Debianでは(多くのディストリビューション同様)、GCCのマニュアル等を含んだドキュメントをパッケージでインストールできます。先月リリースされたDebian 9 ("Stretch")でも、gcc-6-docという名前のパッケージになっています(通常はgcc-docが依存するパッケージとして自動的にインストールされるはずです)。
このgcc-6-docパッケージがnon-freeという分類になっていることは意外かもしれません。実際、GCCのドキュメントは(多くのGNUプロジェクトのドキュメント同様)GNU Free Documentation License (GFDL) v1.3でライセンスされています。このバージョンのGFDLは(ある一定の条件を満たせば)、Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA) 3.0ライセンスと併用することが許されています。
しかし、以下の理由でGFDLはDebianのsocial contractに合わないという議論がされています:
結局、2006年にDebianプロジェクトで投票の結果、Invariant Sections等を持つGFDLでライセンスされたドキュメントはnon-freeとすることが決まりました。ちなみに同年、FSFはGFDLを改良するべくGNU Simpler Free Documentation License (GSFDL)という新しいライセンスのドラフトを公開しました。GSFDLにはCover TextsやInvariant Sectionsについての要件が無いためDebianでもfreeなライセンスと見なされるはずですが、その後特に進展はないようです。