これはいいアメリカン・ストーリー
アメリカのアーケード(ゲームセンター)は衰退の一途を辿り、日本のゲーセン事情以上に厳しい状態だ。格闘ゲームの大会なども、家庭用ゲーム機で行われるのが普通だ。だってプロゲーマーのジャスティン・ウォンがかつて語ってくれたように、格ゲーシーンがそこにないから、アーケードに行ってもロクな練習相手がいないのだ。しかし今、ロサンゼルスのアーケード“Caine's Arcade”が話題となっている。
その小さな小さなアーケードがあるのは、車のパーツを扱っているお店“Smart Parts Aftermarket”の中。アーケードの営業時間は土曜日の午前8時から午後5時が基本で、アポを取れば日曜日も開けてくれる。平日はやってない。なぜなら店主が学校に通っているからだ。
店主にして、このアーケードに置いてあるすべてのゲームのデベロッパーであるCaine Monroy君は、このパーツ屋の息子だ。そう、Caine君は9歳の時に、お父ちゃんからいらない段ボールをもらって、アナログなアーケードゲームを作り始めたのだ。
しかし完成したはいいものの、肝心なお客はほとんど来ない。それもそのはず、別にお父ちゃんの店は繁華街にあるわけじゃないし、車のパーツを探しに来るような人は……客層の違いってものがある。
さて前説が長くなったが、このDIYスピリットにあふれた子をビックリさせようぜ、と企画されたのが、Nirvan Mullick氏による同名ショートフィルム“Caine's Arcade”。Facebookで物好きのみんなを集め、Caine君のお店を人でいっぱいにして、みんなで遊ぶのだ。
そして先日、映像がオンラインに公開され、Caine君のひたむきな様子に胸を打たれた人が続出というワケ。ちなみに公式サイトでは、Caine君がカレッジに行くための寄付も受け付けている。いわく「想像してみなよ、この子がエンジニアリングできる年になったら、どんな物を作れると思う?」。確かに気になる!
Caine's Arcade from Nirvan Mullick on Vimeo.