この7月は、東海道本線が全線(東京~神戸)開通してちょうど120年になる。東海道線と聞いて、真っ先に思い出すのは、緑とオレンジ色のツートンカラーの湘南電車、という方も少なくないだろう。
その、もはや都心ではちょっと懐かしくなってしまった湘南電車が、このほど千葉方面で走り始めたとのうわさを聞きつけた。鉄道&昭和マニアの身として居ても立ってもいられず、早速乗りに行ってみた。
が、導入された湘南色の車両はたったの1編成。内房・外房・成田・銚子と方々に伸びる千葉県内の路線の、どこをどう走るか事前に知っておかねばえらいことになる。そこでJR東日本千葉支社に、湘南電車の運行予定に聞いてみたが、「安全上教えかねます。ちょっとした事故などですぐ予定が変わることもあるので、お教えしてもかえってご迷惑になるかもしれませんし」と、親切のようなつれないようなお答えがかえってくるのみ。
もはや当たって砕けるしかないと、とにもかくにもJR千葉駅まで行ってみた。ホームを見渡すと、これも都心ではすっかり見なくなった、紺とクリーム色(通称スカ色)の横須賀線の旧車両がいくつも止まっている。これはこれで懐かしい存在ではあるが、わりといっぱい止まっているので、稀少という感じはしないし、あくまで今回の目的は湘南電車。
さてどうしたものか。
そして駅構内で昼食を挟みつつ、待つこと実に2時間弱、ついに目的の車両は外房線方面からやってきた。ホームに到着すると、降り立った乗客の何人かがケータイのカメラで電車を撮ってる姿が。やはりスカ色に見慣れている地元の人々には異彩を放つ存在のようだ。
ということで、早速湘南電車に乗り込んで、少しの区間行ってみることにした。ただ、残念ながらというか予想通りというか、車内はほかのスカ色車両と全く変わらない、普通の通勤電車風。それでもいまどきの車両とは趣の違う懐かしさは感じられるので、これはこれで良し。そして発車。走行音も最近の車両とは違って、ほどよくやかましい。
多少の味気なさもあるが、懐かしさの実体験なんて、得てしてこんな何の変哲のないものかも。あくまでちょっと昔の「日常」にすぎないのだから。
この夏、海水浴などで房総方面へ出かけるなら、その行き帰りにちょっとしたタイムスリップを体験しながら家族の会話を弾ませてみるのも一興ではないだろうか。ただし今回の取材のように、運がかなり左右しそうだが。
(足立謙二/studio-woofoo)
しかしその湘南電車、もう2年も前に、東海道線から姿を消してしまっているのだ。今走っている銀色のアルミボディに湘南色の帯が走った車両は、その名残りこそあるものの、厳密に「湘南電車」と呼ぶべきではないというのが鉄道ファンの見方らしい。
その、もはや都心ではちょっと懐かしくなってしまった湘南電車が、このほど千葉方面で走り始めたとのうわさを聞きつけた。鉄道&昭和マニアの身として居ても立ってもいられず、早速乗りに行ってみた。
が、導入された湘南色の車両はたったの1編成。内房・外房・成田・銚子と方々に伸びる千葉県内の路線の、どこをどう走るか事前に知っておかねばえらいことになる。そこでJR東日本千葉支社に、湘南電車の運行予定に聞いてみたが、「安全上教えかねます。ちょっとした事故などですぐ予定が変わることもあるので、お教えしてもかえってご迷惑になるかもしれませんし」と、親切のようなつれないようなお答えがかえってくるのみ。
もはや当たって砕けるしかないと、とにもかくにもJR千葉駅まで行ってみた。ホームを見渡すと、これも都心ではすっかり見なくなった、紺とクリーム色(通称スカ色)の横須賀線の旧車両がいくつも止まっている。これはこれで懐かしい存在ではあるが、わりといっぱい止まっているので、稀少という感じはしないし、あくまで今回の目的は湘南電車。
さてどうしたものか。
事前に聞いていた情報では、今回導入された湘南電車は4両編成とのことだったので、千葉駅に貼られていた時刻表を元に4両編成の列車の到着時刻を中心にチェックし、しばしホーム上で待つことにした。どこを走っていようと、いずれこの千葉駅に戻ってくるのは間違いないだろうといった淡い期待とともに。
そして駅構内で昼食を挟みつつ、待つこと実に2時間弱、ついに目的の車両は外房線方面からやってきた。ホームに到着すると、降り立った乗客の何人かがケータイのカメラで電車を撮ってる姿が。やはりスカ色に見慣れている地元の人々には異彩を放つ存在のようだ。
ということで、早速湘南電車に乗り込んで、少しの区間行ってみることにした。ただ、残念ながらというか予想通りというか、車内はほかのスカ色車両と全く変わらない、普通の通勤電車風。それでもいまどきの車両とは趣の違う懐かしさは感じられるので、これはこれで良し。そして発車。走行音も最近の車両とは違って、ほどよくやかましい。
多少の味気なさもあるが、懐かしさの実体験なんて、得てしてこんな何の変哲のないものかも。あくまでちょっと昔の「日常」にすぎないのだから。
でも、ちょっと昔に戻れる空間が、都心から1時間弱の場所で味わえる気軽さは何ともうれしいのは確か。
この夏、海水浴などで房総方面へ出かけるなら、その行き帰りにちょっとしたタイムスリップを体験しながら家族の会話を弾ませてみるのも一興ではないだろうか。ただし今回の取材のように、運がかなり左右しそうだが。
(足立謙二/studio-woofoo)
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