国宝・唐招提寺金堂の柱に爪で文字 カナダ人少年、奈良県警が聴取
奈良市五条町の唐招提寺金堂(国宝)の木製の柱に、爪で傷をつけてアルファベットの文字を書いた10代のカナダ人少年が、文化財保護法違反の疑いで、警察に任意で事情を聞かれた。
警察によると、カナダ人の少年(17)は7日、唐招提寺金堂の柱に「Julian」という文字を爪で彫った。
この様子を目撃した日本人観光客が、寺の関係者に知らせたという。
唐招提寺金堂は8世紀後半に創建され、国宝に指定されている。
同寺は1998年、8つの資産で構成される「古都奈良の文化財」の一つとしてユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産に登録された。ユネスコは、「政治的・文化的に大きな変化があった、8世紀の日本の首都の生活を鮮明に描き出している」と評価している。
米CNNが警察の話として伝えたところでは、少年は自身の行為について、日本文化を傷つける意図はなかったと話しているという。少年は現在、柱を傷つけた時に一緒にいた両親と共にいるという。
唐招提寺の僧侶は、「悪意がないとはいえ、残念で悲しい」と日本メディアに語った。
かつて日本の都だった奈良市は、京都市の南約45キロに位置し、現在も人気の観光地となっている。
日本の法律では、「重要文化財」を傷つけた者は、5年以下の懲役もしくは禁錮または30万円以下の罰金が科せられる可能性がある。
歴史的に重要な建造物を傷つける行為は、ほかの国でも起きている。イタリア・ローマでは先月、イギリス在住の男性が世界遺産コロッセオの壁にメッセージを彫り、その場面の動画が拡散した。
イヴァン・ディミトロフという名のこの男性は、約2000年の歴史があるコロッセオに、石を使って「Ivan+Haley 23」と彫った。現在、法的手続きに直面している。ディミトロフ氏は落書きをした当時はコロッセオがどれほど古いものなのか知らなかったとし、謝罪した。