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“ぶつからないクルマ?”はどこまで進化した? スバルの運転支援システム「アイサイトX」を試す

2021年05月15日 12時00分更新

 今では当たり前になっている衝突被害軽減自動ブレーキ(自動ブレーキ、AEB、プリクラッシュブレーキとも呼びます)ですが、その普及に大きく貢献したのがスバルのアイサイトです。2008年にレガシィに搭載され、2010年の“ぶつからないクルマ?”のCMで衝突被害軽減自動ブレーキという存在を大きくアピール。その後の普及の起爆剤となりました。

アイサイトXのイメージ

 今回、そのアイサイトの最新システムを搭載する新型「レヴォーグ」に試乗できました。最も進んだアイサイトは何ができるようになったのでしょうか? 使い心地などはどう進化したのかなどをレポートします。

今回はレヴォーグそのものではなく、アイサイトXに焦点を当ててレビューします

アイサイト自体が新しくなり性能がアップ

 最新の「レヴォーグ」は2020年10月に発表されました。「レヴォーグ」として第2世代となる新型は、プラットフォームからエンジン、そしてアイサイトまで、すべて刷新するという力の入ったモデルでした。

 新世代となったアイサイトも従来と同じようにステレオカメラを使いますが、そのカメラ自体を新しくするだけでなく、新たにレーダーなどのセンサーを追加することで、前方だけでなく前後左右360度を監視できるようになりました。

 ステレオカメラは本体が小型化されて、車体ではなくフロントガラスへ直接取り付けています。また、レンズは従来よりも80%広角化され、さらに望遠性能低下を防ぐためCMOSセンサーを高画素に。これにより従来と同様の性能を保ったまま、より広いエリアを監視できるようになっています。追加されたレーダーは4点で、前後バンパーの四隅に設置され、さらにリアバンパーには後ろを監視するソナーも備えます。また、ブレーキブースターを電動化することで、システムによるブレーキの反応速度をアップし、より危険を回避する性能も高められています。

 こうした改良により、衝突を回避する能力が高まっただけでなく、さらなる新たなシチュエーションにも対応できるようになりました。たとえば、交差点で右折するときに対向車が直進してきたとき、曲がった先に歩行者がいたとき、交差点を横からクルマや自転車が来るという状況でも、衝突軽減自動ブレーキが作動するようになったのです。さらにブレーキだけでは衝突回避が難しいときは、システムがハンドル操作をアシストして、衝突を避けようとする「プリクラッシュステアリングアシスト」などの新機能も追加されています。「ぶつからない」というアイサイトの基本性能が新世代となり、さらに高められているのです。

交差点で多い事故の例

対向車を認識してくれる

高速道路のラクをアップする新機能「アイサイトX」

 新世代のアイサイトには、もう一つ大きなトピックがあります。それが新機能「アイサイトX」の追加です。これは高速道路での運転を大幅にラクに、快適にしてくれるもの。50㎞/h以下の渋滞中であれば、ステアリングから手を離しての運転を可能とします。また、レーンチェンジも自動で行なうことができます。

 このシステムは、アイサイトにGPSと準天頂衛星「みちびき」と3D高精度地図データを組み合わせ、正確な自車位置と他車との関係を把握することで、より高度な運転支援を実現します。ただし、この機能が働いていても、運転手には周囲を監視する義務が残っています。そのため運転手の顔を認識するドライバーモニタリングシステムも付いていて、運転手がよそ見や居眠りすると、アイサイトXの機能はキャンセルされます。運転と安全の確保は運転手の仕事であり、システムは、あくまでも支援するというスタンスなのです。

レーンチェンジを自動で行なっている様子

 ちなみに、一般道などやGPSと準天頂衛星「みちびき」のない状態でも、従来と同じようにアイサイトの利用は可能です。また、ステアリングの右スポーク部分にあるスイッチを操作するというスタイルも従来通り。最初に右スポークに並んだボタンの右上を押して、アイサイトを起動。真ん中のレバーを下に押すとACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール:全車速追従機能付きクルーズコントロール)がスタートします。レバーの上下で速度調整。そして右下にあるのが、「アイサイトXスイッチ(クルマの周りをカッコで囲むデザイン)」です。

手を離しても問題なく走る

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