ライター2人の平均評価: 4
コロナ禍の南三陸を舞台に、リモートワークを機に東京から憧れの田舎生活を夢見て移住してきた大手企業サラリーマンと、必ずしも手放しで迎え入れることのできない地元住民たちの悲喜交々な交流が描かれていく。パンデミックによる地域社会の分断や東日本大震災の残した深い傷跡などを通して、衰退していく日本の田舎が抱える様々な問題を浮き彫りにしつつ、これまでの慣習や常識に囚われない新たな地域社会の在り方を模索するストーリーは非常に前向きだ。なにより、田舎に勝手な幻想を抱く都会人、都会に対して卑屈になりがちな田舎人、双方を笑い飛ばしながら温かい目で見つめる宮藤官九郎の脚本はとても優しい。
東日本大震災とコロナ禍をまとめて描いた一品。震災に続いてコロナ禍も徐々に物語の題材となり始めました。非常事態宣言中の自粛生活期間を利用して三陸にプチ移住した男はそこに生きる人々との出会いから、東京にいては伺い知れない現地の人々の心持を知ることになります。とは言え、クドカン脚本なので基本はコメディで、要所要所で温かい笑いが起きる映画になっています。菅田将暉はもちろんヒロインの井上真央がとてもチャーミング。そして井上真央を見守り続ける”むさくるしい男たち”もとても素敵です。色々飲み込んでなお船を出し続ける中村雅俊も魅力的でした。