何の成果も得られませんでした。
経緯を一から説明する。記者は最近、ChatGPTのリサーチ機能「deep research」を便利に使っている。しかし、同機能はChatGPTの最上級プラン「Pro」(月額3万円程度)に加入していなければ使えない。月額3万円は安くなく、どうにか取り返せないかと考えていたとき、おぼろげながら「馬」の1文字が浮かんだ。
ただ、記者は競馬について何も知らなかった。今回、馬券を買うまでその買い方もよく分かっていなかったくらいだ。そのため予想のしようがなかったのだが、deep researchがものすごく話題だったので、コイツに任せてみたらいいのでは? と思い、その通りにしてみた。賭けたのは2月23日の「フェブラリーステークス」だ。
AIの予想がこちら。要するに「エンペラーワケアの複勝(3着以内)に5000円、エンペラーワケア1着、コスタノヴァ2着の予想に2000円、エンペラーワケアとコスタノヴァが1着か2着になり、3着がミッキーファイト、ペプチドナイル、サンライズジパング、メイショウハリオ、タガノビューティーになる予想(計10通り)に300円ずつ(計3000円)賭けろ」とのことだった。思考過程を見ると、netkeibaやUmanityといったサイトから人気上位の馬を調べたり、天気・気温の情報まで調べたりしている様子が分かる。
参考:競馬全然知らないけどChatGPT任せで1万円賭けてみた 「deep research」代を取り返せるか【計画編】
で、こちらが実際の結果。1着コスタノヴァ、2着サンライズジパング、3着ミッキーファイトと、予想は大外れ。1円も返ってこず、晴れて“すってんてん”となった。
反省点としては、予想をAIに丸投げした点が挙げられる。今回は「本当に初心者で何も分からないから、そっちで全部予想して」とdeep researchに命じて予想を出させ、その結果を別途o1 pro modeでまとめる、というアプローチを取った。
各依頼では「初心者にもなるべく分かりやすく」との指示も添えたが、個人的にはこれも良くなかったと考えている。後になって、プロンプトを調整しながら別のレースの予想をさせてみたところ、上記の文言があるとなしでは予想に若干の差があった。
あくまで数回試した範囲だが、文言アリだと初心者の記者にも理解しやすい賭け方(単勝や複勝など)、ナシだとやや複雑な賭け方(2頭軸ワイドなど)を中心にプランを立てる傾向にあった。
実は、最初に賭ける段階でも何パターンか予想を出力させてはいた。ただ、プロンプトは大きく変えておらず、あくまで「タイミングによって予想は変わるかもしれない」と踏んでの試みだった。見立て通り、どの馬を選ぶかの予想は日によって多少変わったが、どれも賭け方に大きな差はなく、しいて言えば資金配分が異なるくらいだった。結局、記者は「新しいのが最もいいだろう」と最新の予想を採用したが、もしかするとこれが良くなかったかもしれない。
何を言っても後の祭りだが、予想とその解説は分けて依頼しておけば、何か違ったかもしれない。例えば予想自体はプロンプトで過去のレースやその統計を積極的に活用してもらい、その解説は別途してもらう──とか、タスクの分解からプロンプトまで、思い付くアプローチはいろいろある。
ただ、今回の試みはあくまで「AIに丸投げするとどうなるか」の検証。一番良いのは自分でも過去のレースや競馬についてきちんと調べ(その助けにはAIを活用する)、AIの意見を参考にしつつ、自分で予想することだろう。
実は、記者は「1万円が増えたら賭け続けて、複数回の結果を記事化すればもっと参考になるかも! 1回じゃデータ少なすぎだろうし、何より何回も記事書けるし!」なんて内心楽しみにもしていたが、初手でゼロになったのでこの計画は終了となる。自費の1万円は安くなかった。
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