3巻まで拝読。
クリエイターは、ゼロからモノを作る特別な才能を持った人たちなのだから、自分には無理!と思いながら半世紀以上過ぎてしまいました。でも音楽や絵画や映画や漫画etc.で、自分にしかできない表現をして認められている方々がすごく羨ま
しい。ずーっと羨ましくて、あんな風にキラキラできたらどんなに素晴らしいか!とも思っています。
でもゼロから作っているわけじゃない?ちゃんと経験してキチンとインプットし、それらの素材で表現するのも有り?むしろそっちが主流なの!?とふんわりとそうなのかな〜?とも思っていたのですが、今作品を読んで改めて自分の中で言語化できました。
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『このマンガがすごい!2022』でオンナ部門1位獲得作品です。
主人公のうみ子さんは映画が好きな寡婦になったばかりの65歳。女の子と見紛うキレイな美大生・海の言葉がキッカケで美大の映像科に入学し映画を作る側になろうと未知の領域に舟を漕ぎ出すお話です。
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65歳のヒロイン!!熱いです!!
うみ子さんがお婆ちゃんとして描かれているのではなく、「茅野うみ子」という人として描かれているのが何よりも熱いです。
実はたらちね先生の初めて読んだ作品は、たらつみジョン名義の「アンノウン」でして。バッドエンド短編集としてめっちゃリスペクトしている本です。
なので今作品も「痛み」を看過できずに読んでしまいます。
うみ子さんの自虐発言や、カイの後悔や、グチの恋、理解できないモノへの恐れ等々。それらがチクチクズキズキと心を刺してきます。しかし本作はそこを乗り越える。無理矢理ではなく奇跡でもなく、自分と折り合いながらゲツゴツしながらも着実に前に進んでいくのがすごく嬉しいのです。
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うみ子さんとカイくんの45歳差の友情もちょっと変わった味わいでドギマギします。アセクシャルかも?なカイくんが、たまに現実と紙の合わいに存在する幽玄的存在に思えてきます。すっごく魅力的です。彼はうみ子さんをどんな風に撮るのだろう?と気になります。
作品タイトルを考えるに、エンドロールで走る海は映像なのかクレジットなのか?
完結はどんなんだろうかと、とても楽しみな作品です。
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