【5月23日 AFP】1958年の第2次台湾海峡危機の際、中国人民解放軍による台湾侵攻の阻止を目的とした中国本土への核攻撃が米軍内で声高に叫ばれていたことが、「ペンタゴン・ペーパーズ(Pentagon Papers)」の暴露で知られるダニエル・エルズバーグ(Daniel Ellsberg)氏(90)がオンラインに掲載した機密文書で明らかになった。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)が報じた機密文書の内容によると、核兵器を使用した場合にはソ連が中国を支援し、核兵器で報復してくると米軍の作戦立案者らは想定していた。

 文書は1975年に一部が機密解除されているが、元軍事アナリストであるエルズバーグ氏は、今も機密扱いとなっている部分をオンラインに掲載した。

 エルズバーグ氏は、ベトナム戦争に関する米国防総省の機密文書「ペンタゴン・ペーパーズ」を1971年に米メディアに暴露したことで知られる。

 エルズバーグ氏はニューヨーク・タイムズに対し、1970年代初頭に台湾海峡危機に関する機密文書の写しを入手したと明かし、台湾をめぐる米中間の緊張が高まる中、公開に至ったと述べた。

 文書によると、当時の米統合参謀本部議長だったネイサン・トワイニング(Nathan Twining)氏は、中国人民解放軍が台湾を侵攻すれば「空からの反撃を阻止するため、米軍は中国の空軍基地に対して核兵器を使用する」と明言した。

 また、それでも侵攻を阻止できなかった場合には「北は上海に至るまで、中国内陸への核攻撃を実施する以外の選択肢はない」との見方を示したという。

 ドワイト・アイゼンハワー(Dwight Eisenhower)元大統領は結局、通常兵器の使用を決定した。

 第2次台湾海峡危機は中国人民解放軍が砲撃を停止したことで収束し、台湾では蒋介石(Chiang Kai-shek)率いる中国国民党軍の支配が続くことになった。(c)AFP/Carlos HAMANN