とうとう1型センサーを搭載したコンデジが出た。まあたいていの場合、同じ世代の技術を使って開発され、画素数がほぼ同じならば、撮像素子が大きい方が高画質なわけである。1画素あたりの面積が広くなる分、感度は高いしダイナミックレンジも広いから。
現在、普及型コンデジの撮像素子サイズは1/2.3型で、キヤノン、オリンパス、ニコンはハイエンド機として1/1.7型センサーのモデルを用意している。昨今は高級コンパクトなるモデルも登場し、富士フイルムは2/3型、キヤノンは1.5型とさらに大きなセンサーを使ったモデルを投入した(撮像素子のサイズについてはこちらも参照のこと)。
で、ソニーはどうかというと、1/2.3型コンデジの上がAPS-CサイズのNEXシリーズであって、間がぽっかりあいてたのだ。その答えが1型センサーを搭載したサイバーショット「DSC-RX100」である。
これがなかなかすごいカメラなのだった。
ソニーは1型センサーを搭載したデジカメを、高級で高画質なサイバーショットの最上位モデルとして仕上げてきた。
そのボディがすごい。
黒くてさらっとした手触りが心地よいボディは、とてもシンプルで高級感がある。凹凸に乏しい上、表面がさらりとしてるので落としやすそうとも感じるが、まあそこはカッコよさ優先ということで。
すごいのはそのサイズ。1型センサー搭載機とは思えないくらい小さいのだ。センサーサイズが大きくなると当然レンズ径も大きくなり、ボディも大きくならざるを得ないのだが、ソニーは101.6(幅)×58.1(高さ)×35.9(奥行き)ミリと、コンパクトデジカメのサイズとして仕上げてきたのである。
だから普通にコンパクトデジカメの感覚で持ち歩いて撮れる。でも、仕上がりは比べものにならないほどいいのだ。特に等倍表示にすると、ディテールの描写力の違いは一目瞭然(りょうぜん)で、センサーサイズの違いを見せつけるような感じ。
そのコンパクトなボディにレンズは35ミリ換算28〜100mm相当の3.6倍ズーム。ワイド端はF1.8の明るさを持ち、このサイズでレンズ前5センチまで寄れる。これはすごい。F1.8だと背景もいい感じにぼけてくれる。
ちょっと焦点距離を伸ばすと最短撮影距離はぐっと長くなり、テレ端ではF4.9で最短撮影距離も数10センチ(腕を伸ばして触れられるくらいの距離がギリギリと思っていい)になる。
テレ端も明るくて寄れると嬉しいのだが、それを目指すとレンズが大きく重くなってしまうわけで、RX100は広角側を重視したレンズと思うべし。実際、28mmF1.8というのは実に幅広く使える実に具合の良いスペックだ。
ISO感度はISO125からISO6400まで。2000万画素と非常に高画素で、高感度にも強いがよく見るとどうしてもざらつきが目立つ。ただ、ISO感度設定に「マルチショットNR」モードがある。これは、ソニーが得意とする「高速連写+合成でノイズの少ない絵を作る」技で、常に連写+合成をかけるISOオートと思えばいい。
このモードでは常に連写+合成してざらつきを減らしてくれるのだ。さほどISO感度を上げないケースでも効果はある。例えばISO800クラスでもこのくらい差が出るのだ。
分かりにくいので等倍で見比べてみる。ISO感度は、マルチショットの方がISO1000、ISOオートの方がISO800。ISO800は等倍表示すると細かなざらつきが見えてくるレベル。でもマルチショットNRを使うとすごい。
被写体が動いてなければ、とても効果的。
ISO感度ついでにもうヒトネタ。ISO感度は125からだが、ISO80と100も選べる。この2つは拡張感度という設定で、ISO125に比べてダイナミックレンジが少し狭くなるので注意が必要だ。ハイライト部がちょっとだけ白飛びしやすくなる。ハイコントラストな構図じゃなければ問題ないだろうから、どうしても絞りを開きたいけど明るくて露出が……というときはISO80まで落とせばさらに2/3段分開けられる。
上の2枚、見た目はほぼ同じだが、ヒストグラムでチェックするとハイライト部に差が出ている。ちなみにシャッタースピードの上限は1/2000秒。あと1段速くしてほしかったかな。
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