出版社内容情報
《概要》
1925年5月に施行された「治安維持法」。国体の変革または私有財産制度の否認を目的とした結社を処罰することをその主な主旨として成立した。当初は反社会的な運動を取り締まるものであったが、次第に政府の政策を批判する者や自由主義者、労働運動なども取り締まりの対象となった。1945年に日本の敗北とともに撤廃されるまで20年間その運用は続き、国内外での検挙者数は10万人以上におよんだ。本書では治安維持法の「悪法」性を正しく捉えるべく、現代的かつ多角的な視点からのアプローチを用いて深く検証する。
《目次》
序章
第一章 治安維持法小史――施行から廃止まで
1 前史
2 治安維持法の成立
3 治安維持法の「改正」
4 一九三〇年代前半の運用
5 一九三〇年代後半の運用
6 新治安維持法の施行
7 治安維持法の廃止
第二章 治安維持法はだれが、どのように運用したのか
1 検挙から送致へ――特高警察
2 起訴――思想検察
3 予審――裁判所?
4 公判――裁判所?
5 行刑・保護観察・予防拘禁
6 軍法会議による処断
第三章 戦時下抵抗と治安維持法による「法の暴力」
1 唯物論研究会事件
2 京大俳句会事件
3 神戸詩人クラブ事件
4 横浜事件と細川嘉六
5 3人の弁護士たちによる弁護活動
第四章 朝鮮における治安維持法
1 治安維持法の運用開始
2 全開する治安維持法
3 拡張する治安維持法
4 暴走する治安維持法
5 治安体制の崩壊
第五章 台湾における治安維持法
1 治安維持法の運用開始
2 治安維持法運用の全開
3 戦時体制下の治安維持法
4 治安体制の解体
第六章 「満洲国」の治安維持法
1 関東州と在満外務省警察の治安維持法運用
2 反満抗日運動の取締法制定
3 暫行懲治叛徒法運用の全開
4 「満洲国」治安維持法の猛威
5 治安体制のなかの行刑・矯正輔導
6 「満洲国」治安体制の終焉
第七章 治安維持法の威力の震源=「国体」とは何だったのか
1 治安維持法への「国体」の組込み
2 治安維持法における「国体」の確立
3 「国体」変革観念の拡張
4 特高警察・思想検察と「国体」
おわりに
内容説明
一九二五年五月一二日に施行された「治安維持法」。国体の変革または私有財産制度の否認を目的とする結社を処罰することを主旨として成立したが、二度の改正を経て、社会運動全体を封殺、取締の対象は一般市民にも及んだ。一九四五年の廃止までに国内外での検挙者は10万人超。この“稀代の悪法”を多角的な視点から検証する。
目次
第一章 治安維持法小史―施行から廃止まで
第二章 治安維持法はだれが、どのように運用したのか
第三章 戦時下抵抗と治安維持法の「法の暴力」
第四章 朝鮮の治安維持法
第五章 台湾の治安維持法
第六章 「満洲国」の治安維持法
第七章 治安維持法の威力の震源=「国体」とは何だったのか
著者等紹介
荻野富士夫[オギノフジオ]
1953年埼玉県生まれ。82年早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。小樽商科大学商学部教授を務め、2018年定年退官、同大学名誉教授。専門は日本近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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