「覚えがないくらい悪い」 愛知のシラス漁に異常事態、季節外れの「豊漁」を喜べない背景
2025年1月5日 05時10分 (1月5日 05時10分更新)
シラスの漁獲量で全国3位(2023年)を誇る愛知県の漁場で近年、異変が起きている。漁獲量が年々減り、特に昨年は過去10年の平均と比べても3分の1に減少。11月までが主なシーズンだった漁獲時期も12月までずれ込み、県内トップの漁獲量、南知多町篠島の漁業協同組合は対応に苦慮している。
昨年12月25日、正午ごろ。島の漁港にはシラス漁から帰ってきた船が次々と入ってきた。かごいっぱいのシラスはすぐに加工業者が競り落とし、フォークリフトで島内の加工場へ。年末の港に活気があふれたが、二百数十人のシラス漁師をまとめる島漁協の榊原満男組合長(71)は首を振る。「1年間の漁獲量としては覚えがないくらい悪い」
県水産試験場によると、過去10年の県内の年間漁獲量は平均6千トン。だが、昨年は11月末までに計1700トンで、記録がある1950年以降で過去4番目の低さだった。減少傾向はここ数年続いていたが、昨年は特に顕著という。
漁獲時期にも変化が見られる。例年、シラス漁は4~11月がシーズンで、特に春と秋がかき入れ時となる。だが、昨年は12月に入ってから漁獲量が減るどころかむしろ回復し、20日には約80トンと篠島漁港での一年を通じた1日あたりの最高を更新する珍事もあった。
取材した25日も季節外れの“豊漁日”。榊原組合長も...
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