さて、おそらく金曜日からあちこちでマツダの新しいロータリーエンジンの記事が出ているだろうと思う。新たに登場した8C型ロータリーは、かつての13B型と何が違うのかがかなりこってり目に解説されているはずだ。
まあ、筆者も同様に取材してきたので、結局はそこも書くのだけれど、その前にマツダは一体何を考えて、何をつくろうとしたのかの話から始めないといけない。ということで、またもや長いマツダの話が始まる。
ロータリーエンジンを搭載した「MX-30 ROTARY-EV e-SKYACTIV R-EV」(筆者撮影)
今回登場した「MX-30 ROTARY-EV e-SKYACTIV R-EV(以下、R-EV)」 を端的に説明すれば、メカニズム的には2021年に発売された「MX-30 EV MODEL(以下、EVモデル)」のモーター/発電機と同軸に、発電専用ワンローターロータリーエンジンを追加したものだ。
発電専用エンジンを搭載して電欠のリスクをなくしたことと引き換えに、EVモデルに搭載されていた35.5kWhのバッテリー容量を、約半分の17.8kWhに落としたというのが機械的に見た成り立ちだ。バッテリーを減らせば価格も下がるし、重量も軽くなる。まあ現実的にはエンジンなどのシステム搭載で130キロほど重くなっているそうだが、だったらなおのこと、バッテリーを減らさないと酷いことになる。そして、なにより中長期で供給難が予見されているバッテリーを抑制的に使うことができ、マクロで見ればより多くのモビリティを電動化することが可能になる。
- マツダ、ロータリーエンジン活用のPHEVモデル「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」を初公開
マツダは、発電用ロータリーエンジンを搭載する「MAZDA MX-30 e-SKYACTIV R-EV」を「ブリュッセルモーターショー」で初公開した。
- マツダ初の「MX-30 EV」 姿を現したフルスペックのGVC
マツダMX-30にEVモデルが追加された。これがいろんな意味で非常に面白いクルマだったので考察してみたい。「これこそがマツダのEVへの回答」と受け止める向きもいるかもしれないが、それは半分だけ正解で半分は不正解だ。
- マツダの中期経営計画を分析する
マツダが発表した中期経営計画では、時間軸ごとにフェーズ分けした計画が記されている。各フェーズを読み解いていくと……。
- マツダのEVは何が新しいのか?(前編)
東京モーターショーの見どころの1つは、マツダ初のEVであるMX-30だ。クルマの生産から廃棄までの全過程を通して見たときのCO2負荷を精査した結果、35.5kWhというどこよりも小さいバッテリーを搭載した。世の中の流れに逆らって、とことん真面目なEVを追求した結果出来上がったのがMX-30だ。
- EVにマツダが後発で打って出る勝算
マツダが打ち出したEVの考え方は、コンポーネンツを組み替えることによって、ひとつのシステムから、EV、PHV(プラグインハイブリッド)、レンジエクステンダーEV、シリーズ型ハイブリッドなどに発展できるものだ。そして試乗したプロトタイプは、「EVである」ことを特徴とするのではなく、マツダらしさを盛ったスーパーハンドリングEVだった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.