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スマホのようにECUアップデートで出力アップの「MAZDA3 SEDAN」

2021年05月01日 12時00分更新

マツダ/MAZDA3 SEDAN(写真・取材はX L Package 343万5463円税込)

 2019年5月にマツダから新世代商品群の第1弾として登場したMAZDA3。それが昨年11月、なんと出力アップなどの商品改良が行われました。「買って1年で出力アップとは何事だ!」と思いきや、既存ユーザーにはECUのアップデートで対応されるというから驚き。そんなMAZDA3のECUアップデート内容とともに、この車種についてレポートしたいと思います。

マツダの革新「新世代商品群」とは?

 そもそも新世代商品群って何? という話から。マツダは2012年発売の初代CX-5から始まる商品の開発にあたり、モノ造り革新(社内改革)を断行しました。これは、商品企画から製造までを一体となって作り上げる体制というもので、魂動デザインやSKYACTIV技術の搭載などはこの頃に誕生。これによりプロダクト全体に統一感が出て、結果的にブランド価値の向上につながったのです。

マツダの新世代商品群の中で、最も新しいMX-30 EV

 では新世代商品群は何かというと、技術を全面的にアップデートしたモデルたちのこと。具体的には 「魂動デザインの深化」「24V マイルドハイブリッドを搭載した2.0リッター直列4気筒新世代ガソリンエンジン(e-SKYACTIV X)と、モータードライブのe- SKYACTIV」「新世代コネクテッド(スマホアプリMyMazdaやマツダコネクトを用いた利便性の向上)」「新世代車両構造技術(SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTURE)」などが鍵となるようです。

MAZDA3 SEDANのフロントマスク

MAZDA3 SEDANのサイドビュー

MAZDA3 SEDANのリア。マフラーは左右2本出し

 MAZDA3はアクセラの後継車種。つまりハッチバックタイプの「ファストバック」と、全長が80mmほど長い「セダン」タイプの2車種を展開します。どちらもCセグメントに属しており、今回試乗したMAZDA3 SEDANのボディーサイズは、全幅1795×全長4660×全高1445mmと個人的には日本にピッタリのサイズだと感じました。というのも経験的に、車幅が1800mmを超えてくると走行中に「車線幅に対して大きいなぁ」、全高1550mmを超えると「立体駐車場に入らないなぁ」と心配になるから。

深化した魂動デザインが特徴的なMAZDA3 SEDAN

 魂動デザインを深化させたというエクステリアは、実に伸びやかで躍動的なフォルム。試乗車のカラーリングである「マシーングレープレミアムメタリック」は、精悍さの中に温かみを覚えるもので、このデザインにピッタリ。このデザインとカラリングにマッチングも、モノ造り革新の恩恵といえるのではないでしょうか。

ほとんどカバーされて中を見ることができないe-SKYACTIV Xユニット

 エンジンは新開発のe-SKYACTIV X。世界で初めて実用化した独自の燃焼方式「SPCCI(火花点火制御圧縮点火)と独自のマイルドハイブリッドシステムからなる、2リットル直4エンジンです。火花点火制御圧縮点火とは何かというと、カンタンに言えばディーゼルエンジンとガソリンエンジンのいいとこどりにしたもの。ディーゼルエンジンは、エンジン燃焼室の圧縮比を高め、高圧高温となった空気の中で自然に燃料が燃え始める(これを圧縮点火という)のだけれど、これをガソリンエンジンで実施したというもの(実際は従来のガソリンエンジンと同じようにスパークプラグで点火する)。これにより燃料に対する空気量が増え、燃費の向上や熱効率が改善するのです。

 そのe-SKYACTIV Xですが、発売当時は最高出力180馬力/最大トルク224Nmでした。これにアシストモーター分の6.5馬力/51Nmが加わります。それが今回、190馬力/240Nmへとアップしました。さらにアクセルレスポンスのプログラムも変更され、よりドライビングが楽しめる方向へと変更されました。今回、このECUアップデートを既存車種にも適応するというのです。

 さらに書き換え領域は、安全装備にも。高速道路や自動車専用道の渋滞時において疲労低減をサポートするCTS(クルージング&トラフィック・サポート)の作動上限が引き上げられたほか、クルーズコントロールの加減速制御を、より人の感性に合わせて滑らかになっています。新東名や東北道の最高速度120km/h区間をはじめ、車両の発売当初と道路は変わっていますからね。

 ちなみに年次改良ではコイルスプリングやダンパー特性にも手が加わえられて、出力向上とともに、よりドライビングが楽しめるクルマになっています。残念ながらサスペンション交換は行なわないとのことですが、2年前のクルマがECUアップデートで現行車種に近づくというのはうれしいサービスではないでしょうか。

取材車両のプライスリスト

 今回お借りしたMAZDA3 SEDANは、X L Packageという最上位グレード。FF/4WDと2種類の駆動方式が用意され、写真・試乗のモデルはFFで343万5463円(税込)となります。これにメーカーオプションとして、スーパーUVカットガラスとCD/DVDプレーヤーなどが4万9500円。360度ビューモニターなどのセーフティーパッケージが8万6880円。BOSEサウンドシステム7万7000円、電動サンルーフ8万8000円が加わり、総額373万6843円とCセグメントセダンとしてはなかなかなお値段に。

MAZDA3 SEDANのディスプレイ

 「さらにナビが加わるんでしょ?」と思われますが、マツダは標準でディスプレイオーディオが搭載されており、ナビを利用する際は、別途SDカード(5万5000円)を車両に差し込めばOK。ディスプレイオーディオにスマホを接続し、Apple CarPlayやAndroid AUTOのナビでもいいという方でしたら、SDカードは不要。実にエコな考え方です。

MAZDA3 SEDAN X L Packageのドアを開けたところ

MAZDA3 SEDAN X L Packageの運転席。ホワイトレザーが美しい

助手席側から見た室内

MAZDA3 SEDANのインテリア

 「マツダの最上位グレード」とはいかなるものか? とドキドキしながら室内へ。これが白いレザーシートが出迎える素敵空間ではありませんか。乗り出し400万円強でこの内装はコスパ高し! 常日頃思うのですが、マツダ車に乗る度に「本当にこの値付けで儲けが出ているのですか?」と心配になります。

MAZDA3 SEDANのメーターパネル

ステアリングホイール。操作ボタン類の配置はほかのマツダ車と共通している

エアコンの操作パネル。その下にはオプションのDVDスロットが見える

運転席右側のボタン類。ソナーのオンオフやシートポジションのメモリーなどが配される

 コクピット周りのボタン配置や造形が、車種を横断して統一されているのがマツダのいいところ。案外こういった部分は、他社だとバラバラだったりするのです。これもまたモノ造り革新の恩恵なのでしょう。

助手席側のエアコンダクタ。他社に比べてダクト位置が低いことに注目

 個人的にイイかも! と感じたのは助手席のエアコン送風口が下側についていたこと。というのも若い女性モデルを助手席に乗せて取材先へ向かうことがあるのですが(プライベートでは絶無です)、車両に乗車するとまず彼女達がすることはエアコンの風が当たるのを嫌い、ダクトを下向きにするのです。その理由は、風が直接当たるとコンタクトレンズが乾いたり肌が乾燥するから。ですので、このような細かな配慮をされているところに感心した次第です。

純正ナビゲーション画面

Apple CarPlayを用いてGoogle Mapでナビ表示した時の様子

操作はシフトレバー近傍のジョグシャトルで行なう

Apple CarPlay画面

 ナビ周りの話をすると、Apple CarPlayを使ったGoogle Mapのナビゲーションと純正カーナビでは、画面の見やすさや音声案内、操作性だけでなく、測位精度もかなり異なる印象を受けました。カーナビに慣れている身としては、純正ナビの方に軍配をあげたくなります。一方、操作はマツダらしくタッチパネルではなく、センターコンソールのジョグ・シャトルとボタンで行ないます。スマホに慣れた身からすると日本語入力がしづらいのですが、MyMAZDAをインストールしたスマホから目的地を車両に送ることができますから(マツダコネクトへの加入が必須)、逆に言えば家で目的地を入力できると思えばラクですね。今回MyMAZDAをインストールし、かつマツダコネクトと連携しているスマホをお借りすりのを忘れたので(ゴメンナサイ!)、機会があればご紹介したいと思います。

今年誕生40周年を迎えた大滝詠一の名盤「ロング・バケイション」をApple CarPlayで再生。「ロング・バケイション」は、世界で初めてCD化された20タイトルの1枚でもある

ASCII.jpでも連載を抱える「純情のアフィリア」名義ではファースト・シングル(アフィリア・サーガ・イーストから数えると20枚目)から、プリンセスとカエルの魔法をApple CarPlayで再生した様子

オプションのBOSEサウンドシステム。Aピラー付近にツイーターを、ドアノブ付近にウーファーを配する

オーディオのセッティングは、「メインメニュー>設定>サウンド」から行なう

オーディオセッティングを開いた様子。BOSEサウンドシステムでは走行中の音量・バランスセッティングが自在にできる

 オーディオ操作は慣れもありますが、Apple CarPlayの方が使い勝手が良い気がしました。BOSEのサウンドシステムは、音質は同社らしい中低音に重きを置いたもの。高域は丸みを帯びているので、電子音を多用するポップスはキレ味が甘く感じるかもしれませんが、アコースティック楽器はしっとり上質。ですので、車内インテリアの質感と相まって、どこかラウンジにいるような気分が味わえます。色々設定をみたところ、車速連動で音量変化するのですが、その変化幅が大きい上に音のバランスまで変えている様子。このあたりの設定はお好みで。

シフトレバー前方に設けられたドリンクホルダー。使わない時はリッドを閉めて隠すことができる

アームレストを開けると容積のある収納が姿を現わす

アームレスト部の収納には、USB端子とHDMI端子を各1系統用意する

 運転席・助手席側の収納は、ドアポケット部のほか、アームレスト内とセンターコンソール下部に用意されています。必要な時に姿を現わす構造なので、パッと見た時は「何もないのかな?」と勘違いしそう。でもこういうシンプルな感じ、とてもイイと思います!

リアシートの様子

リアシートの様子

リアシートのアームレストを引き出したところ

USB端子やアクセサリーソケット、エアコンダクトといった装備は用意されていない

トランクスペースは奥行きが深く収納力も十分

後席を倒すと、より長い荷物も収納できる

後席を倒した時の様子

 後席はCセグメントセダンらしい広さがあり文句ナシ。後席にエアコンダクトやUSB端子がないといった面は残念ですが、これらはあればイイという程度の話でしょうか。ラゲッジは奥行きが深い上に、リアシートを倒せば長物も十分に対応できそう。

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