林利香
不登校対策について議論する滋賀県の首長会議が17日にあり、この中で出席者の1人の小椋正清・東近江市長が「フリースクールは国家の根幹を崩してしまうことになりかねない。よっぽど慎重に考えないといけない」と発言した。
この日の首長会議では、県が年度内にまとめる予定の不登校対策の基本理念について議論され、報道陣に公開された。
小椋市長は「文部科学省がフリースクールの存在を認めたことにがくぜんとしている。大半の善良な市民は、嫌がる子どもに無理してでも義務教育を受けさせようとしている」と述べた。
また、フリースクールへの財政支援について「ごく少数の人に対して、負担をみなさい、というのはフリースクールに行きたいという雪崩現象が起こる怖さを感じる」とも発言した。
2016年に成立した教育機会確保法では、フリースクールなど学校以外の「多様で適切な学習活動の重要性」が明記され、国や自治体に対し必要な財政支援に努めるよう求めている。ただ、滋賀県内でフリースクールなどの民間施設の利用者向けに補助制度などを設けているのは彦根市や甲賀市などで、ばらつきがある。
首長会議後に、報道陣に発言の真意を問われた小椋市長は「不登校は大半は親の責任。財政支援を国が言うべきではない。(フリースクールの)存在を認めるかどうかの論議をもっとすべきだ」と述べた。
小椋氏は元県警警察官で、県の防災危機管理監などを務めた後、13年2月に同市長に初当選。17年、21年と2期連続で無投票当選している。
東近江市は滋賀県東部に位置し、05年に旧八日市市や永源寺町などが合併して誕生。JR能登川駅の周辺はベッドタウンになっている。人口は約11万2千人。(林利香)