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どんなにきみがすきだかあててごらん(評論社)

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夏の雨

パパ・60代・埼玉県

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夏の雨さんの声

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自信を持っておすすめしたい 次の世代にも伝わるように   投稿日:2025/01/19
あの日をわすれない はるかのひまわり
あの日をわすれない はるかのひまわり 作: 指田 和子
絵: 鈴木 びんこ

出版社: PHP研究所
「贈られしひまはりの種は生え揃ひ葉を広げゆく初夏の光に」
 これは、上皇さまが平成最後の2019年の歌会始に詠まれた歌で、
 歌のなかにある「ひまわり」こそ、
 この絵本『あの日をわすれない はるかのひまわり』で描かれた
 阪神・淡路大震災のあとに神戸の被災地に咲いた花のこと。
 皇居で花開いたひまわりは、
 震災から10年の追悼式典の際に当時の天皇皇后さまご夫婦に贈られた種から育ったという。
 この絵本は阪神・淡路大震災で犠牲となった、当時小学6年だった「はるか」ちゃんの姉である「いつか」さんや
 その時に街のあちらこちらに種を蒔いた人たちへの聞き取り取材を得て、
 フリーライターの指田和子さんが文を書き、鈴木びんこさんが絵を描いて2005年に出版されたものです。

 阪神・淡路大震災は「ボランティア元年」と呼ばれてもいて、
 この大きな震災をきっかけに日本ではボランティア活動が定着していきます。
 この絵本では「ひまわり」の話もありますが、
 ボランティア活動のこともきちんと描かれていて、
 地震から二か月後、まだ体育館での避難生活をしていた受験生であった「いつか」ちゃんに、
 あたたかいお弁当を差し入れてくれたボランティアの女性の姿も描かれています。

 1995年に起こった阪神・淡路大震災から今年(2025年)で30年。
 あの日のことを忘れないよう、毎年花を咲かせるひまわりと、
 そのひまわりにまつわる話を描いた絵本が
 いつまでも次の世代へと伝わることを願います。
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自信を持っておすすめしたい 働き者の冷蔵庫に感謝   投稿日:2025/01/12
カチコチ れいぞうこ だいさくせん
カチコチ れいぞうこ だいさくせん 作: ユン・ジョンジュ
訳: すんみ

出版社: パイ インターナショナル
家電の中で一番働いているのは多分、冷蔵庫だと思う。
 何しろ彼(彼女?)は休みことなくずっと動いている。
 なので、停電にもなればもう大変である。
 格納されている食材はどんどん溶けるは腐るは、もう悲惨だ。
 うっかり扉を閉め忘れた時も同じだ。
 最近の冷蔵庫は扉が開いていると、ピーピー警告してくれるが。
 笑いごとではない冷蔵庫にまつわる悲劇を、コミカルに描いてしまったのが
 絵本『カチコチれいぞこだいさくせん』だ。
 作者はユン・ジョンジュさん。韓国の絵本作家である。

 夜遅くお父さんが酔って帰ってくるところから、この絵本は始まる。
 お父さんの手には子供に買ってきたアイスクリームが。
 でも、お父さんは酔っていて、アイスをいれた冷蔵庫の扉を閉め忘れてしまう。
 さあ、大変!
 アイスは溶け始めるし、いろんなものも右往左往。
 でもなんとしても、アイスだけは助けないと。
 冷蔵庫の食材たちが集まって、バタバタするのだが、余計に悲惨なことに。
 カステラの上にアイスが転がって、そこで溶けてきて、まるでプールになっていく。
 喜んで飛びこんだのはイチゴたち。
 冷蔵庫のなかのみんなで作ってしまうのは、何だろう?

 冷蔵庫はとても身近にある家電だから、この絵本に描かれていることは
 とても親しみやすい。
 いつも頑張っている冷蔵庫に感謝しつつ、笑いころげて下さい。
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自信を持っておすすめしたい 面白いSF映画を観ているような…   投稿日:2025/01/10
星新一ちょっと長めのショートショート(7) そして、だれも…
星新一ちょっと長めのショートショート(7) そして、だれも… 作: 星 新一
絵: 和田 誠

出版社: 理論社
『星新一ちょっと長めのショートショート7』(理論社)。
 表題作である「そして、だれも…」をはじめとして、9篇の「ちょっと長めのショートショート」が収められた、児童書。
 装幀・挿絵(それぞれの作品に挿絵がついています)は、和田誠さん。
 『ショートショートセレクション』シリーズの場合、ひとつのお話に一枚の和田誠さんの挿絵でしたが、このシリーズでは2枚あったりして、こちらも「ちょっと多め」。

 面白かったのは、表題作の「そして、だれも…」。
 このタイトルで頭に浮かぶのは、やはりアガサ・クリスティーのミステリー「そして誰もいなくなった」だろう。星さんのこの作品の場合、「…」で意味深な感じを醸し出しているが、ここでもやっぱり「いなくなる」のだ。
 ただし、舞台は宇宙空間を旅する宇宙船の中。乗っているのは、5名の隊員。そんな閉ざされた空間でありながら、突然隊長の姿が見えなくなる。残りの隊員が船内をくまなく探しても隊長は見つからない。そのうちに、また一人の隊員の姿も消え、さらにまた一人…。
 結末も含め、まるでうまく出来上がったアメリカのSF映画のような作品。これは一読の価値あり。

 その他、たった一人で小さな国家を作った男の「マイ国家」やいくつもの童話を巧みにつなげ合わせて抱腹絶倒の作品になった「なりそこない王子」もオススメである。
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自信を持っておすすめしたい へび年なのでへびの絵本を   投稿日:2025/01/06
へびのニョロリンさん
へびのニョロリンさん 作: 富安 陽子
絵: 長谷川 義史

出版社: 童心社
今年(2025年)は巳年。
 つまりは、ヘビ年。
 そんな年のはじめにぴったりの絵本を紹介しましょう。
 『へびのニョロリンさん』。
 文を書いたのは富安陽子さん、絵は長谷川義史さん。
 へびといっても、ここに出てくるニョロリンさんは大蛇。
 首をもたげると人間の背丈ほどもありますから、随分大きい。
 でも、怖がることはありません。
 このニョロリンさんはとてもおとなしい。
 人は、ちがった、へびは見かけで判断してはいけません。
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自信を持っておすすめしたい あなたならなんて答えますか   投稿日:2025/01/06
うつくしいってなに?
うつくしいってなに? 作: 最果 タヒ
絵: 荒井 良二

出版社: 小学館
 この『うつくしいってなに?』の文を書いている
 最果(さいはて)タヒさんは現代詩人のひとりです。
 2008年に21歳で第13回中原中也賞を受賞、その後
 『夜空はいつでも最高密度の青色だ』という詩集が石井裕也監督で映画化されるなど
 活躍が注目されている。
 絵を描いているのは、荒井良二さん。
 絵本作家として多くの作品を出している荒井さんの絵の魅力は
 大胆な筆づかいと眩しいくらいの多彩の色。
 どの作品でもそうだが、ぐっと引き込まれる。
 そんな二人が作った絵本だから、磁力が強い。

 夕焼けの空をみつめている、一人のおさげの女の子。
 やがて、夜の気配が押し寄せてくる。
 空に星がひとつ、ふたつ。それをみつめる女の子の瞳にも星が。
 やがて、夜空一面の星。
 絵本見開き2ページいっぱいの星、星、星。
 書かれた文は「むげん」。
 ここから先の数ページは詩人と絵本作家がまるで格闘しているかのような緊迫の連続。
 こういう緊張感は絵本作品では少ないのでは。

 タイトルの「うつくしいってなに?」はおわり近くに書かれています。
 その答えも書かれていますが、ここではナイショ。
 最後のページを開く前に、考えてみてみましょう。
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自信を持っておすすめしたい くわいはおいしいよ   投稿日:2024/12/29
おせち
おせち 文・絵: 内田有美
料理: 満留 邦子
監修: 三浦 康子

出版社: 福音館書店
子供の頃、おせちのくわいが苦手だった。
 芽がでるというのでおせちには欠かせないものだが、食べきれない。
 だから、芽が出ないままおとなになったのかもしれないが、いつの頃からおいしく感じるようになった。
 つまりは、くわいは大人の味なのだろう。
 おせちにはどこか懐かしい思い出がある。

 12月28日の朝日新聞「天声人語」で
 「文と絵が内田有美さんの『おせち』という絵本が今、人気だそうだ」と紹介されたのが、
 この絵本。
 筆者が書いていたように「写真のような精密な絵にやさしい説明がつく」。
 「黒豆、だて巻き、田作り。一品ずつ由来が浮かぶのは私が昭和の人間だからかも」と書いていたが、
 それはおせちゆえの、あるいはお正月ゆえのことかもしれない。
 ちなみに、この絵本でくわいにはこんな説明がつきます。
 「たけのこ くわい/めがでてのびる/めのものたくさんいただいて/すくすくそだって/おおきくなあれ」

 とにかくこの絵本の魅力はなんといっても、その絵。
 写真ではないかと見間違いそうになる。だから、料理がとにかくおいしそうなのだ。
 天声人語では「平成育ちの親と令和の子が一緒に学べるのも、人気の理由か」とあったが、
 そこに昭和の祖父母がおせちにまつわる思い出話なんかをするのもいい。
 お正月にはこの絵本を開きながら、
 お重をのぞきこんで、これはこういう由来だったのかと話が弾みそうだ。
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自信を持っておすすめしたい サンタさんって独身だったの!?   投稿日:2024/12/24
しごとを なくした サンタさん
しごとを なくした サンタさん 作: スティーヴン・クレンスキー
絵: S.D. シンドラー
訳: こみや ゆう

出版社: 好学社
クリスマスを詠んだ俳句はたくさんありますが、
 大島民郎さんの「子へ贈る本が箪笥に聖夜待つ」という句が大好きです。
 クリスマスには本、なかでも絵本がとてもよく似合います。
 クリスマスを描いた絵本もたくさんあって、 
 アメリカの絵本作家スティーヴン・クレンスキーさんのこの『しごとをなくしたサンタさん』も
 そんな一冊です。
 実はスティーヴン・クレンスキーさんにはこの絵本で絵を描いているS.D.シンドラーさんとのコンビで
 『しごとをみつけたサンタさん』という絵本も書いていて、
 こちらもオススメです。

 ところで、サンタさんが仕事をなくすってどういうことでしょうか。
 実はサンタさんはあまり計画性がなく、いつもクリスマスが近づくと大忙しになります。
 それに反発したのが、サンタさんを手伝っている小人たち。
 その中のひとりが、サンタさんにかわる「たくはいひこうせん」(宅配飛行船)をこしらえます。
 どちらが有能か、サンタさんと競争して、宅配飛行船が勝ってしまい、
 この年は宅配飛行船で贈り物を配ることになります。
 サンタさんはとうとう仕事をなくしてしまいます。
 ところが、いざ宅配飛行船で出発しようとすると、トラブル続きで、さあ大変なことに。
 子供たちにプレゼントは届くのでしょうか。

 もちろん、最後はサンタさんの大活躍でハッピーエンド。
 でも、この絵本のハッピーエンドはまだ続きます。
 サンタさんがなんと! それは絵本を開いてみての、おたのしみ。  
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自信を持っておすすめしたい いつでも会えるね、スノーマン   投稿日:2024/12/22
おかえりなさい、スノーマン
おかえりなさい、スノーマン 絵・作: マイケル・フォアマン
訳: 三辺 律子

出版社: あすなろ書房
確か、『スノーマン』という絵本を読んだことがあったはず、
 けれど、なかなか見つからない。そんなはず、ないのだが。
 見つからないのには理由があって、
 以前はこの絵本、『ゆきだるま』という日本語タイトルがついていました。
 今は新装版となって『スノーマン』として出版されています。

 世界で一番有名な「ゆきだるま」となった絵本『スノーマン』の作者、
 レイモンド・ブリッグズさんが亡くなったのは2022年8月のこと。
 だから、この『おかえりなさい、スノーマン』という絵本が
 日本で2024年11月に出版された時、少し驚きました。
 でも、描いたのがマイケル・フォアマンさんという、やはりイギリスの絵本作家で
 友であったレイモンド・ブリッグズさんとの思い出に捧げるという献辞が
 最初に記されています。

 お話はレイモンド・ブリッグズさんの『スノーマン』を彷彿させるゆきだるまが
 こどもたちに手で公園の一角につくられます。
 このゆきだるまが、こまどりの声に誘われて、夜のロンドンの街を見て歩きます。
 そのうちに、朝がやってきて、陽がのぼるとゆきだるまは溶け始めます。
 あとに残ったのは、氷の心臓。
 「どんなにときがながれても、きみはえいえんにとしをとらない。」
 最後のページに綴られたこんな文章が、
 いなくなったレイモンド・ブリッグズさんへのはなむけでしょう。
 『おかえりなさい、スノーマン』は「またね、スノーマン」でもあります。
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自信を持っておすすめしたい さあ、しっかり勉強しましょう!   投稿日:2024/12/15
やさいのがっこう なすびせんせいのおはなし
やさいのがっこう なすびせんせいのおはなし 作: なかや みわ
出版社: 白泉社
野菜の種の発芽にとっても大切なものって何でしょう?
 それは「水」と「温度」と「酸素」と言われています。
 種を購入した際の袋にはよく「発芽適温」と書かれていますが、
 ダイコンなどは暑い時期に蒔いても発芽しません。
 この三つの要素以外に「光」を含めることもあって、
 ニンジンなどは「好光性種子」と呼ばれています。
 そんなふうに野菜をおいしく育てることを教えている学校があります。
 それがなかやみわさんの『やさいのがっこう』シリーズの絵本です。

 特にこの『なすびせんせいのおはなし』(2024年9月刊)は、
 なすび先生が野菜の子どもたちに丁寧に教えてくれています。
 最初は「太陽の光」の話。
 土の中で育つダイコンやニンジンは葉っぱで光を吸収とか
 みょうがやクレソンはひかげとか。
 ジャガイモは光をあてると毒がでてくるので注意とか、
 とても役立ちます。

 その次は「水」の話。
 ここでは水に浮く野菜、沈む野菜の、実験レポートもあります。
 次は「土」のお話。
 野菜によって、合う土の種類が違うことを学びます。
 おしまいは「寒さと暑さ」の話。
 野菜には夏野菜とか冬野菜という区分けがあります。
 それぞれの季節にあった野菜の特長があるので、しっかり覚えておきましょう。
 最近は一年中、キュウリやダイコンなどが売られていますが、
 やっぱり一番おいしいのは、「旬」の時。

 野菜たちはなすび先生の話をきいて、きっとおいしく育つことでしょう。
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自信を持っておすすめしたい 町に書店はあるかしら?   投稿日:2024/12/13
あるかしら書店
あるかしら書店 作: ヨシタケシンスケ
出版社: ポプラ社
町の本屋さんの減少がとまらないという。
 その一方で、「独立系書店」という小規模な書店が増えているそうだ。
 「独立系書店」とは比較的小規模で個性的な店をいい、店主のこだわりがある本が並ぶ。
 本を読む人は確かに減っているのだろうけれど、
 それでも工夫次第で新しい書店の姿を見せてくれている。

 ヨシタケシンスケさんの『あるかしら書店』は2017年に刊行された本だが、
 いまでも本屋さんの平台に並ぶベストセラーだ。
 こんな本あったらいいな、とユーモラスでしかもアイデア心満載だ。
 例えば、「本にまつわる名所」本をさがしにきた人にはこんな本。
 「本の降る村」(あたったら痛そうですが)、「お墓の中の本棚」(こんなお墓なら一度巡ってみたい)のような。

 それにこの本はユーモアだけではなく、本屋さん愛にも溢れている。
 「本屋さんってどういうところ?」という本を開いてみよう。
 「本屋さんって、いい本を届けるために、いい本が未来にのこるために、いい本が生まれ続けるために、
 日々、プロが右往左往するところ」だったり、
 「本に助けられた人々が、本に恩返しするために、本に関わり続けるところ」なんて書かれていたりする。
 このページを本屋さんの壁に飾っておきたくなる。

 町から本屋さんがなくなるなんて、こんなに寂しいことはない。
 この本のタイトルを少し変えるとこうなる。
 町に書店はあるかしら?
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