労働法に詳しい株式会社Works Human Intelligenceの社労士・井口克己氏が、人事労務担当の素朴な疑問を解決します。
Q: 一部の時給制の社員が、勤務の予定時間を長く設定した日に集中的に年次有給休暇を申請してくることが目立つようになってきました。
年次有給休暇を取得した日は当初の時給と勤務予定時間で賃金を支払うので、勤務予定時間が長ければ長いほど金額が高くなります。あまりにその回数が多いので他の社員から不公平だと声が上がってきました。
対策として、年次有給休暇を取得した日の賃金を時間給から平均賃金の金額に変更しようと思います。何か注意することはありますか。
A: 年次有給休暇を取得した日の賃金を平均賃金とした場合、その日の勤務予定時間にかかわらず一定の金額にすることが可能です。しかし、平均賃金を算出する事務が増加します。さらに、時間単位で年次有給休暇を取得した場合には、時間当たりの金額に差異が発生します。このことが新たな不公平の種になる懸念があるため、年次有給休暇の賃金を平均賃金にすることは得策ではないと考えます。
年次有給休暇を取得した日の賃金は、次の3種類から選択することが可能です。
(1)平均賃金
(2)通常の賃金
(3)標準報酬日額
どの方法で賃金を計算するかについてはあらかじめ就業規則等で定める必要があり、年次有給休暇を取得する度に(1)〜(3)どれかを選択することは認められていません。加えて、(3)標準報酬日額を選択する場合は労使協定を締結する必要があります。
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