ちょっと長くなってしまうのでストーリーの説明は割愛します。
それは他のレビュアーさんを参考にしてください。
本作の特徴はなんといってもオールカラーで絵本のような体裁の漫画であることでしょう。
色使いやコマからはみ出すような塗り方はカラーで表現した意義が十分にあると言えます。
本作には廉価版としてモノクロ版もあるのですが、必ずこちらを購入して下さい。
何故なら、本作には色に意味があり、印象が変わってしまうからです。
同様の理由で、電子書籍もあまりお勧めは出来ません。
漫画の歴史的な説明として、コマ割り・擬音・吹き出し等が発明されましたが、
大きな部分で言えばこの辺りで漫画の表現技法は歩みを止めてしまっています。
例えば、枠線のない漫画なんかもありますが、
そういった挑戦の大半が効果的でなかったりします。
そんな中で革新的で効果的な作品を出したのですから、
この点は本作には最大の評価をしています。
同作者の他作品も形式こそカラー作品・ハードカバーの装丁等の共通点がありますが、
漫画の表現においていえば本作はそれらと一線を画します。
色があったり絵本っぽいから独自性がある訳でなく、
色に意味があって物語に絡んでいるから独自性があるのです。
私は本作を泣いたとか感動したというくくりでレビューしたくはありません。
今となっては失われてしまった
漫画表現の可能性の一つとして熱く推したいのです。
言葉ではよく言われますが、漫画ならではという作品は実のところ希少です。
本当の漫画好きの方にこそ知っておいて欲しい・・・そんな作品です。
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ぼくんち (1) (スピリッツとりあたまコミックス) 単行本(ソフトカバー) – 1996/11/1
西原 理恵子
(著)
▼第1~36話 ●登場人物/ニ太(本編の主人公)さおりちゃん(二太のガールフレンド)一太(二太の兄)こういちくん(一太の兄貴分) ●本巻の特徴/二太の姉のかの子はホステスをしていて、母は出ていったきり。個人営業のヤクザをしているさおりちゃんの父は麻薬で死んでしまったり、こういちとその舎弟の一太は借金取りや麻薬の売人をして生計を立てている。そんな恵まれない人々の心温まる家族の絆を軽いタッチで描く。オールカラー、全80ページに繰り広げられるサイバラワールド。先の文春漫画賞受賞作。
- 本の長さ79ページ
- 言語日本語
- 出版社小学館
- 発売日1996/11/1
- ISBN-104091792715
- ISBN-13978-4091792716
商品の説明
出版社からのコメント
どんなに貧乏でも明るく生きるための絵本。ぼくんちにはとうちゃんがいない。かあちゃんもいなくなった。でもぼくらは生きてる。にいちゃんとぼくとで生きてる。毎日がとっても大変だけど、きっと明日も楽しく暮らせると思う。絶対そう思う。ぼくんちへおいで。
登録情報
- 出版社 : 小学館 (1996/11/1)
- 発売日 : 1996/11/1
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 79ページ
- ISBN-10 : 4091792715
- ISBN-13 : 978-4091792716
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,023,177位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 409,990位コミック
- カスタマーレビュー:
著者について
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1964年高知県生まれ。武蔵野美術大学卒。97年『ぼくんち』で文藝春秋漫画賞を受賞。2004年『毎日かあさん カニ母編』で文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を、05年『上京ものがたり』『毎日かあさん』で手塚治虫文化賞短編賞を受賞。著者に『ゆんぼくん』『鳥頭紀行』『できるかな』『女の子ものがたり』『営業ものがたり』『いけちゃんとぼく』『パーマネント野ばら』『この世でいちばん大事な「カネ」の話』など多数。2010年7月には絵本『きみのかみさま』も発売になった。
カスタマーレビュー
星5つ中4.7つ
5つのうち4.7つ
14グローバルレーティング
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星5つ75%25%0%0%0%75%
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星4つ75%25%0%0%0%25%
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星3つ75%25%0%0%0%0%
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星2つ75%25%0%0%0%0%
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星1つ75%25%0%0%0%0%
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
上位レビュー、対象国: 日本
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- 2018年2月17日に日本でレビュー済み知人の依頼で購入しました。以前に見ていたのですが、また見たくなったとの事。良かったと言っていました。(1)だけが中古です。3巻揃えられて良かったです。
- 2013年4月9日に日本でレビュー済みもうね、この作者は、本当に天才だと思う。
人のどうしようもない生き様を、厳しく、そして、何とも優しく書くのだ。
主人公達兄弟は、もう、ぐっちゃぐっちゃでドロドロで、
本当に底辺としか言いようが無い、閉塞的な社会で生きている。
でも一生懸命、ただ生きようとしている。
生きる事のみじめさ、醜さを晒しながら、その辛さ、苦しさを受け入れて。
その姿が何とも美しい。
このドス黒い人間模様の中だからこそ、キラリと光るその美しさが胸に堪える程迫ってくる。
3回読んで、3回泣く位の超絶素晴らしいものがあります。
きっとこんな時に最適です↓
何だか気分が重たいとき、
生きる事にちょっと倦んでしまったとき、
少し辛いことがあったとき、
是非是非読んでみてください。
だーーー(T_T)
って泣いた後、きっとさわやかな勇気が沸いてきます。
白黒の廉価版が出ているけど、こちらのカラー版がお薦め。
- 2017年9月2日に日本でレビュー済み著者の漫画は週刊誌で目にしたときに読む程度で、さほど意識していなかった。今回兄の蔵書の中に混じっていて読んでみたら、とんでもない才能の人だと気づかされた。笑えるけど悲しい、悲しいけど笑える。そしてちょっと涙ぐんでしまう。この涙はおかしすぎるからか?悲しすぎるからか?愛しいからか?
- 2004年9月20日に日本でレビュー済みAmazonで購入全巻を読んで。かなり落ち込んだ。読了した直後に会った方から「顔色悪いよ。疲れてんじゃないの?」とか言われてしまった。つい感情が生理に出る方らしい。
しかし、本書がいまこうしてここに存在しているということは、この中の登場人物の誰かは生き残ったということだ。それはどうしても必要なことであり、私にとってひとつの救いだ。
考えてみると、悪く取ろうとすれば、いま私が生きている現実もこの「ぼくんち」の世界と大して変わらないのかもしれない。自分自身も含めてエゴや、自我、自分の利益をむさぼろうとする衝動、男と女の間の欲望などがうずまいている。そして、それらの多くは実を結ばない。
二太が山に向かって手を合わせるシーンがあった。しかし、山の上に住む「お金持ち」には「お金持ち」の苦しみや汚さがある。地の上にはどこにも天国はない。誰の上にも神はいない。あるのは、人間が生きているという現実だけだ。
身勝手なようだが、この本を読んだ後でもなにも変わりはしないであろう私のこの現実を私自身がどう生きるのか、なにを生きていくのか、生き残っていけるのか、生き続けて生きたい。
- 2006年3月26日に日本でレビュー済みどうしようもない現実を明るく笑い飛ばすかのように
救いがたい話を明るい色に大雑把な線で描いた名作です。
簡単で奥深い名台詞と、生きるヒントに満ちています。
たとえ描かれている生活に縁がなかったとしても
得るものがある作品であり、何度読み返しても飽きません。
個人的にはかの子姉ちゃんは常盤貴子がベストだと思っていたので
映画はまだ観ていません。
でも評判いいみたいですね。観てみようかな。
- 2006年5月18日に日本でレビュー済み確かスピリッツだったと思うが、連載している頃から大好きな漫画でした。
とてもとても貧しくて、かなり過酷な環境に生まれ育った兄弟と姉ちゃんのお話。
なんていうんだろう、とても悲惨な境遇であまりにも皆貧乏で、こんな生活している人達って今の日本にいるの?
て思うような人達ばかりの生活を描いているんだけど、とても明るくほのぼのと描いてます。でも、やっぱりほのかに悲しいお話です。
前につきあっていた彼氏に貸したら、「俺、ブルーになった。。。」と一言。
確かに。そういう一面もあるけど、それよりなにより登場人物達のけなげさや正直さそして報われなさ。。。そういうもろもろを感じ取ってほしいなーと思いました。
とにかく私の中では名作です。
- 2007年2月22日に日本でレビュー済み泣ける。笑える。
西原りえぞう先生の名作第1巻。
ノンフィクションの無茶なルポ漫画が多い筆者のいわゆるフィクションのギャグ漫画(?)
貧しさとか、人の命とか、テーマは深い。とっても深い。現実にあるかというと、著者が子供の頃にはあったのかもしれないという世界。
貧しい中だからこそなのか、一日一日を生きていく人たちの言葉が重い。そりゃあ重い。
自分が生きる上でのヒントをたくさんもらった作品。映画化されたけど、別の作品と考えたほうが良いか。第1巻はまだギャグの色が濃くて笑える話が多いが...。二巻以降はヘヴィーです。