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コラム

CS直前インタビュー
――桑原将志「バットを振って、自らコトを起こしにいく」

2022/10/07

「2022 JERA クライマックスシリーズ セ(以下CS)」は、10月8日にファーストステージが幕を開ける。レギュラーシーズンをリーグ2位で終えたベイスターズは、本拠地・横浜スタジアムで同3位のタイガースを迎え撃つ。

 先に主導権を奪うことが大事な短期決戦において、一つのカギとなるのがリードオフマンの働きだ。

 ベイスターズの背番号「1」桑原将志に、CSを直前にしての心の内を語ってもらった。

special2022

優勝決定のボールを渡したのは「尊敬の気持ち」。

――CSファーストステージの開幕が間近に迫っています。いまの率直な心境を教えてください。

桑原 特別に高ぶりはなくて、いままでどおりの気持ちです。気負いとかもないですし、早く当日が来てほしいって感じですね。

――まずはレギュラーシーズンを振り返っていただきたいと思います。9月25日、神宮球場でスワローズのリーグ優勝が決まりました。最後は、打球が遊撃手の頭上を越えてサヨナラヒットに。あの瞬間はどんな気持ちでしたか。

桑原 単純に、その日の試合に負けて悔しかったです。目の前で胴上げをやられる悔しさはもちろんありますけど、どの試合でも負けて悔しい気持ちになるのは変わらないです。

――捕球したボールを、喜びに沸くスワローズの選手たちのところへ歩み寄り、渡してあげていましたね。

桑原 いくら悔しくても、勝者はやっぱり称えないといけないと思うので。そこはスポーツマンシップというか。悔しいだとか腹立たしいという感情だけで動いてしまうのは、人として寂しい。いい記念になるボールだと思いますし、相手に尊敬の気持ちを持って渡しました。別に、いいことをしたいと思ったわけではないですし、普通のことをしただけですよ。

――今シーズンのスワローズは強かったですか。

桑原 今年のヤクルトさんは強いです。普通の野球をしているのかな、とは思いますね。何か変わったことをしているわけじゃなくて、みんなでつないで、それがちゃんと点につながっていく。守っていて、いい打線だなと思っていました。

――3冠王を獲った村上宗隆選手だけではない。

桑原 そう思います。もちろん村上くんが中心であることは間違いないですけど、周りの打者も役割を果たしていることが得点に直結しているんじゃないかな、と。

――ここからは、桑原選手ご自身のパフォーマンスについて伺っていきます。6月下旬に行ったインタビューでは、「体のメカニック的な部分にズレが生じている」という話をされていました。その後、状況は改善しましたか。

桑原 最後までもどかしい気持ちはありましたね。納得できるような感覚が得られなかった。そこに関しては心残りですけど、悔やんでも取り返せるものではないので、全日程が終了して、自分を見つめ直す時間ができたときに考えたいなと思います。

――130試合に出場し、そのうちスタメンが118試合。ほぼレギュラーとして出場を重ねるなかで得たもの、プラスの材料は何かありましたか。

桑原 難しいですね……。自分の引き出しのなさに、ただ悔しさを覚えたというか。もっと勉強して技術を習得しないといけないし、まだまだやるべきことがあるな、と。これがいまの自分の実力であって、足りないものがまた見えてきたということが収穫なのかなと思います。

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1球目から積極的にスイング、その思い。

――ひとまずレギュラーシーズンを終えて、通年の成績が確定しました。打率(.257)、出塁率(.322)、盗塁数(13)などの数字が並ぶなかで、どの項目に目が行きますか。

桑原 三振が多かったところですね。

――昨シーズンは519打数で75三振、今シーズンは475打数で89三振でした。原因として思い当たることは何でしょう?

桑原 ファーストストライクに対してしっかりとスイングをかけられなかったり、自分が思い描いているボールが来たときにそれを仕留めきれなかったり。自分の対応力や技術的な部分でまだまだだな、と思います。今年に関しては、数字に表れない何かが大きな原因になっていた気がしますね。

――数字の裏に隠された何か。

桑原 はい。前回の取材のときにも言った、体のメカニック的な部分のことです。それがずっと、シーズンを通して尾を引いてしまったかな、と思います。

――あらためて確認しますが、ファーストストライクから積極的にスイングしていくのが桑原選手のスタイルですよね。

桑原 ほとんどのバッターがそうだと思いますよ。自分が打てる球を打ちにいくという気持ちで待っている。ぼくもその一人です。

――「もっとじっくり」という声には、どう答えますか。

桑原 淡白と積極性は紙一重。1球目を打ちにいって、凡打なら淡白と言われ、Hランプがつけばオッケーと言われる。そういう世界で、結果論だけで責められたら、ぼくらはバットも振れなくなります。バットを振らないと、何もコトは起こらないんです。ぼくに言わせてみれば、コトを起こしにいこうという気持ちを持っていなかったら、その時点で負けだと思いますね。

――なるほど。CSでもコトを起こしにいく姿勢は変わらず、ですか。

桑原 そうでないと、何もできないまま終わってしまうと思います。結果はあとからついてくるものと割り切って、自分からアクションを起こしにいきます。

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「守備のイメージばかりしてますね」

――ファーストステージの対戦相手、タイガースに対してはどんな印象を持っていますか?

桑原 いやらしいバッターがいて、足も使える。ピッチャーもいい。ぼくとしては、嫌な相手だなというイメージはありますね。今シーズンは勝ち越すことができた(16勝9敗)といっても、短期決戦ではデータは関係ない。やっぱり予想外のことが起こり得るので、どれだけそういうシチュエーションをイメージできているか、準備できているかが大事だと思います。相手がどうこうではなくて、自分たちがやるべきことをやる。それだけですね。

――横浜スタジアムでの開催を、多くのファンが楽しみにしています。

桑原 ホーム球場でCSを迎えられることは、ファンの方たちにうれしく思っていただけていると思います。ぼくたちもその中で喜びを感じながらプレーできる。勝って、レギュラーシーズンを応援してくれたファンの方たちに恩返ししたいですね。

――桑原選手は、どんなプレーを見せてくれますか。

桑原 いつもどおり、打席ではなんとか塁に出て、後ろのバッターにいい形でつなぎたいと思います。とはいえ、守備でしっかり貢献したい気持ちのほうが強いですかね。相手に点を与えなければ負けることはないので。バッティングは二の次です。

――バッティングより守備ですか。

桑原 短期決戦でできることとなると、やっぱり守りからだと思います。守りのミスは勝敗に直結するので、そこの部分では絶対に貢献したい。何かが起こったときにどう対応するか、そんなふうに守備のイメージばかりしてますね。レギュラーシーズン、本当はもっとバッティングでがんばりたかったけど、思うようにいかなかった。後半は「じゃあ守備だけでも」という気持ちになっていたので、CSを前にしてもそういう意識になっているのかもしれません。

――チーム全体の雰囲気はいかがですか。

桑原 リーグ優勝を逃してしまった以上、CSを勝ち上がって日本一になる。それがチーム全体で掲げた目標です。神宮で、目の前で胴上げを見せられて。もう一回、あの場所に戻るんだという気持ちをみんなが持っていると思います。そのためにはファーストステージを勝ち抜かないといけない。先の大きい目標に向かってというより、目の前の試合をしっかりと戦い抜く。それこそレギュラーシーズンのときと同じ気持ちで、一丸となって戦っていきたいですね。

――まずはファーストステージで2勝ですね。熱戦を期待しています。

桑原 ありがとうございます。攻撃でも、守備でも、攻める気持ちで頑張ります!

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