ブラジル、メタの事実チェック廃止を非難 トランプ氏に「服従」
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【1月8日 AFP】ブラジル政府は7日、米IT大手メタがコンテンツモデレーション基準を緩和する方針を発表した件について、ドナルド・トランプ次期米大統領の「アジェンダ」に「服従する」意思を示すものだと批判した。
ブラジルの最高裁判所は、ソーシャルメディアの規制に関して強硬姿勢を取っている。昨年は、実業家イーロン・マスク氏が所有するX(旧ツイッター)がオンラインの偽情報に関する一連の裁判所命令に従わなかったとして、国内でのサービスを40日間停止させた。
ブラジルのジョアン・ブランチ・デジタル政策担当相はXでメタの決定について、米国と連携して「オンライン環境での権利の保護を求める欧州連合(EU)やブラジルなどの国々に対抗するため」ものだと指摘した。
メタの創設者で最高経営責任者(CEO)でもあるマーク・ザッカーバーグ氏は、投稿内容の事実チェック制度を米国で廃止すると発表した際、同社は「トランプ大統領と協力して、米国企業に検閲強化を求める外国政府に対抗する」と表明。
特に欧州は「検閲を制度化」し、中南米の「秘密裁判所」は「企業に命じてコンテンツをひそかに削除させている」と非難した。
ブランチ氏は、このコメントはブラジル最高裁に直接言及したものだと指摘。メタは「トランプ氏のアジェンダのためのプラットフォームとして服従する用意がある」ことを示したと続けた。
メタが政治コンテンツを削減する2021年の方針を撤回したことについても、「極右の活動の温床」になると非難した。
ザッカーバーグ氏の声明について、「同社はデジタル環境の機能をめぐる各国の主権を認めない考えを示しており、トランプ政権が取るであろう行動を暗示している」のは明らかだと主張し、「欧州、ブラジル、オーストラリアの立法府、行政府、司法府の下で進められているさまざまな措置の妥当性が一層明らかになるだけだ」と述べた。
一方、極右ジャイル・ボルソナロ前大統領陣営はメタの発表を歓迎した。ボルソナロ氏自身は、同国の選挙制度に関する偽情報を流布したとして2030年まで立候補資格を停止されている。
ボルソナロ氏の息子のエドゥアルド・ボルソナロ下院議員はXに、「トランプ効果は始まったばかりだ。他にも多くの事実が検証され、左派は屈服するだろう」と投稿した。(c)AFP