ジュリアーニ氏、ニューヨーク州の弁護士資格停止 米大統領選めぐる「虚偽発言」で

Former New York City Mayor Rudy Giuliani, then-personal attorney to U.S. President Donald Trump, speaks in Philadelphia

画像提供, Reuters

画像説明, ジュリアーニ氏は1969年にニューヨーク州弁護士となった

米ニューヨーク州控訴裁判所は24日、ドナルド・トランプ前大統領の顧問弁護士を務めたルディー・ジュリアーニ元ニューヨーク市長(77)の弁護士免許を停止した。2020年の米大統領選で「明確に虚偽で誤解を招く」主張を繰り返したためとしている。

同裁判所はジュリアーニ氏が、大統領選は不正選挙だったと世間に向けて発言すると共に、不正選挙があったとする裁判書類を提出するなどしたと認定。ジュリアーニ氏を「公益に対する差し迫った脅威」とみなした。

この判断は一時的なもので、最終判断は別途、本格的な懲戒審問を経て行われる。

控訴裁の判事5人は、ジュリアーニ氏がアリゾナ、ジョージア、ペンシルヴェニア各州の投開票について、数十万票もの不在者票などの開票が不正だったなど、複数の虚偽発言を繰り返したと認定した。ジュリアーニ氏は一連の発言に対する調査は、自分の表現の自由を侵害するものだと反論していたが、控訴裁はこれを認めなかった。また今回の判断は弁護士資格の一時停止だが、資格剥奪の可能性もあると示唆した。

ジュリアーニ氏の弁護団は判決について、ジュリアーニ氏が「公益への脅威」ではないと反論。「審問で問題を全面的に点検すれば、ジュリアーニ氏は長年さまざまな形で奉仕してき法曹界の大切な一員として復帰できるものと信じている」とコメントした。

控訴裁による今回の判断から間もなく、トランプ前大統領はジュリアーニ氏を「偉大な愛国者」と呼び、昨年の大統領選で勝ったのは自分だという主張を新しい証拠を提示することなく繰り返した。

「アメリカの市長」

ジュリアーニ氏は1969年にニューヨーク州弁護士となり、1980年代にはロナルド・レーガン政権下でニューヨーク南部地区連邦検事に就任。1994年にはニューヨーク市長となり、2001年9月11日の米同時多発攻撃の際には現場対応の陣頭指揮に立つ姿が広くたたえられ、「アメリカの市長」とまで呼ばれるようになった。

トランプ前大統領の顧問弁護士としては、大統領選が不正だったという主張を展開したほか、選挙前にはトランプ氏の代理としてウクライナなどを足しげく訪れ、ジョー・バイデン現大統領やその息子に不利になる情報を集めようとしたとされる。

今年4月末には、連邦捜査局(FBI)がウクライナとの関係をめぐり、ジュリアーニ氏の自宅と事務所を家宅捜索している。

トランプ氏は2019年7月、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に対し、バイデン親子について捜査するよう働きかけていたことが、当時のホワイトハウスが公表した電話記録から明らかになり、下院の民主党はトランプ氏を弾劾訴追した。