「Facebook使ったけどいいことより悪いことの方が多かった」(ウォズの最後の投稿)。
ケンブリッジ・アナリティカ事件でマーク・ザッカーバーグCEOが米上院公聴会に呼ばれるなか、イーロン・マスクに続きスティーブ・ウォズニアックもフェイスブックを無効にしてしまいました。削除しなかったのは「stevewoz」のユーザーネームをキープしたいからであって、実質的には削除と変わりありません。USA Todayに次のように不満をぶちまけています。
ユーザーは人生のあらゆるデータをFacebookに提供し、Facebookはそれで広告マネーを大儲けしている。利益はすべてユーザー情報から生まれているのに、ユーザーにその利益が還元されることはない。Facebookにおいてはユーザーが商品なのだ。
同様の声はAppleのティム・クックCEOからも出されています。先月RecodeとMSNBCが行なった共同インタビュー(全文)で、氏にしては珍しくボロカスに言っています。
これだけ細かいプロファイリングが存在すること自体、おかしいんですよ。複数のソースの情報をつなぎ合わせると、信じられないほど深い個人情報になります。データポイントの点と点をつなぎ合わせて誰かが悪用しようと思えば、いとも簡単にできてしまう。
できるけどやってはいけないことが人生にはあります。これはそのひとつ。
その存在を許してはなりません。
存在そのものを否定されてしまっては、マーク・ザッカーバーグも黙ってはいません。Voxのインタビューでこうやり返しました。
「有料でないから、ユーザーのことはどうでもいいのだ」と言うなど、ぺらぺら軽率な物言いで、事実誤認も甚だしい。
有料にすると払えない層も出てくるし、そうすると世界中の人をつなぐというFacebookの趣旨に反してしまうというんですね。もちろんインターネットがザッカーバーグの野望ですからね。インターネットの中にインターネットをつくること。そのために新興国向けに写真と動画を削除してデータ料をかからなくした軽量版アプリ「Free Basics」を提供しているわけですが、それも市民団体からは「無料なのはいいが、アプリは米国の大企業のものばかりで、個人情報の回収に使われているし、国産のものはほとんどなくて、コンテンツをえこひいきしないネット中立性に反している。外部サイトのリンクを踏むと有料の警告が出るし、どのサイトを見たか、何分見たか、全部追跡される。かたちを変えた植民地主義だ」と市民メディアに批判されてしまっています。
「ネットがまったくないよりはいい」というのがザッカーバーグの主張なのですが、現地(新興国)の政府はそうは考えていないようで、特にインドでは「STOP Free Basics」という反対運動が広まりアプリを遮断してしまいました。それで頭にきたネット黎明期のスターでありFacebook役員であるマーク・アンドリーセンが、「反植民地主義で(東インド会社を追い出した結果)インド経済は何十年もたいへんな目に遭った。なぜ今頃になってSTOPなのだ」とツイートし、植民地主義を擁護する失言と叩かれ、平謝りする一幕もありましたわね…。
たぶん今は、どんなきれいごとを並べてもザルと言われて「はい…」と首をうなだれるしかない局面なのではないでしょうか。初日の公聴会でAP記者が撮ったザッカーバーグの想定問答集には、議員からAppleの話が出た場合の予定稿もあり、「Appleだってアプリの管理はずさんだよ!」とタックルして泥沼に引きずり込むプランだったようです。
うなだれた首がつながることを祈りつつ、今日も公聴会出席のネクタイを結ぶザッカーバーグなのでありました。
Image: Sean Gallup/Getty Images News/ゲッティ イメージズ
Sources: USA Today, Recode, Vox, The Guardian, AP Images
Rhetto Jones - Gizmodo US[原文]
(satomi)