記者が昔プレイした、本当にスゴかったゲームを紹介する新コーナーです。選ぶゲームは基本的に前世代機以前のものが中心になります。連載は不定期予定。
ゲーマーを自称するならば、誰しも「オールタイム・ベスト・ゲーム」を持っているはずです。その評価尺度はゲーム体験のみならず人生経験をもって定義するもので、何者にも否定されえません。
私 (Gokubuto.S)にとっての最高のゲームは、アーケード向け3Dアクションゲーム『SPIKEOUT FINAL EDITION』(以下『FE』)です。ゲームの採点をしろと言われて100点満点をつけられるのは唯一このゲーム以外になく、今後も登場する見込みはほぼないでしょう。もし素晴らしい巡りあいがまた生まれたとしても、それを過去形で評価できるようになる前に私の寿命が来るかもしれません。
【プレイ時間】 人生が狂うレベル
【プレイ状況】 全キャラワンクレジットクリア(難度HARDEST、リンクプレイ含む)
【プレイ環境】 通常のアーケード筐体
【プレイした関連作品】 シリーズ派生作品すべてクリア済み
■ 『スパイクアウト』の歴史 |
私にとっての『FE』を語る前に、本作について簡単に説明しましょう。『スパイクアウト』シリーズを制作したのはセガのRD4(通称AM11研)。のちのアミューズメントヴィジョンです。1998年に初代こと『SPIKEOUT DIGITAL BATTLE ONLINE』(『DBO』)が登場。そして一年後、1999年に『SPIKEOUT FINAL EDITION』。あまり軽々と使いたい言葉ではありませんが、「神ゲー」が産声を上げました。MODEL3末期の怪物です。
それ以降シリーズ関連作品としてはアーケードでは『スラッシュアウト』や『スパイカーズバトル』がリリースされてきましたが、いずれも『FE』の評価を超えることはできず、間もなくゲームセンターから姿を消していきました。決して出来が悪かったわけではなかったものの、奇跡の一作と比較される悲劇の宿命が不当とも言える低評価に繋がってしまいました。家庭用版としては『スパイクアウト バトルストリート』(『BS』)が初代Xboxでリリースされました(後述)。
『DBO』はかなり荒削りな内容で、ざっくりと遊べる作品でした。しかし、『FE』でファイナルの名に恥じぬ神がかり的調整がなされ、比類なき傑作へと変貌を遂げます。単純に言ってしまえば、ステージが増え、敵が強くなり、技の調整がされた、くらいであるにもかかわらず、『スパイクアウト』を知る人間なら真顔で「『DBO』のほうが良かった」と言える者は絶無でしょう。素地が良かったのはもちろんですが、いかにゲームの面白さの本質がいわゆるゲームバランスにあるかが窺い知れます。
※1プレイ料金は取材先の設定です。100円以上の場合もあります。
当時決してゲームセンターの華形ではなかった『FE』。しかしその4台並んだ筐体、ブラストシティに半ば無理やり取り付けられた異様な音響システム、黙々とプレイするゲーマーたち、響き渡る「ライフ!こいつライフ!」「スペシャル!スペシャルとって!」の絶叫などに覚えのある方もいるのではないでしょうか。ちなみに、外付けウーハー&椅子はもはや絶滅危惧種。見かけたら10クレジットくらい入れておいてください。
■ 鮮烈だったリンクプレイ − 相変わらず早すぎるセガ |
ゲームシステムの入口を説明するにあたり複雑な用語は不要です。よくある8方向レバーに4ボタンタイプのコンパネで、ジャンルは面クリア型の3Dアクション。定数の雑魚を倒すとボスが登場し、それを撃破すればエリアクリア。ステージ数は4つ(特殊なルートで5つ)、各ステージはいくつかのエリアに分けられています。操作可能なキャラクターは4人で、ローカルで4台の筐体を使用し4人までの協力プレイが可能。
『スパイクアウト』を知らないのにここでピンと来た方は非常にいい勘をしています。そう、『スパイクアウト』は4台の筐体をそれぞれ光ケーブルで連結し、(ローカルとはいえ)ほぼ完璧な同期を取り、しかもかなりの割合で60fpsを維持していたのです。2013年現在ですら、通信上の問題で狙ったところに飛ばない弾丸や、定期的にワープするオブジェクトが発生するにもかかわらず、『スパイクアウト』ではほとんどそんな現象にはお目にかかれません。
また、今でこそネットワークでの4人マルチプレイなんてあって当然の仕様ですが、『スパイクアウト』が世に出たのは15年前。時代はテレホーダイ、ISDNの真っ只中です。その有様はまさしく奇跡でした。よく「セガはいつも早すぎる」と親しみを込めた揶揄を投げかけられますが、『スパイクアウト』以上に早かったタイトルもそうありません。
ちなみに、世界観としてはアメリカのギャングたちが縄張り争いをするというもので、基本的には肉体言語。一応ドスや鉄パイプ、火炎放射器あたりは武器として登場しますが、ゲンコツとケリの方が強力です。
■ ゲームシステム − 基本は簡単 |
操作体系についてざっと説明しましょう。まずレバーは移動用。ボタンはそれぞれシフト(S)・ビート(B)・チャージ(C)・ジャンプ(J)の4つ。シフトは向きを固定するのに使われるほか、いわゆるロックオンとしても機能します。ビートは読んで字のごとく打撃攻撃を繰り出すボタンで、6回くらいまで連打することによって連続攻撃が出せます。チャージは押している長さに応じて出る技が変わり、連続技・浮かせ技・ピヨり技・吹き飛ばし技の4段階に変化します。特に最大タメ(通称「C4」)は、その重厚さ・ヒット感・SE諸々から生まれる爽快感と、取り回しにかかるテクニカルさとあわせて『スパイクアウト』の象徴の一つです。ほかには、敵に接近してレバーを入れることで移行する掴み、そこから派生する投げ技もあります。
さらに、B・C・Jを組み合わせていろいろな技が出ます。例えば、B+Cならば足払い。B+Jならば飛び込み攻撃といった具合。B+C+Jで回数制限有りの緊急回避攻撃「スペシャル」も重要です。ほかには、レバー一回転+Bで出せる「ソーリー」と「サンキュー」があり、ゲーム内での極限まで削ぎ落とされた意思疎通も可能(ちなみにモーションに攻撃判定有り)。
他にも操作は細かく色々とありますが、ともかくあとは敵を倒すだけです。
■ゲームの難しさ − そうそう辿りつけない奥底 |
『FE』の魅力を語る上で絶対に避けて通れないのがその難度です。世の中難しいゲームはいくらでもあります。しかし、『FE』の難しさは入力のシビアさ(たとえば数フレームの入力猶予、ドット単位での当たり判定など)にはあまりなく、難解さにあります。複雑なゲームといえば得てして対戦系の作品が挙がりますが、面クリア型アクションで『FE』ほど奥深いタイトルはそうそうありません。
『FE』人口を定量的に測定したデータが存在するとは思えません。ただ、ちょっとしたコミュニティが存在するといった程度です。しかし、その中で上級者と分類されるであろう層ですら、全面クリアを安定させることができる人はごく少数でしょう。対人戦を前提としたタイトルでならばこうした敷居の高さも不自然ではありませんが、『スパイクアウト』は面クリア型。AM11研からの果たし状です。
それでも「クリアさせる気がない」のではありません。誰でも、全身全霊を傾けて全力で、全ての知識をもってしてプレイすればクリアできなくもない、という空前絶後のゲームバランスなのです。2面で殺しにかかってくるけれど慣れたら片目を瞑って片手でプレイしてもラスボスを倒せるベルトスクロールアクションゲームや、濃密すぎる弾幕で凡人を断罪するシューティングゲームとは一線を画します。
何が難しいのか?について満遍なく説明を始めるとそれだけで膨大な学問が始まってしまうので、いくつか例を挙げましょう。
敵が目の前に3体いるとします。雑魚です。チンピラです。よくある3Dアクションゲームなら、速攻で始末するなり当たり判定の広い通常攻撃でなぎ倒すなり、さくっと終わらせるシチュエーションでしょう。しかし『FE』では基本的にそうした立ち回りは許されません。調子に乗ってB連打で突っ込もうものなら、あっという間に袋叩きにあってゲームオーバーです。きちんと一人ずつ丁寧に無力化するなり(C3やB+Cの足払いが有効)、一斉に攻撃されない状況から各個撃破するなりしなければなりません。
また、敵と自キャラ、リンクプレイでは味方の位置を把握した立ち回りが極めて重要です。どういった状態が危険か?あるいは逆に安全か?今攻撃すべきか否か?近づくべきか?といった具合に、考慮すべき数多くの要素があります。上手なプレイヤーがサクサクと敵を処理していくのは、こうした概念的な部分を掌握しているからで、慣れないうちはやはりタコ殴りにされることでしょう。
さらに、ステージボスも半端ではありません。迂闊に殴りかかろうものなら必殺技が飛んできてライフを半分持っていかれることすらザラ。全ての攻撃パターンとモーションを見切り、隙を突く形で大技やコンボを叩きこまなければなりません。
極めつけが、『FE』のアーケードシーンにおける特殊性です。現状日本で稼働している『FE』のほとんどは"HARD"または"HARDEST"設定です。これには、"NORMAL"以下が"HARD"以上に比べると簡単すぎ、容易に1クレジットで1時間以上遊ばれてしまうからといういささか後ろ向きな理由があります。しかし、『FE』の面白さは"HARDEST"でこそ発揮されるとしても過言ではありません。一体制作陣がどういった意図で調整したのかは闇の中ですが、"HARDEST"こそ絶妙かつ至高の難度です。
■ リンクプレイの楽しさ − 尻込みする理由なんてない |
それでは単に難しいだけのアクションゲームではないか、となってしまいそうですがそんなことはありません。快適この上ない環境の協力プレイが、敷居を下げ、間口を広げてくれます。リンクプレイを始めるのは実に簡単で、ただ他のプレイされている進行中のゲームに乱入するだけ。いつからでも、どこからでも入ることができます。
『FE』はその難度の高さと難解さ故に、逆に1人でも熟練プレイヤーがいるとぐぐっと簡単になるという特性を持っています。ですから、ソロでは到底到達できない全面クリアの頂にも、協力者がいれば届くかもしれません。単独では微々たるダメージしか与えられない投げ技も、上手く合わせてくれる他プレイヤーがいればダメージは倍加どころか十割コンボにまで到達することさえあります。
乱入して迷惑かけるかもしれない、と尻込みしてしまう方もいらっしゃるでしょう。しかし恐れるには値しません。「初心者が入ってきたからクリアできなくなった」だなんて文句をつける人の方が少数派です。なぜなら、皆誰もが初心者だった時期があり、それを乗り越えるプロセスをおおよその場合他の熟練者に依存していたからです。だから、初心者を引っ張ってあげよう!と意気込みむことはあれど、毛嫌いすることはまずありえません。むしろ、自らがピンチに陥ってなお初心者にライフやスペシャルアイテムを譲ることに快感を覚えるマゾヒストの方が多いくらいです。
ただ、ごく稀な例外の乱入されたくないケースとして、スコアアタックに挑戦しているときがあります。これは同じ敵を制限時間ギリギリまで延々殴り続けている人には乱入しないだけで回避できます。ただ、それも乱入待ちでヒマだからという理由だけでコンボに走っていることがあるので一概には言えません。
直後に"リンダ"でのスコアアタックを開始。本物です。
逆にいえば、それ以外なら誰に、いつ入ってもOKです。ゲーム内での意図的な迷惑行為はむしろ実行するほうが難しく、一見すると嫌がらせのようなプレイングすらも、ある一定以上の力量のプレイヤーからすれば「受けきれなかった方が悪い」になるので心配ありません。勢いよく味方を吹き飛ばしてしまったときはレバー反時計回りに一回転+Bで「ソーリー」しておくくらいで充分です。こと初心者に関していえば、個人的にはそれすら不要だと考えますが。
それでも迷惑をかけないか気になって仕方がない心配症の方は、一声かけてみましょう。「初心者ですが、入っていいですか?」。素っ気ない「いいよ」等の返事が返ってくるか、満面の笑みを返されるかは判りませんが、いずれにせよ配慮してくれることでしょう。もっとも、何も言わずに入ったところで、初心者はプレイ開始から1分でそれと分かりますから、相応の対応をしてくれるはずです。相手も初心者だった場合は楽しくゲームオーバーになりましょう。
■ 他のプレイヤーとゲームで交流する − 真のソーシャル |
こうしたリンクプレイの素晴らしさは、単純に先の面まで進めることではありません。深奥は、先達から学べる点にあります。漠然と後ろで見学していたところでは認識できない攻略、戦術、立ち回り、おもしろテクニックなどなど。難しすぎるゲームに一緒に挑戦するからこそ理解できるものがあるのです。頂点を極めたプレイヤーは、そうしたテクニックの伝達を含めた初心者救済の技術も心得ているので、もし出会うことができたら極端に下降する難度と、危険を回避させてくれるケアに感動することができるかもしれません。
これら一連の流れを何と表現するべきか?答えは、「ソーシャル」です。ソーシャルゲームなる呼称が一般化し、判で押したようなシステムと、希薄な人間関係を以ってしてソーシャルと呼ぶ風潮があります。個人的には、大人気ソーシャルゲーム『パズル&ドラゴンズ』は長時間プレイしていますし、いくら課金に突っ込んだのか口にするのもはばかられますが、それはともかく「ソーシャル」とは何なのでしょうか?
一方、『FE』の"Social"はまさしく"社会的"、"社交的"、"人付き合い"であり、システムが強制するのではなくゲーム自体がそれを誘導する、文字通りの意味での、そして本物のソーシャルだったのです。人と人の交流と連携なくしては楽しめないゲーム。やはりセガは早すぎました。(ちなみにソロはソロで言うまでもなく面白いです)
2人以上で遊べるゲームはコンシューマ・アーケード問わず多々あります。昔、アメリカの某所でセガ『The House of The Dead』をプレイしていたら、いきなり2P側に入られたことがありました。決して上手い人ではなく、むしろ初心者でした。しかし、驚きはしたものの嫌な気持ちは全くしませんでした。結局サポートしきれず彼は途中でゲームオーバーになり去って行きましたが、あれは"Social"だったのではないでしょうか。日本人はあまりそういうことをしませんし、嫌う傾向があります(ガンシューでなら『タイムクライシス』シリーズなどで乱入はありますが)。今後、乱入におおらかな協力プレイができる作品がもっと沢山出ると、はなはだ私的な嗜好ではありますが嬉しいと思います。
■ はじめの一歩 − ワンツーパンチ(と投げ)でイナフだ |
さて、『FE』が真のソーシャルゲームだとお分かりいただけたところで、じゃあ何をすればいいの?有料ガチャはないんだよね?な方へは、まずキャラクター「スパイク」を使って、「B・B」を覚えてください。Bボタンを2回、素早く押すだけです。いわゆるワンツーパンチ。このあとレバーを入れて掴んで投げる。これさえ覚えておけば充分です。
あとは他のプレイヤーを見て覚えましょう。どうしても分からないことがあれば、ステージの合間にでも直接「今のどうやったんですか?」とでも聞けば、きっと応じてくれます。やはりソーシャルです。
■ ハードウェアの難しさ − いつまでゲーセンにあるのだろう |
そんな稀代の名作『FE』も、今は徐々に生息範囲が狭まりつつあります。理由としては、上級者が固まってプレイしてしまうと1時間以上は1クレジットで遊べてしまうインカムの悪さもありますが、何よりハードウェア面での取扱の困難さがあります。また、難度の高さと相まって稼働率が低くなっている店舗も多いようで、しばしば切ない画面焼けを見かけます。
当時のセガは(つまりNAOMI登場前)、ゲーム単位で半ばワンオフのような設計のアーケードタイトルを出す傾向にあり、『スパイクアウト』もその1つでした。故にメンテナンス性が悪く、リンクプレイにかかる回線トラブルなども頻発していました。さらに、現状出回っている基板も状態が良い物は決して多くなく、「電気系の知識がない方はお断り」な出品が散見されます。
アーケード作品はどんな名作でも復刻版が出ることはまずなく、静かに消え去っていくかつての名作は数多くありますが、このままでは『FE』もその仲間入りを果たしてしまう公算が大きいです。いずれ失われるであろうこの名作の存在と魅力を、この記事を契機に知るゲーマーが一人でも増えることを切に願います。
■ 家庭用版『バトルストリート』 − 佳作を超えたクオリティ |
『スパイクアウト』は初代Xbox移植版『SPIKEOUT BATTLE STREET』が2005年にリリースされています。ゲームバランスは『DBO』に近く、『FE』に比べて大味です。しかしこれはXbox Liveでの通信協力プレイを前提とした調整と思われます。『FE』のようなタイトなゲームで、いくらかでもワープしたり光速の攻撃を放ったりしてくる敵を相手にすることはできるはずもありませんので、これは英断だったと考えられます。
しかしご存知の通り、初代Xbox Liveのサービスはすでに停止しており、今では特殊な手段を用いない限りネットワークプレイはできません。これは非常に残念な部分です。また、Xbox 360での動作にも対応していません。さらにお値段もいささかプレミア気味です。
それでもなお、『BS』には『BS』の良さがあります。シングルで気兼ねなく遊べることは言うに及ばず、プレイアブルキャラは『FE』の4人に対し『BS』は12人+ボスキャラ全員。12人は『FE』キャラのコンパチではなく、それぞれ個性付けされており、『FE』に慣れたプレイヤーの感覚ではあり得ないようなコンボもできます。『BS』は『スパイクアウト』シリーズとして確たる魅力のある作品であることに違いはありません。
今から初代Xboxと、PS2用アーケードスティックと、Xbox-PS2コントローラ変換アダプタと、『BS』ソフトを購入してプレイする価値があるか?と問われたら、私は即答で「YES」です。ちなみに、Metacriticでのスコアは54。……まあ、感性の違いというやつでしょう。
ちょっとした小話。昔ある日私がオンラインでプレイしていたところ、ランダムマッチでとあるプレイヤーと協力プレイすることになりました。数分後、彼が昔ゲームセンターで一緒に遊んでいた人物だと判りました。ゲーマータグからではありません。ボイスチャットがあったわけでもありません。キャラクターの動きからです。
■ 個人的な思い入れ − 人生結構狂いました |
私は『FE』に人生を狂わされました。これは比喩でなく、客観的に見て、本当に悪い意味で狂いました。プレイタイムは見学も含めると軽く4桁時間に及びます。しかし、それを踏まえてなお、これほどのゲームに人生の一部を捧げたこと、ゲームの面白さについて真剣に向き合う機会を得られたこと、ゲームを通じて深く知り合えた、そして尊敬できた仲間がいたこと、いずれも今振り返れば掛け替えの無い資産です。
思い返せば、兵庫のとあるゲームセンターで私が『THE TYPING OF THE DEAD』をプレイしている後ろでガヤガヤと楽しげに遊んでいる集団を見て、何となく羨ましく思いコインいっこいれてみたところ、声をかけられ、色々と懇切丁寧に、それでいて恩着せがましくなく、上から目線でもなく教えてくれた方がいました。あれこそが、私にとっての、「ゲームの始まり」であり、「ソーシャルの始まり」でした。
あのゲーム体験があったからこそ、今の私は「面白いゲームとは何か」「楽しさとは何か」の確固たる軸を獲得することができたのです。皆が皆そうであるべきだと全く思いません。ただ孤独にプレイするだけならばただ異常に難しいゲームとしてすぐに忘れ去られてしまうでしょう。しかし、もしあなたが、『FE』を「ソーシャル」に遊ぶことが今からでもできるならば、私の価値観の片鱗を共有していただくことが可能かもしれません。
ふらりと立ち寄ったゲームセンターで、『FE』を見かけることができたなら。そして、それを1人か2人かでひっそりと遊んでいるゲーマーがいたのなら。あなたもその世界を今からでも覗いてみませんか?楽しめると保証はできませんが、「このゲームに100点をつける人間がいるんだ」という参考事例にはなるはずです。
(撮影協力: 株式会社アスモ様 アミューズメントファクトリーアクス)
※本記事を執筆するにあたり、スクリーンショットなど素材提供をセガに要請しましたが、いかんせん題材が古すぎたため不可能とのことでした。紹介するにあたり当方で撮影した画像および動画のすべてが直撮りで、非常に画質が悪く見苦しいことをお詫び申し上げます。有志によりアップロードされている動画(『BS』のもの)も使用しております。
また、撮影にあたり記者と協力者がプレイしましたが、ブランクが長く拙いプレイになっている箇所が多々あります。ご容赦下さい。
(Thanks: sikamako)
※初出で「開発はAM3研」と記述しておりましたが、「AM11」の誤りでした。コメントでのご指摘ありがとうございます。