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あの銃撃事件から10年…サルバドール・カバニャスが現況を語る

2020.10.02

 9月27日、メキシコのリーガMX第12節でクラブ・アメリカvsクルス・アスルが行われた。メキシコシティに本拠を置く強豪同士の対戦は「クラシコ・ホーベン(若者のダービー)」と呼ばれ、いつも大きな注目を集める。

 この試合に先駆けて現地のメディアは様々な関連ニュースを発信したが、クラブ・アメリカの“レジェンド”として、多くのメディアが元パラグアイ代表FWサルバドール・カバニャスを取り上げていた。

9試合で8ゴールを記録

 カバニャスは2006年にクラブ・アメリカに加入し、公式戦通算160試合98ゴールの成績を残した。クラシコ・ホーベンには9試合に出場して8ゴールを記録と、エースストライカーとしての存在感を大いに発揮した。

 「私はクルス・アスルと対戦するたびにゴールを決めていた。クラシコ・ホーベンは非常に激しいダービーマッチで、誰もがプレーしたがる試合だ。リーグ戦の成績や順位に影響を与えるようなシチュエーションなら、さらに意欲が増す」

 カバニャスは『アステカ・デポルテス』の取材にそう答えている。今回のクラシコ・ホーベンはスコアレスドローに終わり、『メディオティエンポ』は「スペクタクルに乏しい」、『レコルド』は「つまらない引き分け」と現地メディアは厳しい見方をしている。

 この対戦で存在感を示し続けてきたカバニャスも、今回の結果には歯がゆい思いをしているかもしれない。

「100%回復している」

 ところで、カバニャスはクラブ・アメリカに所属していた2010年1月25日、メキシコシティのナイトクラブで銃撃を受けたことでも知られている。

 ビッグクラブ、そして代表のエースがキャリア絶頂期に凶弾に倒れるというニュースは、世界中に大きな衝撃を与えた。奇跡的に一命は取り留めたが、弾丸は手術で摘出することが難しい位置にあり、今も彼の頭の中に残ったままだ。

 その後、懸命のリハビリでプレーができるまでに回復し、パラグアイやブラジルの下部リーグのクラブと短期契約を結んでプレーしたものの、トッププロとしてのキャリアは断たれてしまった。

 その事件から10年あまりが経過した。彼は『ESPN』の取材に対し、現況について次のように語っている。

 「私は元気だ。100%回復しているし、家族とともに楽しい人生を過ごしている。常に私に寄り添い、サポートしてくれたクラブ・アメリカにも心から感謝をしているよ」

 もちろん今もサッカーへの情熱は失っていない。何らかの形で、再びクラブ・アメリカと関わりたいとも願っているようだ。

 「いつの日かメキシコやパラグアイでコーチングスタッフのサポートをしたい。プレー面、そして人生において私が経験してきたことを伝える役割を果たしたいと思っている。クラブ・アメリカに戻ることができれば最高だ。この先、どうなるかは分からないけど、その日のために勉強して、しっかり準備しておきたいと思っているよ」


Photo: Getty Images

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カバニャスクラブ・アメリカ

Profile

池田 敏明

長野県生まれ、埼玉県育ち。大学院でインカ帝国史を研究し、博士前期課程修了後に海外サッカー専門誌の編集者に。その後、独立してフリーランスのライター、エディター、スペイン語の翻訳家等として活動し、現在に至る。