2024年10月24日、『Outer Wilds: Archaeologist Edition』パッケージ版がPS5/ニンテンドースイッチ向けに発売されました。Game*Spark読者の方のなかには『Outer Wilds』に興味を持った方や、もう既にクリアしたという方もいらっしゃることでしょう。そこで今回は『Outer Wilds』と似た志を持ったパズルゲームを紹介していきます。
今回の記事で紹介しているものは、単なるステージクリア型のパズルゲームではなく、いくつかのロケーションやステージに謎が用意されており、それらを解いていくことでひとつの正解に辿り着いたり、大きなストーリーに進展があったりするパズルゲームを指します。一見関係ないようなものがひとつに繋がっていく快感に酔い痴れてください!
たった1時間で認知が変わる!『Linelith』
『Linelith』は岩みたいなビジュアルのキャラクター(オブジェクト?)を操って、一筆書きの図を作るゲームです。遊び心地は2Dの『The Witness』といったところでしょうか。歩くときに四本脚がニョキッと出てくるのがキモ可愛いですね。
ルールはたったひとつで、線を引く際に、白い点々の数だけ角に線を当てるというもの。白点が2つであれば、下記の画像のように引くのが正解です(そのひとつ上のパズルであればさらに一角曲げるのが正解)。
途中いくつか機転が必要なパズルもありますが、60分もあれば全クリできるようなミニマルなタイトルです。まあ、これくらいかな……とパズルの全貌が大体見えてきたところで、びっくりするような展開がプレイヤーを待ち受けます。非常にシンプルな仕掛けではありますが、短時間で世界への認知が変わる素敵なゲームです。値段も安いのでぜひチェックしてみてください。
まともにジャンプしたら終わり!? 足腰が弱すぎるプラットフォーマー『Leap Year』
続いて、こちらも短時間で終わるタイトルです。『Leap Year』はパズルゲーム的な機転が必要ですが、基本的にはシンプルなプラットフォーマーゲームです。散らばった2月のカレンダーを拾い集めることが目的です。
ゲーム開始後、閏年(Leap Year)の29日が頭上に光っているのが見えますが、今は取りようがありません。まるでラダトームから見える竜王の城みたいですね。
意気揚々とジャンプすると……どうしたことでしょう。主人公の足がポキッと逝きました。どうやら彼は同じ高さの足場にも着地できないようです。『スペランカー』よりも弱い足腰の主人公が存在していたなんて……。
しかし、少し進めていくと、彼のジャンプにとある特徴があることがわかります。それがなかなか面白いんですよね。短期間でミニマルなゲームを作り続けているSokpopのなかでもとびきりユニークな一本です。目の前にぶら下がったたったひとつのゴールを手に入れるために、あちこちを巡って色々と試していく楽しみをぜひ味わってください。
キュートなキツネの大冒険『TUNIC』
『TUNIC』は、可愛いキツネが大冒険するクォータービューのアクションゲームです。剣と盾を構えて、押し寄せる敵を倒し、古代の謎を解き明かしていきましょう。最初はまごうことなき2D『ゼルダ』的なゲームプレイで、鍵を手に入れて扉を開けたり、建物の裏から隠れた道に入ったりするのがメインになります。敵も歯応えがあるので、ソウルライクを意識した作りでもあります。あまりに高難易度に感じたら、アクセシビリティをいじるのもいいでしょう。
とはいえ、これだけでは別に今回のキュレーションには適合しません。本作を唯一無二のゲームたらしめているのは「説明書」です。あらゆる場所に散らばっている説明書のページを拾っていくことで、様々なアクションや、抜け道、敵の特徴などがわかっていきます。どのページも素敵なデザインで、隅々まで眺めていられます。
説明書自体そこそこユニークな仕掛けではありますが、本作が牙を剥くのは一度エンディングを見てからです。今まで見てきたマップが、まるで違うものに見えてくる瞬間があります。よくできたゼルダ&ソウルライクなゲームだったな……というところで終わるのはもったいない! 黄金の道を辿るその瞬間まで、決して諦めないでください。
大量の倉庫番&床入れ替えパズルに隠された重厚な謎『Void Stranger』
高難易度パズルのなかでも、とびっきりの難易度を誇るのが『Void Stranger』です。本作は、Voidと呼ばれる空間に潜り込んだGrayという女性が、自らが仕えていた王女Lilyを探していくというストーリー。そこで彼女は200階以上もの倉庫番&床入れ替えパズルをやらされます。
それだけでも歯応えがあり、倉庫番マニアにはたまらない作りをしていますが、本作は当然その程度では終わってくれません。
大量の倉庫番をクリアしただけでは、特に進展はなく、入り口に戻されるだけ……そう、200階の倉庫番はただのマップに過ぎず、重要なのはVoidに隠された秘密を解き明かすことです。
そこに住むキャラクターたちの話を聞き、ひとつひとつのパズルにあるおかしな点をさらいながら、何度も何度も倉庫番を行き来することで、ようやくゲームに進展が見られます。やりすぎ&盛りすぎのパズルの果てに用意された重厚なストーリーは必見です。ただし、本当にしんどい体験になるのも間違いないので、挑戦する時は録画&メモのご用意と、折れない心をもって臨んでください……!
“旅の思い出”が出来ること間違いなしのパズルADV『Riven(2024)』
最後にピックアップするのは、Cyan Worlds Incが開発・販売したパズルアドベンチャー『Riven』です。今回は2024年6月発売のリメイク版を紹介します。オリジナル版は27年前にリリースされ、このリメイク版ではVRでのプレイにも対応。PCだけではなくMeta Quest向けにもリリースされています。
大まかなストーリー設定は「Rivenと呼ばれる異世界へワープした主人公が、そこに点在する奇妙な島を渡り歩き、謎を解き明かす」というものです。謎を解くためには島を隅々まで探索する必要があるのですが、その冒険を彩るビジュアルとサウンド演出がとにかくユニーク。異世界情緒を感じられる濃厚なフレーバーを楽しみながら、プレイヤーは「Riven」という世界への理解を深め、様々な謎解きに挑むことになります。
『Riven』はパズルアドベンチャーの金字塔『Myst』の直接的な続編であり、ストーリーも相応に繋がっていてパズルの難易度自体もなかなか高め。ただし基本のゲームプレイは古典的であり、「隠された部屋に入るためにボタンを探す」「機械を動かすために動力を繋げて、レバーを引く」といったギミックがプレイヤーを待ち受けています。いわゆる「脱出ゲーム」を遊んだことのある方なら、すぐに理解できるでしょう。
しかし「カジュアルな脱出ゲーム」と比べると難しさは100垓(がい)倍ほど跳ね上がっていて、ギミックによっては数時間から10時間以上詰まることも珍しくありません。オリジナル版では「数年詰んで(積んで)ようやく解けた」というプレイヤーも見られたほど。謎の攻略のためにスクリーンショットを撮ることはもちろん、手元にメモ帳とペンを置くのもマストです。
スチームパンク風とも南国風とも言い切れないどこか現実的な世界で、鬼のような難易度のパズルをクリアしきる頃には、それまで渡り歩いた島々に様々な思い出が出来ているはず。エンディングを観た後にメモ帳やスクリーンショットを眺めれば、まるで「トラブルだらけだったけど楽しかった旅行の思い出」を振り返るような気持ちになれること請け合いです。
以上、『Outer Wilds』ゾンビに捧ぐ「いくつものパズルがひとつの正解を導くパズル」5選でした。プレイヤーの思考を刺激するようなパズルゲームやアドベンチャーを好む方は、『Outer Wilds』や本記事で取り上げたタイトルをぜひプレイしてみてください!