2025年の春闘は、ヤマ場となる集中回答日を迎えました。2024年に続き、高い水準の賃上げの勢いを保てるかに関心が集まっています。
流通や外食などの業界の労働組合が集まる「UAゼンセン」の本部から、フジテレビ・智田裕一解説副委員長が中継で伝えた。
智田裕一 解説副委員長:
「UAゼンセン」は、私たちの暮らしに直接かかわる業界で働く人たちの労働組合が集まる組織です。各組合からの決着内容が続々と入ってきていますが、組合員の数を合計すると190万人にもなるという組織で、高い水準の賃上げが広がるかが春闘の行方を占う大きなカギになります。
決着内容を書きこむボードに、組合からの回答内容が書き込まれていく。
智田 解説副委員長:
「満額」の赤い文字がずらりと並ぶ光景は2024年も見られましたが、2025年も2024年同様軒並み満額、つまり、要求通りの水準で決着したということを示しています。
そして、「餃子の王将」に書かれた2万2216円というのが要求した数字。これに対して経営側が回答した数字が3万139円ということで、要求を大きく超える水準で決着したというケースもあります。
このところ、野菜やコメなど身近な食品を中心に物価高が加速しているが、物価上昇に負けない賃金上昇を確実に広げていけるのかが大きなポイントだという。
智田 解説副委員長:
直近の物価上昇率を見てみると、1月で4.0%、2年ぶりの高い水準になりました。
これに対し、UAゼンセンの集計結果の最新の数字は、賃金を底上げするベースアップなどの分で見てみると、正社員で4.35%、物価上昇分を超えています。
そして、パート従業員の場合は5.67%と、さらに高い水準の引き上げ率となっています。待遇面での格差を是正するため、パートの賃上げ率をより高くしていこうという機運が強まっています。
「イット!」青井実キャスター:
気になるのはトランプ関税の影響ですね。
智田 解説副委員長:
中でも自動車は産業の裾野が広く、関税が強化されれば、経済活動が冷え込んで企業活動がうまく回らなくなることが心配される分野です。企業が利益をあげにくくなれば、賃上げに資金を回しづらくなって、結果的に賃上げ機運に水がさされるおそれもあります。
これから、中小企業に賃上げが確実に広がる環境をつくっていけるのか、トランプ政策の影響の行方も注意深く見ていく必要がありそうです。
(「イット!」3月12日放送より)