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[GDC 2024]セッション数は増えたが,展示会場は減少傾向にあったGDC 2024。展示会場に見る栄枯盛衰
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印刷2024/04/04 19:00

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[GDC 2024]セッション数は増えたが,展示会場は減少傾向にあったGDC 2024。展示会場に見る栄枯盛衰

GDC 2024の展示会場があるMoscone CenterのExhibit Level入り口
画像集 No.002のサムネイル画像 / [GDC 2024]セッション数は増えたが,展示会場は減少傾向にあったGDC 2024。展示会場に見る栄枯盛衰
 GDC 2024は,開発者向けの講演が中心のイベントだが,各社がソリューションを披露する展示会場もある。そこで本稿では,GDC 2024の会場や各社の展示ブースなどの様子と,取材はしたものの,単発の記事にするほどではない小ネタをまとめてみたい。


Atariブースに呼ばれて行ったら,アレがなくてコレがあった


Atari 400 Mini
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 近年流行しているレトロゲーム機の小型復刻版のひとつ「Atari 400 Mini」。2024年1月に発表となり,一部地域では販売も始まったようだ。そんなAtariが,GDC 2024の会場ほど近くにあるサンフランシスコのホテルでプライベートブースを公開しているということで,足を運んでみた。

 しかし,残念ながらAtari Mini 400の実機展示はなし。ブースには,Atariが最近力を入れている,クラシックなレトロゲームの世界観をモチーフにした,リメイク作品「Lunar Lander Beyond」のプレイアブル展示があり,プレイの様子を撮影できた。

こちらはオリジナル版「Lunar Lander」の未稼働ゲーム機版を使った非売品のアート作品だ
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 オリジナルの「Lunar Lander」は,1979年にAtariから発売となったアーケードゲームで,入り組んだ地形を避けて宇宙探査船をゴールまで移動させることが目的の,今の感覚からすればとても地味な作品だ。筆者も幼少の頃,オリジナル版をゲームセンターで遊んだことがあり,真っ黒なブラウン管上に,探査船や地形がベクタースキャンで鮮明に描画されるグラフィックスが独特で,奇妙な魅力を感じたことを覚えている。
 オリジナル作品には,世界観の説明や登場人物紹介などは一切なかった。一方,新作のLunar Lander Beyondでは,謎と危険に満ちた異次元宇宙を駆け巡る「スペース運送屋」(宇宙のUberみたいなもの?)となって,大冒険を繰り広げるという設定があるそうだ。

ブース内には,オリジナル「Lunar Lander」の資料や説明書,Lunar Lander Beyondの設定資料集なども展示されていた
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 オープニングやイベントシーンは,日本のアニメを意識して制作したそうで,豪華なムービーシーンもあるなど,なかなか興味深い作品になっている。

 筆者もブースでプレイしたが,敵を撃退するようなシューティングゲーム的要素はなし。「慣性の法則」が過剰に支配する異次元宇宙で,やたら操縦の難しい宇宙船をひたすらゴールへと導くことだけに集中するという本作のゲーム体験は,甘口のゲームに慣れてしまった筆者に「レトロゲーム時代の厳しさ」を再び思い起こさせてくれた。


 墜落寸前になると,プレイヤーキャラクターの精神が崩壊して,異次元宇宙の深淵から「奇妙な幻覚」(ピンクの象さんとか)が迫ってくる独創的な危機演出がクセになりそう。「そんじょそこらの死にゲーには飽きた」というツワモノゲーマーか,若かりし頃の集中力を取り戻したい筆者のようなおじさんゲーマーに,強くお勧めしたい作品である。面白いと思うかどうかはアナタ次第?

 日本でもPCPlayStation 5/4Xbox Series X|S,Xbox One,Nintendo Switch向けに,4月下旬に発売されるようだ。税込価格は3700円の予定。
 なお,ブースのスタッフに聞いたところ,日本語ローカライズなしとのことで,音声もテキストもすべて英語のみとなる。英語のセリフは音声で読み上げられるので,英語のヒアリングの練習にも最適だ(と思いたい)。

 そのほかにもAtariブースでは,1982年に当時の家庭用ゲーム機「Atari 2600」向けにリリースされた多方向シューティングゲーム「Yars' Revenge」(関連記事)を,大幅にグレードアップしたリメイク作品のビジュアルや,できたてホヤホヤのイメージ映像を公開していた。
 筆者は,両方とも見せてもらったのだが,残念ながら撮影は禁止。タイトル名もまだ非公開とのことで,本稿では何も明かせない。ただ,「どんな雰囲気のものだったかは触れていいよ」ということだったので,一言だけ。世界観がちょっと「聖戦士ダンバイン」っぽかった……以上。

 なお,ここで取り上げたリメイク版新作は,発売済みのリメイク作品「Yars: Recharged」(PS4 / Xbox One / Switch)とはまったく別ものである。


これまでのGDCと,2024年のGDCで感じた違い


筆者が初めてGDCの取材をしたのは,今から22年前の「GDC 2002」だ。写真は当時の会場だったSan Jose Convention Center
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 そもそもGDCというイベントは,2006年まではサンノゼのコンベンションセンターで行われていた。それが,来場者やセッションの増大によって,講演会場や展示会場が不足してきたため,より広い会場を求めてサンフランシスコのMoscone Centerへと移転したのが2007年だった。
 その後もGDCは規模を拡大し続け,総セッション数は700を超え,来場者は安定して2万人を超えるビッグイベントとなったわけだ。

 コロナ禍が開けた2022年にオフラインイベントとして復活してからは,今回のGDC 2024で3回目となる。2024年も来場者は3万人を超え,セッション数は700を超えたと運営側は発表しており,「コロナ禍以前のGDCが帰ってきた」というメッセージを強調していた。

セッション会場の賑わいぶりは,コロナ禍以前の混雑を,それなりに取り戻していた感じはあった
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 ただ今年は,これまでのGDCに比べると,とくに日本のゲーム開発者による講演が減った印象を受けた。これまでのGDCでは,英語話者ではない日本人クリエイターが,同時通訳付きで講演する日本人クリエイター特化型セッションルームがあったのだが,2024年は,そういうセッショントラックはなし。

会場の売店で売っている缶入りミネラルウォーターは7ドル。日本円にして約1000円だ(笑)
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 もちろんGDC 2024に日本人開発者の講演がまったくなかったわけではなかったが,その絶対数は減ったと感じている。なにより,日本からの一般来場者も減った印象がある。誰もがその名を知る,日本を代表する大手開発スタジオの面々は,例年と変わらず大所帯で参加していたが,小〜中規模スタジオの参加者や,学生の参加者は減った印象だ。その理由は,やはり円安とアメリカ,と言うよりもサンフランシスコの物価高の影響が大きいのだろう。

 欧米のゲーム開発スタジオによるセッションは,数こそ例年に見劣りはしなかったが,「サイバーパンク2077」や「スパイダーマン2」などの,特定タイトルのセッションが多かった印象を持った。2023年は「ゲームの当たり年」と言われ,魅力的なタイトルがたくさん出たものだが,そのわりに,これまでのGDCと比べて,講演を行ったタイトルのバリエーションが減少したような気がする……気のせいだろうか?

サイバーパンク2077やスパイダーマン2など,特定タイトルの関連セッションが妙に多かったという印象。もちろん,内容自体は素晴らしく,勉強になった
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 さて,例年どおりGDC 2024では,さまざまな企業や団体によるブース展示が行われる展示会「GDC Expo」が行われていたわけだが,そのブース出展者数も減った印象を受けた。実際,公式発表でもGDC 2024の出展者総数は約330となっており,コロナ禍前の全盛期,GDC 2019での公式発表が約550だったので,単純計算で40%も減ったことになる。

 GDC 2007以降,GDCの会場となっているMoscone Centerは,長い工事の末に,道路を挟んで立ち並ぶNorth HallとSouth Hallを結ぶ地下フロアを,展示会場用に拡張した。GDC 2019では,拡張された展示会場を目一杯に使ったExpoが大きな見どころだったものだ。
それこそ,当時,大注目を集めたGoogleのクラウドゲーミングサービス「Stadia」ブースは,広くなった地下フロアを最大限に活用したブース展開を行っていたことを覚えている。

GDC 2019において,地下フロアの拡大展示エリアに巨大なブースを構えていたのはGoogleのStadiaだった。2023年にサービス終了してしまったが
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 今年のGDC 2024では,以前と比べて地下フロアの展示スペースに空き地が目立つようになり,とくにメインとなる展示会場は,以前のGDCにはあったはずの大手企業ブースが見当たらなくなった。半導体メーカーの出展は,とうとうArmだけになってしまったほどだ。2023年には,QualcommやImagination Technologyのブースもあったのだが,GDC 2024のExpoからは撤退してしまったようだ(※非公開のビジネスミーティング用スペースには,名を残しているメーカーはあったが)。

 なお,IntelやNVIDIA,AMDといったプロセッサメーカー御三家は,GDCに出展しなくなって久しい。NVIDIAは,GDC 2019を最後にブース出展から撤退。また,今年も含めて近年は,同社独自のGPU技術カンファレンス「GTC」を,GDCの会期に行っているので,GDCでの「革ジャンCEOロス」に嘆くゲーム開発者は少なくない。

半導体企業では唯一ブース展示を行っていたArm。スマートフォンでのレイトレーシング活用に関する興味深いセッションも行った
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2019年のGDC Expoにおけるソニーブース
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 以前のGDCでは,ゲームプラットフォーマーのMicrosoft,任天堂,ソニーもブースを出展していたが,徐々に撤退。最後までブースを構えていたソニーも,GDC 2019での出展が最後となっている。

 入口正面に近い一等地のソニーブース跡地には,GDC 2024では,イギリスのMetaGravityが大きなブースを構えていた。
 同社は,既存のゲームエンジンを活用して,超大規模なゲーム世界を実現するための分散コンピューティング技術と,それに見合う高速ネットワークストラクチャを提供する企業だそうだ。一言で言うならば「ゲーム向けのネットワークエンジン屋さん」といったところか。
 ブロックチェーン技術にも対応しているところもウリで,その影響か近年では,Web3関連やNFT関連,メタバース関連の事業者からの引き合いが強いのだとか。

MetaGravityブース
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 ブース内では,「Star Atlas」というUnreal Engine 5とMetaGravityを組み合わせて開発したという,メタバース系SF MMOアクションゲームを体験できた。


 GDCの展示会場では常連ともいえる企業各社も,以前と比較すると,ブースの規模を格段に小さくしたところもあった。とくに,ブースの縮小感が目立ってしまっていたのは,全社員の25%を解雇するリストラを行ったばかりのUnity Technologiesだ。

 2023年までは,競合であるUnreal Engine開発元のEpic Gamesと,Unityの開発元である同社が隣り合わせでブースを展開しており,その大きさを競い合うかのような面もあった。そんなUnityだが,2024年のブースは,以前の半分以下に縮小。Unityの機能をアピールするようなこれまでの展示は減り,今年はどちらかと言うと,Unityを利用するゲーム開発者同士のコミュニティ重視のブース展開となっていた。
 具体的には,Unityの専門家に質問できるコーナーや,Unityが選りすぐったインディーゲームの展示と,その開発者と会話できるコーナーなどが並んでいた。

こぢんまりとしたUnityブース。規模は小さくなったが,Unity系ゲーム開発者の情報交換の場として盛り上がってはいたようだ
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 一方,例年どおりの巨大ブースを展開していたのは,Epic Gamesだ。こちらも2023年秋に,全社員の16%を解雇するリストラを行ったはずだが,2024年もブース規模は例年と変わりなし。しかも,来場者に無料の飲食物を提供したり,枚数無制限のTシャツつかみ取りコーナーの設置など,例年と同等のバブリーぶりを維持。大規模リストラを敢行した企業にしては,羽振りの良さがうかがえた。
 まあ,Epic Gamesにとって,財政的に苦しくとも「GDCは,それだけのコストをかける価値のあるイベント」という認識なのかもしれない。

Epic Gamesブース。お祭り騒ぎ的なコーナーが目立ってはいたが,もちろん,Unreal Engineの新技術解説コーナーも充実していた
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 2023年春に大規模リストラを行ったMetaも,例年と変わらない規模のブースを展開。新作VRゲームの体験コーナーや,Meta製VR HMD用コンテンツ制作にまつわる「なんでも相談所」を設置していた。

GDC ExpoにおけるMetaブース
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分散型アプリケーション(DApp)構築用のオープンソースプラットフォーム「Avalanche」上で展開するゲームを体験できるコーナー。Web 3やNFT,ブロックチェーンに仮想通貨といったキーワードは,GDCでもよく見かけるようになってきた
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GDC 2024と併催していたインディーゲームイベント「Day of the Devs」の展示コーナーが,Moscone Centerにもあった。ゲーム開発者同士の口コミで人が集まる,実にGDCらしい展示コーナーだ
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 直近でも,Sony Interactive Entertainmentが大規模リストラを行うなど,最近のゲーム業界は,やたらリストラの話題が続く。このまま行くと,その影響を受けてGDCも開催規模を縮小し,会場を別の場所,たとえばサンノゼに戻したりするようなこともありうるのだろうか。
 ただ,2025年のGDCも,2024年と同じMoscone Centerで,3月17日から開催することが明らかになったので,一安心といったところか

 しかし,ゲームプラットフォーマーが1社も参加していないGDCは,寂しいものだ。「2025年春頃には,任天堂が次世代機を発売する」なんて「ネットの噂」もあるが,そのタイミングで任天堂がGDCに復帰してくれると,大きく盛り上がると思うのだが……。

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