日頃高評価作品中心に読むのだが、さすがにHQのところの一番上のNew付き作品の星数には、目が行ってしまった。
そうなの?、って好奇心で試し読み、珍しくそこの段階で読み通す事に。結論、私的には至極普通に読めた為、定例で私見を記す。
ハ
ーレクインの定番ストーリー、人物ビジュアルが質素な点以外は悪い所を見つけられなかった。
成績優秀は努力の証、それだけで価値がある。社会は一目置く。出自に(女性の)こだわらぬHQの真骨頂も貫徹、クラスメートとの思い込みによるぶつかり合いも、和解という場が二人を心地よい結末へ持ってこうとする作り手の意図は、これはこれで快通?感。お話的な綺麗事でも。
ロマンスのお定まりごと、それを読みたくてHQを選んでいるようなものだから、私にはその標準装備が安心感。
返すがえすも、華はもっとあると良い。上流階級が全てきらびやかとは限らないが、ならではの空気感、衣装は大事。背景絵も。セレブ校に親の期待で放り込まれたことを恨みがましく考え、コンプレックス丸出しで卑屈なヒロインが、それをバネに跳ね返す社会的成功の晴れがましさ、もう少しそこはバンと描いてくれたほうが爽快感は増したろう。花男をつい思い浮かべ、どこにいても心の持ち様だという気にはなった。
むしろ、相手が名家の出であるなしなどかかわりなく、ヒロインを異性として扱っている彼が立派だ。
誤解しあうのはハーレクイン定番だが、仮に(いやここは違うが)それが真実であったとしても、再び会えるチャンスが後年巡ってくる、それがやっぱり縁というものだと思う。また、子どもの事情を考慮しない「親心」からのしょうもない弟という副産物を、ストーリー進行に無理なく噛ませている。
因縁の彼の妹も、物語上の新鮮さは多少乏しいが、その存在なくして二人のロマンスが回らないので、意外に面白い役回り。
それにしても、良家の子女が通う学校出身であることは、卑近な巡り合わせだけでなく、今後のヒロインの人生に多大な恩恵となる。ビジネス無縁の十代に多彩な人脈を得られたこと、そしてそれが画家という職を選んだ彼女に、今後間違いなく知名度獲得に物凄いプラスとなるからだ。そこが親に振り回された話のケジメ的に、私は物足りなかった。子どもの頃は恨んだ日もあったけれど、あの学校に無理して通わせてくれたことは、凄まじい教育熱の豪州で大きい財産だ、位に思うシーンが欲しかった。
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