格闘技イベント「The Battle Cats presents 超(スーパー)RIZIN」(さいたまスーパーアリーナ)で、許されない非礼があった。元5階級制覇王者フロイド・メイウェザーへの花束贈呈の場面で、「ごぼうの党」の奥野卓志代表が、花束を渡さずリングに落としたのだ。
同イベントを主催するドリームファクトリーワールドワイド(東京都港区)の榊原信行代表は聴衆に向けて、「品性下劣な男をリングにあげたことを、この場を借りておわびします」とリング上で謝罪した。
この花束投げ捨て事件を巡っては、ネット上で「日本の恥」「失礼すぎる」といった声があがっていて、炎上している。試合後の記者会見で榊原代表は、「主催者を代表しておわびしたい」と再び謝罪し、「細かなところまでわれわれの配慮が足りなかった。二度と起こさないように最善を尽くす」と釈明した。
なぜ奥野代表が花束を贈呈することになったのか。その背景には、同イベントのNFT(非代替性トークン)デジタルチケットのオークション入札がある。
このチケットの落札者には「超RIZIN/湘南美容クリニック presents RIZIN.38」のアリーナ最前列・VVIP1列センター席(アリーナ最前列)を提供した。加えて全4枚を通しての最高額落札者(来場権利保有者)には、「当日、リング上で花束の贈呈ができる」特典を付けていて、その特典を得たのが、最高額の420万円で落札した奥野代表だったというわけだ。
榊原代表は、落札者である奥野代表と事前に会ったり話したりしたかどうかを問われると「全くない。そこはチケッティング会社に任せていた部分だった。その先のNFTの販売会社を通じての販売だったので、金額は聞いていたが、誰が落札したかどうかは聞いていなかった」と説明した。
同チケットの狙いについては、朝倉未来vs.フロイド・メイウェザーの超RIZIN、NFTデジタルチケットを発売 榊原CEOに狙いを聞いたでレポートした通り、榊原代表は以下のように答えている。
「日本ではダフ屋行為などは厳しく規制されています。しかし、例えば先日のYogibo presents THE MATCH 2022のチケットなどは、某オークションサイトで倍額以上の価格で販売されている状況がありました。初めから転売する目的で人気のあるチケットを大量に入手してネット市場に出す行為が横行しています。これが現実なのです。当然ながら、転売されたとしても、選手や主催者には還元されません。
その意味で、市場価値に応じて料金が変動していくNFTデジタルチケットには、この問題を解決する一助となる可能性があると感じています。この仕組みが一般化していけば、チケット単価が上がった分の一部は、主催者や選手にも還元されるでしょう。そのようなモデルケース、テストケースになればと考えています」
つまり同チケットはもともと転売対策などを狙いとしていたのだ。だが、この特典の“死角”を突かれた形になってしまったようだ。
榊原代表に、特典の仕組みを悪用する可能性などを想定していなかったのか、法的措置を取る意向はあるのかなどを聞いた。
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