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落語 みちの駅

第百二十六回 「第二二一回 朝日名人会 レポート」
 第二二一回朝日名人会が七月十六日にマリオン朝日ホールで開催されました。震災やコロナ禍のために四回ほど欠番がありますが、今回も四月に続く満員御礼で、名人会のお客様は落語のつわものだと改めて感服しているところです。

 三遊亭わん丈「星野屋」、桂やまと「鰻の幇間」、林家正蔵「藪入り」、中入り後は桂文珍「算段の平兵衛」。

「星野屋」(わん丈)は流麗にして朗らか、いつも期待にそむかない高座振り。結構でした。

「鰻の幇間」(やまと)はあまり芸人の、そして男の悲哀を感じさせない演出・構成。ただし、いつものように力演でした。

 この日はピタリ夏の藪入りの日。実生活から藪入りが消えても親子の情は変わりません。これもまたひたむきな演出・構成でした。正蔵さんにはこんな噺がとてもよく映ります。少年の泣きと笑いをくっきり分けた高座でした。

 桂文珍さん「算段の平兵衛」は亡き桂米朝師ゆずりのネタで東京ではまだまだ珍しいネタと言えるでしょう。主人公の特異なキャラクターは、今や東西を通して文珍さんが第一のように思われます。

第百二十六回 「第二二一回 朝日名人会 レポート」
三遊亭わん丈「星野屋」


第百二十六回 「第二二一回 朝日名人会 レポート」
桂やまと「鰻の幇間」


第百二十六回 「第二二一回 朝日名人会 レポート」
林家正蔵「藪入り」



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著者紹介


京須偕充(きょうす ともみつ)

1942年東京・神田生まれ。
慶應義塾大学卒業。
ソニーミュージック(旧CBSソニー)のプロデューサーとして、六代目三遊亭圓生の「圓生百席」、三代目古今亭志ん朝、柳家小三治のライブシリーズなどの名録音で広く知られる。
少年時代からの寄席通い、戦後落語の黄金期の同時代体験、レコーディングでの経験などをもとに落語に関する多くの著作がある。
おもな著書に『古典落語CDの名盤』(光文社新書)、『落語名人会 夢の勢揃い』(文春新書)、『圓生の録音室』(ちくま文庫)、『落語の聴き熟し』(弘文出版)、『落語家 昭和の名人くらべ』(文藝春秋)、編書に『志ん朝の落語』(ちくま文庫)など。TBSテレビ「落語研究会」の解説のほか、「朝日名人会」などの落語会プロデュースも手掛けている。