだから、絵文字を付けて。「みんな悲しむとともに怒ってますよ……(涙)(;;)」といった感じで。結局、記者クラブの問題も役人にひっくり返されたんですよ。平野博文官房長官なんか、一瞬で党の議員は洗脳されてしまいましたね。
窪田 役人は一枚も二枚も上手ですね。
上杉 いま、日本から海外メディアがいなくなってきています。ワシントンポストは支局を閉鎖し、支局長の家に移転しましたし、ニューヨーク・タイムズも僕がいた7年前には13人いたのに、いまはわずか1.5人。海外メディアはいま、韓国や中国の方に移っていっています。実はこうした現象は、記者クラブと大きく関係していると思う。
窪田 日本にいたって、仕事にならないですから。
上杉 なので海外メディアは通信社に頼っていますよね。基本的には記者クラブに入れるメディアに任せ、なにか大きな事件などがあれば飛んでくるといった感じ。
窪田 仕事ができないんだから、当然ですよ。記者クラブ問題といっても、多くの人は小さな問題と考えがち。「しょせんはちっちゃなクラブでしょう?」といった感じ(笑)。
土肥(編集部) 今後、記者クラブの問題って、どのようになっていくのでしょうか?
上杉 記者クラブは栄え、本体のメディアの力は弱まっていくのではないでしょうか。正直、僕はもう日本では孤立して干されているんですよ。相手にしてくれるのはBusiness Media 誠さんくらいで(笑)。
窪田 ハハハ。
上杉 でも海外に取材に行けば仲間がたくさんいる。逆に日本の記者たちが同じところに集まって孤立している。
窪田 取材団みたいな感じですね。
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