2015年1月5日、TOKYO MXでアニメ「ユリ熊嵐」が放送開始した。監督は「少女革命ウテナ」「輪るピングドラム」の幾原邦彦。
第1話「私はスキをあきらめない」の前半のあらすじをざっくり書く。
「小惑星クマリア」の爆発の影響で、クマはヒトを食べ、ヒトはクマを撃つようになった世界。ヒトとクマのあいだには「断絶の壁」が築かれ、不可侵の状態にあった。
ヒトの世界、嵐が丘学園(見るからに日比谷図書館!)に通う生徒・椿輝紅羽と泉乃純花は「友だち」であり「恋人」。純花は「きれいで優しいものから、大切なものから、すべてを壊していく」「透明な嵐」に巻き込まれている。
紅羽たちのクラスの転校生・百合城銀子と百合ヶ咲るるは、女の子の姿をしているけれど、実はヒトの世界に入り込んだ人喰いグマ。「あの子もこの子もよりどりみどり♪」「たっくさん女の子を食べちゃうよ!」
透明な嵐を避けるために、屋上で昼食をとる紅羽と純花。それを眺める2匹(2頭?)のクマ。「デリシャスメル。あの子が食べたい。ガウガウ」
学園内に響き渡るクマ警報、追いかけてくる透明な嵐……。
「諦めないよ、わたしの『スキ』」
「透明な嵐」「断絶の壁」といった謎めいたワード、後半で起こる「ユリ裁判」という謎のシーン、「ユリ、承認!」という謎セリフ、銀子とるるの謎の変身シーンからの謎なエッチな捕食シーン。
とにかく謎ばっかりだ!
ただ私の中の悪いオタクが「メタファーだ……」と囁いている。
「透明な嵐」は作中の表現だけを見ると「いじめ」「無視」にかなり近いし、「断絶の壁」はATフィールド的なもののようにも思える。「クマがヒト(女の子)を食べる」という「食べる」は性欲っぽく見える……というより、確実に性欲として描いている。「クロスアンジュ」的なシーンもあり、あからさまにエッチだった!
1話のごくごく個人的な第一印象は、「同調圧力と暴力的な性欲と愛」。
「少女革命ウテナ」の「世界の果て」「薔薇の花嫁」、「輪るピングドラム」の「ピングドラム」のように、もともと現実の世界に存在している感覚や概念を特別な言葉で言い換えているのだろう。しかし、まだ1話。どんなことを言っても見当はずれになるのは間違いない。でもなにか言いたくなってしまう。
「ユリ熊嵐」の放映よりも先に、森島明子によるマンガ版『ユリ熊嵐』1巻が発売されている。これで予習&復習できる……と言いたいところだが、もうビックリするほど内容が違う。
(ちなみに、コミックバーズのサイトで1話が試し読みできます)
マンガ版は「大人にスポイルされる子ども」という印象が非常に強い(これと似たテーマは「輪るピングドラム」「ノケモノと花嫁」にもあった)。この印象がマンガ版だけなのか、それともアニメ版でも描写されていくのか、今はまだわからない。
『ユリ熊嵐 公式スターティングガイド』は1月8日に、小説版『ユリ熊嵐』上巻は1月19日に発売される。ニコニコチャンネルでも1月15日25時から配信される。関係あるのかどうかは知らないけれど『羆嵐』も読み返しておきたい。
MBSとテレビ愛知は1月6日から、BS11は1月7日から、AT-Xでは1月13日から、順次放送を開始する。
幾原邦彦のアニメだ。
幾原邦彦のアニメが始まってしまった。これから毎週月曜日、死にそうな30分間が待っている。
(青柳美帆子)