(CNN) 米国が提案した30日間の停戦案にウクライナが署名したことで、ロシアは、一時的だとしてもウクライナ戦争を終わらせるというトランプ米大統領の計画を受け入れるかどうかを決断しなければならないという圧力にさらされている。
ロシア当局は「今後数日以内」に米国の代表団と接触すると示唆しているが、11日にサウジアラビアで行われた米ウクライナ間の会談で示された停戦条件については言及していない。
ロシアにとって、これは正念場であり、和平を真剣に望んでいるなら厄介な譲歩が必要になるかもしれない。
ロシアは長きにわたり、紛争を終わらせるための交渉に前向きだと主張してきた一方で、野心的な戦争目標を達成しなければならないとも訴えている。たとえば、ウクライナのすべての併合地域の支配を確保することなどだ。
3年前にこの戦争を開始したロシアのプーチン大統領はつい先週、兵士の死を悼む未亡人や母親らに対し、決して「屈しない」と誓った。
時にロシア政府にたきつけられる同国の強硬な戦争支持派は、停戦を裏切りと見なす可能性がある。
しかし、何らかの譲歩は避けられないかもしれない。
ロシアの交渉担当者が停戦に条件を課すことができたとしても、同国の領土面でのはるかに大きな要求が満たされるとは想像しがたい。例えば、現在戦闘が激化しているロシア西部クルスク州からウクライナ軍を撤退させるといった条件は提示できても、北大西洋条約機構(NATO)を自国の西側から排除するという目標は達成し得ない。
今回の決断は、プーチン氏とトランプ氏との奇妙な友好関係における決定的な岐路にもなりうる。トランプ氏は最近みせた譲歩や称賛と引き換えに、プーチン氏の協力を期待する可能性がある。
まさに「ボールはロシア側にある」。これはサウジアラビアのジッダでウクライナ当局者との会談を終えたルビオ米国務長官が口にした言葉だ。
トランプ氏はほんの数日前、ロシアについて「あらゆるカードを持っている」と述べていた。そして今、意図したかどうかはともかく、トランプ氏はプーチン氏のはったりを見破ったのかもしれない。
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本稿はCNNのマシュー・チャンス記者による分析記事です。