熱気と興奮に溢れる世界最大級の家電見本市「CES」が、このほど開催された。ネバダ州の砂漠にあるラスベガスで毎年1月に開かれ、テックメーカーや小売業者、流通業者、報道関係者、ガジェットファン、そして普通の見物人たちを興奮のるつぼに引き込む一大イベントだ。
コンベンションセンターやホテルの展示会場、ナイトクラブ、レストラン、イベント会場は、おしゃべりするディスプレイや自律走行車、空飛ぶクルマ、音を自動調整してくれるスピーカー、スマートホーム向けの「ChatGPT」対応家電でいっぱいだった。実際のところ、今年は目に入るありとあらゆるものを人工知能(AI)が席巻した年だ。
古い製品はAIによってリフレッシュされ、それらの新たな生成ツールとの効果的な連携を支援する新製品もリリースされている。そんな「CES 2024」の会場を『WIRED』US版のフォトグラファーが歩き回り、いままさに起きている“コンシューマーテクノロジー革命”の一部をとらえた。
TCL(TCL科技集団)の自動車用半導体技術のデモを見学する参加者たち。TCL子会社の華星光電技術(CSOT)は、車載用のタッチ式ディスプレイのほか、ドライバーや同乗者用のスマートコントロール装置を手がけている。
メタバースは引き続き注目されていた。仮想世界に没入して、新しい感覚を楽しもう。
23年に初公開され、まだ今年はプロトタイプ段階にあるソニーとホンダの電気自動車(EV)「AFEELA(アフィーラ)」は、CES 2024の展示会場で多くの人々に注目されていた。AFEELAは、空間センサーや同乗者全員が使えるタッチ式のディスプレイなど、高度なハードウェアでいっぱいだ。もちろん、最先端の運転支援テクノロジーと会話型AIアシスタントも組み込まれている。
リラックスしたり休憩したりできる場面もたくさんあった。
Richtechのロボットバリスタ「Adam」が、アイスオーツラテを用意して待っていた。アダムはカクテルをつくったり、ビールを注いだり、タピオカティーをいれたりすることもできる。
シーメンスのブースでロボット義肢のデモを見学する参加者たち。スタートアップのUnlimited Tomorrowはシーメンスのデジタルモデリング技術を利用することで、手足を失った人々のための多関節義肢を3Dプリントしている。
最新のマッサージチェアを展示していたBodyfriendのような企業のブースは、常に人気だった。
CESはコンテンツキャプチャー天国でもある。
画面に映し出された映像は、自動車の屋根に設置されたセンサーが捉えたもの。さまざまな種類の視覚情報や空間情報が映し出されている。
CES 2024には自動車業界が大挙して参加し、展示されたクルマはどれも大勢の観衆を引き付けた。その多くにAI機能が搭載されており、今年も根強く続いているトレンドのひとつは、ChatGPTの機能やその他の新しいタイプの会話テクノロジーをクルマに組み込むことだ。
音声コントロールは10年前から搭載されているが、ChatGPTを用いたツールはこれから確実に進化していくことだろう。だが、その能力は現時点ではGPSを用いたナビゲーションやウェブ検索、電話、環境設定の変更といった単純なものに限られている。
(WIRED US/Edit by Daisuke Takimoto)
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