スウェーデンのNATO加盟、トルコ議会が承認 残るはハンガリーだけ
トルコ議会は23日、スウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟を認める法案を287対55の賛成多数で可決した。
スウェーデンは2022年5月、ロシアのウクライナ全面侵攻を受けてNATO加盟を申請。しかしトルコは、同国がテロ組織に指定するクルド人武装勢力をスウェーデンが受け入れているとして、加盟に難色を示していた。レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が支持に同意したのは昨年7月だった。
エルドアン大統領は、数日内にこの法案に署名する見通し。
これにより、スウェーデンの加盟を批准(ひじゅん)していないNATO加盟国はハンガリーだけとなった。
スウェーデンと共にNATO加盟申請を行った隣国フィンランドは、昨年4月に正式加盟を果たしている。
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トルコはスウェーデンに対し、クルド人武装組織「クルド労働者党」(PKK)に対する対策の強化を求めていた。PKKは欧州連合(EU)やアメリカでテロ組織に指定されている。
トルコはNATO加盟国として、新規加盟に関して拒否権をもっている。
スウェーデンは昨年6月にテロ対策法を強化。テロ組織への資金や物資の援助を犯罪とした。
スウェーデンのウルフ・クリステション首相はソーシャルメディアに、「我々はきょう、NATOの正式メンバーに一歩近づいた」と投稿した。
NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長もトルコ議会の投票を歓迎した。
ハンガリーは協議行うと発表
ハンガリーは、スウェーデンの敵対的態度を批判している。ハンガリー政府の報道官は昨年3月、スウェーデンの政府高官が「崩れかけた道徳的優位の王座」に座っていると非難した。スウェーデンは以前、ハンガリーがEUの民主主義の原則に背を向けていると非難したことがある。
だが、事態進展の兆しもある。ハンガリーのオルバン・ヴィクトル首相は23日、クリステション首相をブダペストに招き、NATO加盟に関する協議を行うと発表。書簡の中で、「より集中的な対話が、信頼関係の強化に貢献するだろう」と述べた。
一方、スウェーデンのトビアス・ビルストロム外相は、ハンガリーと交渉する「理由は今のところない」としながらも、両国は「対話を持ち、疑問について議論を続けることができる」と付け加えた。
NATOのストルテンベルグ事務総長は、ハンガリーに「できる限り早く、国内の批准プロセスを完了してほしい」と呼びかけた。