パレスチナ自治区での「戦争犯罪」 ICCが正式捜査へ
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【12月21日 AFP】国際刑事裁判所(ICC)のファトゥ・ベンスダ(Fatou Bensouda)主任検察官は20日、パレスチナ自治区での「戦争犯罪」について、正式な捜査を開始する方針を示した。イスラエルは猛反発している。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は、ベンスダ氏の判断はICC非加盟のイスラエルに対する「政治的駆け引きの道具」だと批判した。
パレスチナ側は、ICCの動きを「もっと前に講じるべきだった措置」としながらも歓迎した。ベンスダ氏は2015年1月、2014年にパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)で起きた紛争以来、イスラエルとパレスチナ自治区で行われてきたとされる戦争犯罪と人道に対する罪についての予備捜査を開始。それから5年近くが経過していた。
ベンスダ氏は、「パレスチナの状況に関して捜査を進める合理的な根拠があると確信している」「要するに、東エルサレム(East Jerusalem)を含むヨルダン川西岸(West Bank)とガザ地区で、戦争犯罪が過去に行われた、または現在行われていると確信しているということだ」と文書で述べているが、「戦争犯罪」の加害者については明言していない。
この件は極めて慎重を要する問題で、昨年、当時の米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)だったジョン・ボルトン(John Bolton)氏は、ICCがイスラエルまたは米国に対する捜査を行えば、ICC判事らを逮捕することも辞さないとけん制していた。
イスラエルと米国はいずれもICCに加盟していない。2002年に発足したICCは、戦争犯罪や人道に対する罪などを犯した個人を訴追、処罰するための常設の国際刑事裁判機関で、国家を訴追、処罰することはできない。(c)AFP/Danny KEMP