【解説】 インドネシア津波の原因、火山学者が写真で説明

Indonesian residents gathering their possessions near Anyer Beach

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画像説明, 22日に発生した津波による死者数は増え続けている

インドネシア西部のスンダ海峡で22日に発生した津波について、火山島アナククラカタウで岩が崩壊したために海底で岩盤滑りが発生し、これが数百人の犠牲を出した津波を引き起こした可能性が高い。

アナククラカタウは今、非常に激しい新たな時期に入っていると書くのは、米カリフォルニアを拠点に活動する火山学者ジェス・フィーニックス氏だ。壮大な景色を収めた一連の画像を説明しながら、時系列に沿って噴火を分析した。

An illustration of Krakatau before the eruption in 1883

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上のイラストに描かれているのは、1883年の悪名高い噴火以前のクラカタウ(またはクラカトア)火山の様子だ。

「アナククラカタウ」という名前は、「クラカタウの子」という意味だ。現在のアナククラカタウとなる前の姿は、科学者に全体的な視点を提供してくれる。

クラカタウ火山は、見たところ損傷がなく巨大で、円すい型をした典型的な成層火山(つまり火山噴出物が何層にも重なり出来上がったもの)だった。

漁船が描かれているということは、山頂から小さな噴煙らしきものが上がっているものの、この火山に危険性はなかったということだ。

噴火していない火山から水蒸気の煙が出るのは普通で、火山の中で熱せられた水分が表面に上がってきているものだ。

Anak Krakatau volcano. Photo: July 2018

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2018年7月に撮られたこの画像は、アナククラカタウの小規模噴火をとらえたもので、火山爆発指数で0か1に分類されると思われる。

この指数は火山噴出物の量を測定するもので、0や1はハワイでの典型的な噴火を、8は63万年前にイエローストーンで起きたような凄まじい噴火をそれぞれ表し、規模が大きいほど大きな数字となる。

こうした種類の噴火は、大きなものにならないまま数年にわたりほぼ毎日起こる可能性もある。

しかし、火山の構造に多くのマグマが流入した場合、噴火はもっと大きな規模となる。

Anak Krakatau volcano. Photo: July 2018

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同じく2018年7月に撮られたこの写真では、光り輝く物質がアナククラカタウの山頂火口から噴き出しているのが見える。

明るく光を発しており、この物質がまだ非常に熱いことを示している。時間とともに冷えると黒い色に変化する。

この物質は冷えつつあるマグマで、噴石や火山礫(れき)として知られる溶岩の破片、そして火山弾と呼ばれるもっと大きな物体になる可能性がある。

こうした物質は全て。人間には危険な存在だ。火山弾は火山の山頂火道から飛び出して地面に落ちるまでに数百メートルも飛ぶ可能性がある。

Anak Krakatau volcano. Photo: August 2018

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2018年8月に撮影されたこの航空写真には、アナククラカタウは火山噴出物にほぼ覆われた小さな島として写っている。

周囲の3つの島は、もともとのクラカタウ火山があった大体の境界線で、アナククラカタウはそのざっくりした円の中央に位置している。

1883年の噴火でクラカタウ火山の主な構造は大きく崩れた。1930年にアナククラカタウが海面に姿を現し、それ以来大きくなり続けている。

この画像からは、噴火で弱い噴煙が上がっている様子と、島の上に比較的新しい物質がある様子が見て取れる。

Anak Krakatau volcano. Photo: September 2018

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対照的に、2018年9月に撮られたこの航空写真からは、前の画像とは非常に異なる様子がうかがえる。

境界線を描く3つの島の1つが見えなくなるほどの、分厚く茶色い噴煙柱が立ち上っている。そして空気が対流している様子が、この写真では煙の幅の変化として映っている。

噴煙柱は、航空機の運航や人体に脅威となる。岩石片でできており、エンジンや人間が吸い込んだ場合に損傷を与えかねないためだ。

こうした岩片はまた、その重みで建物を崩壊させる可能性もある。

Anak Krakatau volcano. Photo: 23 December 2018

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今年12月23日に撮影された息をのむようなこの写真から、現在のアナククラカタウと、わずか数カ月前に撮られたアナククラカタウとの劇的な変化が見て取れる。

激しい噴火により、火山の円すい部分は隠れてしまった。そして超高熱になったマグマ、ガス、水分が混ざり合って爆発し、水分がすさまじい勢いで蒸気になっている。

アナククラカタウは海に囲まれているため、熱を帯びた火山物質と水分がより激しく作用し合う。そして多くの蒸気を発生させ、見た目が激しい噴火となる。

Anak Krakatau volcano. Photo: 23 December 2018

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火山は自ら雷を作り出すこともある。同じく今年12月23日に撮影されたアナククラカタウのこの画像にも、その様子が映っている。

岩片、火山灰、水分が空中でぶつかり合って静電気を発生させる場合があるためだ。

この写真では、火山そのものは噴煙柱で見えなくなっている。

稲妻は、嵐雲で作られたのではなく、噴煙柱から発生している。電荷分離と呼ばれる過程により、噴煙柱そのものが静電気を放出するためだ。

Short presentational grey line

当然ながら、火山は真空の中で噴火するわけではない。噴火の衝撃は火山のある地元で感じられるものであり、さらには周辺地域や地球全体で感じられることもある。

アナククラカタウの噴火活動は、津波という形で滅多にない悲劇をもたらし、新たな段階に入った。

現在利用できるデータから判断すると、ジャワ島西端を襲った今回の津波は、アナククラカタウの一部が崩壊したことで海底での岩盤すべりを引き起こし、発生したもののようだ。

この岩盤のずれが、死者を多く出した今回の津波の原因となった可能性が高い。その影響の一部は、上記の写真の中にも見て取れる。

インドネシアにおいて、火山災害は目新しいものではない。今回のアナククラカタウの噴火による影響は、火山災害とその後の余波から人や不動産を安全に保つためにさらなる研究と教育、そして防災対策が必要だということを思い出させてくれる。

ジェス・フィーニックスは米国の火山学者。非営利の環境研究団体ブループリント・アースの共同創設者であり、英王立地理学会の会員でもある。