【インタビュー】admires、「高校時代の僕がガッカリする曲は書きたくない」
仙台発のロックバンドadmiresが、2nd EP『夏においてきたすべて』をリリースした。
admiresは佐藤進乃助(G, Vo)、室谷碧来(Dr)、あらた。(B)による3人組バンド。メンバーが高校生の時に結成され、2024年<マイナビ閃光ライオット2024 produced by SCHOOL OF LOCK!>でグランプリを獲得した新進気鋭のバンドで、今作が初の全国流通盤となる。
彼らが鳴らすのは、今時珍しい骨太のロック。ロックバンドへの純粋な憧れを体現したサウンド、日々もがきながら曲を書く佐藤の本心が託された歌には、今しかない輝きが詰まっている。若い世代は彼らの登場に勇気づけられるだろうし、大人には眩しく見えてたまらない存在だ。BARKS初のインタビューでは、EPやバンドについて佐藤進乃助に聞いた。
──まず、佐藤さんが音楽やバンドにハマったきっかけを教えてください。
佐藤進乃助:お母さんがジャズシンガーなので、小さい頃から音楽はうっすら好きだったし、歌も歌っていたと思います。バンドに憧れを持つようになったのは、中学2年生の時にマカロニえんぴつの「ヤングアダルト」を聴いたことがきっかけです。当時の僕はどうしようもなく絶望していたんですよ。「何者かになりたい」とずっと思っていたけど、勉強も運動も飛び抜けてできるわけじゃない。自分が普通の人間すぎて、生きるのが楽しくないと思っていました。だけど「ヤングアダルト」を聴いたら心が少し楽になって、そこからマカロニえんぴつの曲を全部聴いた。当時は全曲好きなバンドってまだいなかったけど、マカロニえんぴつは「どの曲も好きだな」と思って、全曲をシャッフル再生にしてずっと聴いていました。マカロニえんぴつをきっかけに「バンドっていいな」と思って、自分で作った曲をギターを弾きながら歌うことに憧れを持ちましたね。
──それで自分でもやってみることにしたと。
佐藤進乃助:はい。「高校に行ったらバンドやりたいな」と思いながら、中学2年生からギターを、中学3年生から作曲を始めました。
──初めて書いた曲はどんな曲でしたか?
佐藤進乃助:去年出した『初期衝動』というEPに入っている「残響」という曲です。
──〈また明日また明日と夢が遠くなる〉という歌詞と〈明日は明日だけは頑張れる気がする〉という歌詞の対比に、夢を追い始めた佐藤さんの心境が表れている感じがしますね。
佐藤進乃助:確かここの歌詞は最後に出てきたものです。友達に曲を聴かせて「これは売れる気がする」と言ってもらった時に出てきた歌詞だったと思います。
──佐藤さんは、自分の内面を掘り下げながら曲を書いていますよね。それもやはり、マカロニえんぴつから影響を受けて?
佐藤進乃助:そうですね。マカロニえんぴつってダサい自分を肯定してくれるんですよ。(ボーカル&ギターの)はっとりさんが書く嘘臭くない歌詞に憧れつつ、影響を受けましたね。つらいことがあった時、普通だったら「つらかった」で終わるけど、僕の場合は「上手くいかないことがあっても、曲にできる」「この経験も悪くないんじゃないか」と思える。曲を書き始めてから、そういう変化がありました。
──そして高校に入ってから、admiresを結成したと。
佐藤進乃助:高校2年生の冬に組みました。高校1年生の時は別のバンドを組んでいて。そのバンドで文化祭でライブをしたんですけど、その時から「音楽家になりたいな」と思っていました。ただ進学校だったので、ミュージシャンを目指す人が周りにいなかったんですよ。当時のバンドのメンバーも「受験があるから」とやめてしまいました。肩身の狭い思いをしながら、だけど僕は音楽をずっと続けていたんです。
──「音楽家になりたい」という思いはそれほど強かったんですね。
佐藤進乃助:なので、軽音楽部のある隣の高校に侵入してメンバーを探しに行きました。その高校のジャージを着て、「いいドラマーいないかな」「これがダメだったら受験で国公立を目指そう」と思いながら。その学校ではいいドラマーは見つからなかったんですけど、部員の人から「このあとライブあるから来てよ」と誘われて。渋々ついていったら、対バンで出演していた室谷碧来くんに出会ったんです。碧来くんは当時からドラムがめちゃくちゃ上手かった。そこで僕は「この人と一緒だったら売れるかもしれない」と思って、「よかったら一緒にバンドやらない?」と誘いました。でも碧来くんは1個上で、専門学校に進学するために上京することが決まっていて…。ということは、つまり僕が「国公立を目指すために勉強する」という選択をすれば一緒にバンドができなくなるということ。どうすればいいか、けっこう葛藤したんですよね。
──受験勉強に専念する道を選んだら、進学校で肩身の狭い思いをせずに済むし、将来安定した道に進めるかもしれない。だけどここで室谷さんを逃してはいけない、やっぱりバンドがやりたいという気持ちが勝ったから、admiresが生まれたんですよね。
佐藤進乃助:そうですね。正直、前のバンドの時は思った通りに活動できていなかったんですよ。ベーシストは勉強が忙しかったら、ベースのフレーズは僕が考えて、ライブの時は「頼むからこれだけは弾いてくれ」とお願いして弾いてもらっていたし。他のメンバーもまだ高校生ということで演奏力は高くなかったから、表現しきれない部分が多くあって。「僕の書いた曲をいつかちゃんとした形で表現できたら…そしたら絶対に売れる」とずっと思っていたんです。そんななかで碧来くんに出会って、自分の書いた曲たちを形にできるタイミングがようやくやってきた気がしました。周りには大学進学後もバンドを続けている先輩や「プロになりたい」と言っている人もいますけど、「バンドやりたいけどメンバーが見つからない」とか「就職でみんなやめちゃう、どうしよう」という話もけっこう聞いていたんです。普通の大学に行ってからメンバーを探すにしても、ここまで「ピッタリきた!」と思える人に巡り合える可能性ってかなり低いですよね。一緒にやっていこうというメンバーを見つけられず、バンドを組めずに就職することになったとして、僕はそれでいいのか?と自分に問いかけた時、「いや、ダメだ。後悔が残る気がする」と思ったんです。「なんとしても音楽で食っていきたい」「そのためには、どこかで大きな決断をしなきゃいけないんだろうな」とずっと思っていたんですけど、それって今なんじゃないかなと。
──なるほど。
佐藤進乃助:そこでadmiresを組む、そして売れると決心しました。「碧来くんとバンドを組む」=「進学校の生徒として期待されているルートから外れる」ということだったので、担任の先生に「すみません、バンドやります」と言ったらめっちゃビックリされました。僕、すごく臆病なんです。文化祭のステージで歌った時も、カッコ悪かったら「お前、勉強せずにあんなことやってんの?」と先生や友達から言われるんじゃないかと思って、正直かなり怖かった。だからadmiresを組む時も「もしかしたらこの決断は間違いかもしれない」と思いましたけど…でも、結果がついてくれば正解に変わるので、だから結成から1年後、高校を卒業するタイミングでみんなが進路を決めるのと同じように、僕も「この決断をしてよかった」と思えるところまでこのバンドで進んでいこうと決めました。
──「こんなバンドがやりたい」というイメージはありましたか?
佐藤進乃助:昔のロックをやりたいと思っていました。マカロニえんぴつ、くるりのような、自分たちよりも上の世代のロックバンドに憧れていたので。メンバーとは具体的に話したりしていないんですけど、初めてスタジオで合わせた時からもう完成形でしたね。ドラムのアレンジも碧来くんに全部任せていたんですけど、何も言うことがありませんでした。
──2024年夏には<マイナビ閃光ライオット2024 produced by SCHOOL OF LOCK!>でグランプリを受賞。地元の仙台で開催した初のワンマンライブでは100人以上を集めるなど、評価される機会も徐々に増えていったかと思います。
佐藤進乃助:自分がずっと信じていたものがちょっとずつ認められようになって、嬉しかったですね。同時に今は、「この音楽をずっと続けていて、本当に成功するんだろうか?」という不安があります。マカロニえんぴつやくるりが出てきた時代とは、バンドの売れ方も違うし、音楽を聴く人の層も、評価される音楽もどんどん変わってきていて、僕がいいと思うものと世の中がいいと思うものが一致しなくなってきている感覚があるんです。踊れる曲が流行っている現代の日本の音楽シーンの中で、「僕らの音楽はいったいどれくらいの人に評価されるんだろう」「いいと思ってくれる人はごくわずかなんじゃないか」と思うことがあります。バンドを始めたばかりの頃は「楽しい」という感覚だけでやっていけたんですけど、最近はちょっと揺らぎ始めていて…。
──その揺らぎの中で佐藤さんからどんな曲を書くのか、 私は聴いてみたいです。
佐藤進乃助:そうですね。僕もそういう曲を書きたいです。ひとりで曲を書いてるから、いつか初期衝動が切れるタイミングが来ると思っていたんですけど、多分今がそのタイミングなんですよね。曲のきっかけを自分の引き出しからどうやって出そうかと悩みながらも、この苦しみもバンドの醍醐味なのかなと思っています。きっと僕の憧れたロックスターたちも、こうやって悩みながら曲を書いてきたんだろうなと。今感じていることをちゃんと曲にしていけるよう、頑張りたいです。
──今回のミニアルバムには、高校時代に書いた曲が多く収録されているんですよね。
佐藤進乃助:そうですね。高1からちょっとずつ書き溜めていた曲がほとんどです。当時はお金がなくて、音源として形にすることがなかなかできませんでした。ようやく世に出せるのが嬉しいです。
──高校時代に書いた曲はどれですか?
佐藤進乃助:「またうつむいて」「枯声」は高校1年生の時に書きました。「ロックンロールだ」「シンガー」は高校2年生の時に、「横断歩道」は高校3年生の夏に書いた曲ですね。
──「ロックンロールだ」の〈いつまでもここにいちゃいけない〉〈夢のままとかもう嫌だ〉という歌詞には、バンドを始めた頃の佐藤さんの心境がダイレクトに反映されていますね。
佐藤進乃助:先生にはあんまりよく思われていなかっただろうし、「お前じゃ無理だ」みたいなことを周りからけっこう言われました。でも僕が見ていたのは学校内の世界じゃない。もっと大きい世界を見ているんだということを忘れないために、当時の自分の中にあったドロドロとした感情を曲にしました。
──ドロドロとした感情を歌っているけど、重々しい曲ではありませんよね。「ロックンロールだ」というタイトルの通り、バンド愛が詰まっていて。
佐藤進乃助:ロックバンドへの愛をこめて書いた曲ですからね。高校2年生の時、リクくんと出会ってから初めて一緒に作った曲なんですよ。聴いている人にもバンドの楽しさが伝わる曲になっているんじゃないかと思います。2024年にリリースしたEP「初期衝動」の収録曲の歌詞やタイトルを回収しているのが、こだわりポイントです。あと、いろいろなバンドへのリスペクトとともにオマージュも入っています。くるりの「ロックンロール」と同じバッキングフレーズを弾いていたり、神聖かまってちゃんの「ロックンロールは鳴り止まないっ」から歌詞を持ってきていたり。〈涙を燃やせよロックンロール〉というところは、マカロニえんぴつの「鳴らせ」のオマージュです。そんな感じで、僕の好きなものをいっぱい詰め込みました。
──あと、「横断歩道」はサウンド面でバンドらしさを感じました。昔のロックを鳴らしたいと言っていましたけど、イントロからかなり雰囲気が出ていますね。
佐藤進乃助:まさにロックンロール・サウンドにしたいなと思いながら作った曲で、ミックスとかはくるりの「ロックンロール」を参考にさせてもらいました。リードギターは僕が弾いていて、そこもかなりこだわったポイントです。
──歌いつつ、ギターもかなりしっかり弾いていますよね。
佐藤進乃助:ボーカルの弾くギターソロが好きなんです。はっとりさんもかなりギターを弾く人ですけど、「一応ギターも弾けます」というギタボと「ギターが好きでしかたない」というギタボでは、使うコードの種類も違ってくるし、バンドの深さが変わると思っていて、ギターをしっかり弾くというのはバンドをやる上での譲れないこだわりですね。
──高校時代に書いた曲を今聴くと、どんなことを感じますか?
佐藤進乃助:作曲を始めて1年くらいで書いた曲もあるので、クオリティはまだまだだなと思うところもあります。だけど未完成さの中にも良さがあるし、それがバンドの色になっていった気がする。例えば「枯声」は高1の書いた曲だなって感じがするけど、歌詞の荒さがいいなと思っています。特に〈あなたの全てが 憎くて愛おしくなってしまうな〉という最後の歌詞は、今でもすごいなと思うくらい。
──そうですね。
佐藤進乃助:ボツにするかどうか悩んだ曲もあったんですけど、バンドって階段みたいに歴史を作っていくものなので。高校生活の3年間で葛藤しながら作った曲たちも、バンドの成長過程として残しておくべきだと思ってリリースすることにしました。
──先ほど「マカロニえんぴつはダサい自分を肯定してくれる」という話がありましたけど、佐藤さんが書く曲もまさにそういうもので、マカロニえんぴつからはやはり大きな影響を受けているんだなと思いました。
佐藤進乃助:そうですね。僕は高校時代に彼女ができなくて、女の子に振り回される生活をしていたんですけど、「またうつむいて」の歌詞はまさにそういう内容で。こういう「ダサい自分をキャッチーなメロにハメる」みたいな曲のルーツはマカロニえんぴつだなと思います。
──失恋から曲を書くことはけっこう多いですか?
佐藤進乃助:多い方だと思います。「シンガー」は女の子から6回フられた時に書いた曲だし。「枯声」も「この悲しみの全てを曲にしたい」と思いながら書いた曲だし。悲しいことがあっても、「こんな曲ができた」って息継ぎしている。曲ができた日の夜だけは「この曲がいつか評価されたらいいな」と思えるんですけど、すぐにまた「生きるのつらいな」っていう生活に戻る、みたいな…それの繰り返しですね。
──佐藤さんは昨年春、大学進学と同時に上京したんですよね。上京後の生活はいかがですか?
佐藤進乃助:部屋が狭すぎるし壁も薄くて、心を豊かに保つのは難しいなと思います。前は宮城のかなり田舎の方に住んでいて、隣の家まで距離があったので、夜中の3時までアンプからギターの音を出していても怒られなかったんです。だから「曲を書きたい」と思ったら3時でも書けたんですけど、今は曲を作ろうと思ったら、まず家を出なきゃいけなくて。それがちょっと不便ですね。あと、「都会の人は冷たいな」と思いました。前に新宿でライブをして、投げ銭をもらったんですよ。だけど全部持ってかれてしまって。1万円あったのに…。
──うわあ…。
佐藤進乃助:あれはしんどかったです。「これが東京か」と思いました。
──そんな苦い経験もあった上京後に書いた曲は、「夏においてきたすべて」「かけら」の2曲。まずはアルバムの表題曲「夏においてきたすべて」について聞かせてください。
佐藤進乃助:初めて人と付き合った時に書いた曲ですね。僕にとって、夏って嫌なものだったんですよ。暑いし、虫がいるし。だけど毎年秋や冬になると、夏が好きになるんです。同じように、夏になると冬が好きになるんですけど(笑)。
──(笑)。気持ちは分かります。
佐藤進乃助:秋や冬になってから夏を思い出すと、「暑かった」とかじゃなくて「この人とどこに行った」というような温かい記憶だけが残る気がして。夏の曲だけど「秋から見た夏」を書きたかったんです。そう思って、この曲はタイトルから決めました。
──〈僕ら子供のままじゃいられないね〉という歌詞が印象的でした。
佐藤進乃助:「まだ自分は子どもだ」とずっと思っていたけど、来年にはもう20歳になりますし、大人になってきている気がしていて。中学時代、マカロニえんぴつの曲を鼻歌で歌いながら通学路を歩いていたのも、もう4~5年前の話…5年ってヤバいですよね。そんなに経っちゃったんだと思うと、なんだかちょっと寂しくなります
──大人になってきている自分もいいなと思いますか?それとも本当は嫌ですか?
佐藤進乃助:嫌ですね。大人になりたくないです。音楽をやる理由もどんどん変わってきて、お金や生活のこととかもちょっとずつ考えるようになって。本当は好きなことだけやっていたんですけどね…。正直この曲も「よりキャッチーな曲にするには」ということを考えながら作ったんですよ。だけどキャッチーに寄せすぎると、元の良さがなくなってしまう気がするし。かといって、元の良さだけで勝負しても、売れるかどうか分からないし…。
──そんな葛藤もありつつ、キャッチーな曲を書くことにトライしてみたと、
佐藤進乃助:はい。曲作りをずっとしていると、いいか悪いかが自分では分からなくなる瞬間があります。だけどふとした時に聴いたら「あっ、なんかいいかも」と思えた。だからリード曲にしました。
──アルバムのラストナンバー「かけら」については、いかがでしょう?
佐藤進乃助:「シンガー」で長編のストーリーが終わって、「かけら」がエンドロールというイメージです。Aadd9のコードから始まる弾き語りの曲ですけど、「シンガー」はいろいろな楽器の音が入っている分、この対比がいいんじゃないかと思っていて。僕の声を100%活かした曲にできたんじゃないかという手応えを感じてます。
──少し寂しさを感じる曲ですよね。
佐藤進乃助:〈窓を開けて空を見てた 汚れた町消される声 誰にも届かない 夜のひとりごと〉という歌詞の通り、アコギも弾けない自分の部屋で、エレキを生音でポロポロ弾きながら独り言みたいに作った曲です。東京の街は冷たいし、19歳になっていろいろなことがちょっと変わり始めているのに、僕は悪い意味で大人になりきれていない気がする。他のバンドの人から下積み時代の話を聞くと、「24~25歳まで全然バイトしてたよ」と言われるんですよ。そう考えると、自分はまだ全然苦労をしていない方だと思うんですけど…それでも惨めな思いをしたり、このバンドの良さを見失いそうになったりする瞬間があります。「この曲って本当にいい曲なのかな?」「自分の声ってどこがいいんだろう?」と考えてしまうことが、最近はちょっと増えているんですよね。
──そうなんですね。
佐藤進乃助:<閃光ライオット>で優勝して、2024年はバンドが大きく変わる年になると思っていたんですけど、そうはなりませんでした。バンドの活動が思ったように進まず、人からなかなか評価されない時期が長く続いた時に、僕の中にあった自信は、人から評価されることで保たれていたものだったんだと実感して。
──そもそも友達から「売れると思う」と言ってもらったことで〈頑張れる気がする〉という歌詞が書けるようになった人ですからね。
佐藤進乃助:はい。だけど僕は、夜から見た光とか、絶望から見た希望を描きたいとずっと思っているので。絶望している時にしか気づけないことってきっとあると思うから、今の自分が感じていること、経験を元に、絶望を感じている人の心に寄り添える曲を書いていきたいです。
──誤魔化さず本心を言葉にできる佐藤さんだからこそ描ける希望がきっとあるはず。次の作品も楽しみにしています。今の佐藤さんにとっての光、バンド活動のモチベーションになっているものは何ですか?
佐藤進乃助:バンドを始めたての頃の気持ちですかね。admiresというバンド名は、マカロニえんぴつの「あこがれ」という曲からとったんですよ。「あこがれ」ははっとりさんがユニコーンの奥田民生さんに対する憧れを書いた曲で、この曲のリリースの数年後、はっとりさんは本当に奥田民生さんに会っています。それって本当にすごいことですよね。「あこがれ」には〈頑張ってあなたよりもすごくなろう いつか誰かのあこがれになろう〉という歌詞があるけど、僕たちも少年が憧れるバンドになりたいと思っていて。だから「The boy admires us」でadmires。高校時代の僕がガッカリする曲は書きたくないんですよね。つらいことや、自分を見失いそうになる瞬間があったら、「あこがれ」を聴いたり、バンド名の意味を噛み締めたりして、立ち止まって考えるようにしています。そうすると「そうだった」「また頑張ろう」と思えるんです。
取材・文◎蜂須賀ちなみ
2nd EP『夏においてきたすべて』
楽曲リンク:https://orcd.co/natsunioitekitasubete
1.横断歩道
2.ロックンロールだ
3.夏においてきたすべて
4.またうつむいて
5.枯声
6.シンガー
7.かけら
admiresライブ
宮城・仙台space Zero
<FM NORTH WAVE & WESS PRESENTS IMPACT! XXII supported by アルキタ>
2025年4月19日(土)
北海道